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隠れて浮気を楽しむ妻に復讐というプレゼントをしてみた

作者:

「はぁ〜………ただいま早苗。 ママは?」

「おかえりパパ!! ママは今、お風呂入ってるよ」


 抱きついて来た娘の頭を撫でながら俺は机に置かれた晩御飯を見た。俺の大好きな唐揚げに味噌汁、野菜が用意されている。いやぁ豪華じゃないか。

 疲れた身体にも食欲が湧いてくる。それを見て早く食べようとした時だ。


 ピコンッ


「ん?」


 一通の音が鳴る。それは妻がいつも座る所の机に置かれた携帯のラインメールの音だった。

 一瞬自分かとも思ったが、そうではなかったのかと妻の携帯をチラリと覗きこんだ。


『今日はありがとう。楽しかったよ♡』


 特に何の変哲もないメール。普通だったら俺も見逃していた。ただ最後に♡マークが付いていた。普通に考えてそんなマークは中高生でもない、いい大人が入れたりしない。


「え……………? なんだこのメールは………」


 妻は今日は何処にも出掛けないと朝の会話で聞いていた。どう考えてもこのメールはおかしい。何かの間違いであってほしいと願った。


「パスワードは…………ちっ、流石にロックがかかってるか………」


 風呂に入っている妻の携帯はロックがかけられ開くことさえ出来ない。

 普通ロックなんてかけるか?ますます怪しいじゃないか。夫婦間でも携帯が見れないようにロックしてることは珍しくもないと思うが今は状況が違う。


 俺は38歳の何処にでもいるような平凡な会社員、大田聡だ。

 肝心な妻は34歳で大田 渚。それ以外にも可愛い娘が一人、小学二年生の早苗がいる。


 たまたま早く帰って来れたからって、いつもこんな事をやっているのではないかと殺意にも似た感情が湧き上がってくる。


「なあ早苗。ママっていつも早苗が家に帰ってくる時ちゃんと家にいるか?」


 リビングに戻って無邪気にレゴブロックで遊んでいる娘に聞いて見ると信じられない言葉が返ってきた。


「たまに帰って来たら家が空いてない時あるから玄関で待ってることもある」


「は…………………?」



 絶対に黒じゃないか。 確定だよこれは。あのバカ女は俺が必死に仕事をしている最中に、他の男と何処かに遊びに行ってるだと?しかも娘を玄関で待たせるまで?

 本当にとんでもないやつじゃないか。何考えてるんだ。


 仕事が辛いからって言うから、専業主婦にさせてその分俺が楽させてやるって頑張って働いてきてるのに、その仕打ちがこれか? 楽させてやった結果がこれか? 感情に任せ今直ぐにでも怒鳴り散らす事は簡単だが、何の証拠もない。俺は必死に感情を圧し殺しながらその場を耐えることに徹した。

 そう思っている間に風呂から上がってきた妻が声をかけてきた。


「あら。 早かったのねお仕事。 お疲れ様。 今日はあなたの好きな唐揚げ作っておいたから」

「ああ。 ありがとう美味しくいただいてるよ」

「冷めてるなら少しレンチンしてね」

「ああ大丈夫。 まだほんのり温かいから」


 罪滅ぼしのつもりなのか? 機嫌取りの為に用意されたかのような晩御飯は何の味もしなかった。

 いつもと同じ顔をした妻が携帯を見た時の一瞬の顔を俺は見逃さなかった。

 明らかに動揺していた。おそらく不意を突かれたのだろう。いつもはこんな時間に俺が帰ってくるはずはないし、メールのやりとりも制限をしてるのだろう。それに相手も油断してたかもしれない。

 俺は湧き上がる感情を必死に抑えながら晩御飯を片付けた。絶対に許さないと、探偵を雇って証拠を集めようと心に誓った。


 次の日から探偵を雇い捜査が始まった。二ヶ月の間に証拠は次々と出てきた。妻は2週間に一度のペースで不倫していた。決まって第一、第三の金曜日。しかも相手は元同じ会社の同僚だった。相手も結婚して子供もいる。俺はこの事に対してまたも腹が立った。お互い子供がいるのに何をやっているんだと。

 確かに今の世の中、既婚者でも浮気をする確率は男でも15%位で、女でも10%くらいはあるという。

 それがまさかうちの妻までやっているとは思わなかった。

 普通の家庭、何処にでもいるような夫婦。決して仲も悪くなく喧嘩もしない、S〇Xだって普通にしている、自分では夫婦円満な家庭と思っていたはずだったのに妻にはそう俺に思わせるよう演技をされていた。そのことも腹が立ったが、早苗というかけがえのない子供がいるのに裏切られた事が何より許せなかった。


