第一話 この高校に演劇部はなかった
基節は春。今日は高校の入学式だ。
僕はこの西高に足を踏み入れた。
この高校では新たな出会いと青春があると信じてやってきたのだ。
入学式が終わり、教室では自己紹介が始まった。僕は人前で何かするのは好きだ。目立つのが好きだ。だからこういうのも自分をアピールする場として最適だと考えている。
何をいおうか迷っているといつの間にか自分の番がきたらしい。しまった、クラスメイトの自己紹介を全く聞いていなかったぞ。まぁ追々覚えていけばいいか。さて、僕は何をいおうかな。
そう思いながら席から立ち上がり自己紹介を始める
「皆さんきょんにちは。山崎和久だ。僕はこの高校で演劇部に入るつもりでいる。興味があるやつは一緒にやろうじゃないか!よろしく☆」
と大きな声でピースサインをしながら僕はそう言った。
クラスメイトは皆唖然とした顔をしている。そりゃそうだ。いきなりこんな自己紹介されたら誰でもびっくりして、ひいてしまうだろう。でもこれでいいんだ。これが僕の出した最適解だ。だから僕はもう一つ付け足して話す。
「どうした?皆。ここは笑うところだぞ?あ!もしかしてびっくり感じ?まぁ気にしなくて大丈夫!!僕はこういうキャラだからね!!」
胸を張っていったやった。少し間があってから拍手がされた。その拍手を待ってから僕は席に座る。第一人称はこれで十分だろう。皆の記憶に深く印象が残ったはずだ。
さて、ここで僕のことについて少し付け足して話そう。僕の身長は180cmで体重は58kgだ。細すぎるとよく言われるがまぁ仕方がないことだ。そして自分で言うのもなんだが見た目はいい方だと思う。よく人からクールな人かと思って話しかけてみたら全然違ったと言われる。それはまさにその通りだ。僕はチャラい感じなんだよ。そして子供っぽいとも言われるな。まぁそれが僕、山崎和久なのだ。
さて、自己紹介をやりきったとおもって満足げに椅子に座ったのはいいものの、担任の先生からの衝撃的なことを聞かされてしまった
「山崎くん。この高校には演劇部はありませんよ?」
「え?」
僕はびっくりした。普通演劇部なんてどこにでもあると思っていたから。
「演劇部ないんですか?」
「ごめんなさいね。ないのよ」
「そうですか……」
ないことに気づかず入学してしまうなんて一生の不覚。でも待てよ、それならそうか。作ればいいじゃないか!!
「先生!!僕、いいこと思いきました」
「え?なんですか?」
「ないなら作ればいいじゃないですか!!演劇部を!!」
「それは……可能ですが厳しいと思いますよ」
「結構!!僕は必ず作って見せますよ!!最高の演劇部を!!」
そうして僕の演劇部を作る物語がはじまった。