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第1話:転生して干潟だった件

この物語は作者の別作品ユニオンブレイカーと世界を共有しています。

ズズズ……シャバババッ……!

耳じゃない、体全体で音を感じているような感覚。

俺は、濡れている。いや、濡れてるどころじゃない。泥まみれだ。

寝起きにしては気持ち悪すぎるし、これが夢なら即目覚めてほしいところだが――

「うぇ……なんだこれ……?」

口が動かない。

声が出てる気がしないのに、頭の中で“喋ってる”感じがする。

(っていうか、俺……死んだんじゃなかったか?)

信号無視のトラック。横断歩道の真ん中にいた子ども。

あのままじゃ危ないと思って咄嗟に突き飛ばして――

はい、俺終了。

(あの時、たしかに「来世はカニでもいいや」って冗談で思ったけど……)

まさか本当にカニになるとは誰が思う!?

いや、待てよ。落ち着け。落ち着け蟹江勝 かにえ まさる。

まずは情報収集だ。体がどうなってるのか確認しよう。

(うわ、腕が……八本? てか前脚の二本、ハサミだこれ)

なんかぬるぬる動くし、地面にピクピク吸いつく感覚もする。

横にしか歩けない。走れない。ジャンプなんてできるわけがない。

(マジで……コメツキガニじゃん俺……)

浅い干潟に寝転ぶようにして、泥の中から自分の体を“感じる”。

この世界が現実かどうかはともかく――

俺は今、完全にカニである。

(ステータス確認……とか?)

脳内で唱えてみる。

「ステータス!」

……沈黙。

「スキルウィンドウ、開け!」

……泥の匂いしかしない。

(ダメかー。転生特典とか、そういうの一切ない感じ?)

ただのカニとして世界に放り込まれた。

それだけのようだ。

しかし――

(まずい……このままだと、俺、鳥に食われる)

鳥影が空を舞っていた。

しかもよく見るとデカい。

(絶対ヤバいやつだろ!)

泥の中に素早く潜る。

コメツキガニの本能か、身体が勝手に動くのが救いだった。

やがて、上空で何かが鳴いた。ズバーッと風を裂く羽音。

直感的に、俺は“狙われていた”と確信する。

(とにかく……生き延びる! 生きて、カニとしてでもいいから、自由に生きるんだ!)

そう、ここから始まるのだ。

カニの、カニによる、カニのための異世界生活が!!

初めまして、作者のかにすごくうまいです。

異世界×転生×蟹という謎ジャンルに飛び込んでいただき、ありがとうございます。

カニでも、やれるところまでやってみせます。

次回:「喰うか喰われるか、干潟の死闘!」をお楽しみに!

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