 探偵から不倫現場の写真を貰い、次は弁護士を雇った。手続きを進めて行く中で子供の親権問題があるからだ。あいつにはもう早苗は渡せない。汚れた身体で早苗に触れてほしくないと心から思った。


 離婚するだけなら簡単だった。だけど相手もいる。そいつもどん底に突き落としたかった俺は復讐をすることにした。


「よし……………書類が揃った事だし決行に移そう」


 俺は内緒で有給を使い会社に行く素振りを見せたまま元同僚のいる会社に向かった。でも分かっていた。今日は第三の金曜日、不倫をしている日だと。待っていろ地獄に落としてやる。

 事務所に入ると受付の女性が笑顔で対応してくれてたが、俺はお構い無しに写真を見せた。

「おたくの会社の清水俊哉はいますか? そちらの社員が昼間に堂々とうちの妻と不倫をしているんですよ」


「えっ? えっ?」


 見せられた写真に受付の女性社員は動揺し、しどろもどろになっている。

 俺がやったのはこれだけではない。会社に入る直前にワードで打ち込んだ文面と写真を親切にコンビニから本社へとFAXもしておいたのだ。

『あなたの会社の社員、清水俊哉は昼間から堂々とうちの妻をホテルに連れ込んでS〇Xをしています。 会社として営業方針はどうなっているのでしょうか? 会社としてお応え頂きたい。 そして今後、どのように対応していくのかも会社としてお応え頂きたい』と


 慌てて奥に入る店長らしき人物が出てきて俺に声をかけてくるが生憎本人は外回りに出ているらしく不在とのことだった。


「なら案内しますよ俺が」

「は…………はいっ! 直ぐ対応致しますっ……」


 携帯で探偵に連絡するとまだ本人達はホテルから出てきていないとのことだったので俺は上司を乗せて現場に向かった。

 店長らしき人物は声を震わせながらすいませんと謝ってはいたが、俺は黙ったまま現場まで車を走らせた。その間店から持ってきた携帯はずっと鳴りやまない状態だった。


 店から出て10分くらいの所だ。ビルに隠れるようにラブホテルがある。その中にある駐車場には会社の名前の入った車が駐車されていた。


「どう思いますこれ? おたくの車ですよね?」

「あ……………いえ……………本当に申し訳ございません。 何とお詫びしていいのか…………本人を直ぐ呼びますので……………」


 携帯を鳴らすも一向に繋がらない携帯。滝のように汗を流す上司を横に妻が出てくるのを俺は車で待った。


 暫くしてホテルから青ざめた二人が出てきた。おそらく携帯が鬼のように鳴っていた事から何かを察したのだろう。よく見ると男の携帯を持つ手も震えている。


 だからどうした。お前たちのやった事は許されることではない。


「待ってたよ二人とも。 楽しい時間だったか?」

「えっ………………? あ………あなたは?」


 震えながら俺の顔を見る清水俊哉は写真で見た時よりも状況からか老けて見えた。妻はショックの余りに黙り込んでいる。俺が会社に行ってるものだと思っていたのだろう。横にいる上司ですら声をかけられずに修羅場と化した様子をただ茫然と立ち尽くして見ている。

 そりゃそうだろう。 上司が横から夫婦の事を口出し出来る筈もない。


「なあ。 よくもうちの妻を昼間から堂々とホテルに連れ込んでくれたな。 やってることの状況と事の重大さが分かっててやってるのか?」


「あ……………いえ……………あの……その……………これは……………」

「これは何だよ。 なんかちゃんとした理由がラブホテルにあるのか? ここでやる事なんて一つしかないだろうが? 言い訳しようとしてんじゃねーぞ!! ほらお前らのやってきた証拠は持ってるんだ。 見てみろよ!!」

「え…………………?」


 妻の渚と浮気相手の清水俊哉に写真を見せ、隣にいる上司にも回覧させてやる。


「お前のやってきた事を本社にも伝えておいたからな。 弁護士も雇ってある。 会社としてどうするかきっちり落とし前つけてもらうからな」

「は………………はい。 申し訳ありません」

「それにお前も子供いるのに何やってんだ!! 何とも思わんのか!」

「……………す………すいません。 ほ………本当に……申し訳……ありませんでしたっ」


 子供の事を言われ泣きながら謝る清水俊哉に俺は同情する気もないが、妻にも同じ事を言う必要があった。


「お前もだ渚。 お前はその汚い手でいつも早苗を抱きしめてたのか? 何とも思わないのか?」

「何よ……………何であなたはこんな所にいるの? 会社じゃなかったの? 私達をつけてたの? 本当に気持ち悪いわね」

「気持ち悪くていいよ。 お前のしてることよりよっぽどマシだ。 どうすんだお前こんなことして? 分かってるのか? 会社まで巻き込んで、不倫していた事をどう早苗に説明するんだ?」

「何よ。 早苗は関係ないじゃない!」

「あるだろ。 お前早苗に自分がいけないことやってる事をどう説明するんだ? 相手の家族もいて子供もいて、会社もそうだ。 全てぶち壊して、自分はいいことやってるって早苗に説明出来るんか?」

「…………………」


「黙ってても何の解決もしねーよ。 俺はお前と離婚するから、弁護士も雇ってるし、お前の親にも連絡するから覚悟しとけよ」


「ごめんなさい! 本当にもうしないから、ごめんない……………許して下さい…………お願いします………………お願いします…………」


「もう遅いんだよ。 今更反省したって手遅れなの。 今日から別の賃貸で早苗と一緒に暮らすから次会う時は離婚届を貰う時だ」


「もう死ぬ………………死んで二人には謝罪します……………死なせて下さいお願いします」


「死んでも許さんよ。 生きて償えよ。 お前が俺達二人を裏切って皆に迷惑かけたんだよ。償うのは当然のことだ。 だから死ぬほど働いて俺達に返せよ」


「うわぁぁぁぁん!! ごめんなさい! 許してぇぇぇ!! お願いしますぅぅ!!」


「許さん。 許さん。 お前ら二人は死んでも許さん。 店長さんも必ずそこの清水俊哉には責任取らせて下さい。 あと言い忘れてたけどお前の家もちゃんと調べがついてるからな。 ポストに写真と文面を入れといてやったからお前のとこの奥さんともきっちり帰って話し合えよ」

「あ………………あ…ぁ…………」


「しょ……承知致しました。この件は必ず追って連絡致しますので、御時間だけ頂きたいのですが………」

「構いません。 覚悟しとけよ清水俊哉」


「………………………」


 言葉もでねぇか。お前らにはきっちりと落とし前つけてもらうからな。


 

 こうして1ヶ月後俺は妻から離婚届を貰い手続きを進める事にした。

 清水俊哉はというと会社を懲戒解雇になり、相手の会社からも謝罪文の添えられた通知がきた。


 当然だろう。あいつが会社でどんな待遇をされていたかは知らんが自主退社だけはされたくなかったからな。ざまぁみろだ。



 妻は実家に戻ってずっと家に引きこもっていると向こうの両親から謝罪と共に教えられたが何の感情も湧かなかった。

 それどころか裏切られた気持ちからこう思ったのだ。

 くっそざまぁみろと。


「早苗。 ママがいなくなって毎日寂しいか?」

「ううん。 ママ、家に帰ってきたら冷たかったから………学校の方が楽しかった」


 家に帰って来た時にふと聞いた事が心に沁みた。早苗は言えずにずっと苦しんでたのか。こんな事に気付いてやれなかったのは父親失格だな。


「俺がこれからはそばにいる。 仕事も早く帰れるようにするから一緒にいる時間をもっと増やそうな。 早苗は絶対にパパが幸せにするから」

「私はパパがいるから幸せだよ。大好きパパっ」

「俺もだよ早苗」


 こうして俺達二人は新たな人生を歩み始めた。残りの二人はその後自殺したか、どうなったかは俺の知ったこっちゃぁない。











よかったと思われた方は評価とブックマークをして頂けると本当に嬉しいです。


日間ローファンタジー連載部門 55位獲得

元A級冒険者のおっさん少女を拾う。〜神童と呼ばれた男はアイテムボックス持ちのエルフ少女と一緒に王都で自由気ままにスローライフをする〜

https://ncode.syosetu.com/n1904kf/

こちらも連載中ですので合わせて宜しくお願い致します!

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― 新着の感想 ―
営業方針ではなく、コンプライアンスかなーと思った
短編として内容も分量もよかった。 長編でキーワード要素埋めていく予定ならいいのですが、短編扱いとされるのであれば 半分くらいキーワード詐欺に見えます。 ギャグ:ざまぁ愉悦とギャグは違うと思います。 …
あらすじに「二人の妻と娘~」とあったので、主人公妻二人も居るのかと読みましたが居ませんでしたね。紛らわしので修正、お願いします。 後、タグのスクールラブは、どこでしょうか?
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