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体温調節?

 残党が片付いたので、ハルートを助けた時から始まった、裏ギルド「血塗れの毒蛇(ブラッディーバイパー)」関連の話は終わったと思っていいだろう。

 ハルートとの約束事も果たして協力関係は継続し、今はシークとサーシャさんという「暗殺夫婦」と冒険者パーティを組んだので安全安心である。

 なので、ヘルーデンに来てから起こった問題はもう終わったと思っていいだろう。

 これからは本来の目的である、先々代の王たちが居るエルフの居場所を探しに「魔の領域」である森を攻略していくことになるので、早速森へと向かった。


「「「いってらっしゃいませ!」」」


 いや、まだ問題は終わっていなかった。

 門番たちの態度は何も変わっていない。

 ここもどうにかしておいた方がいいだろう。


「アイスラ。森に行くのは待て。門番たち。こっちに来い」


 門番たちは素直にこちらへと来る。

 グリフォン警戒で居た冒険者、警備兵、騎士たちの姿はもうない。

 門に居るのは門番たちだけだ。

 なのに、まったく落ち着いていないのはどういうことだ? と尋ねると――。


「寧ろ、これでも抑えている方ですが?」


「残党も居なくなりましたし、ヘルーデンを救ったようなモノですので、『英雄』と呼んでもいいですか?」


「許可を頂ければ、こちらは直ぐにでも呼び始めることができます。如何致しますか?」


 如何致しません。

 許可は出さない……アイスラ。残念そうにしない。

 もっと抑えるように。できれば他の人と同じような扱いにするように。と今度は強く念押ししてから、ヘルーデンを出て森へと向かった。


「「「お気を付けて!」」」


 もしかすると、「血塗れの毒蛇(ブラッディーバイパー)」よりも手強いかもしれない。


     ―――


 アイスラと共に「魔の領域」である森へと足を踏み入れる。

 ここ最近はハルートを鍛えることと、ギフトによるテイムをしてもらうために森へと来ていたということもあって、自分の目的のために入るというのはどこか新鮮な気持ちを抱く。

 多少入った程度でハルートと出会ったから、当然と言えば当然かもしれない。

 ただ、何度も入ったことで思うところができた。


 先々代の王たちが向かった先がどこかはわからない。

 この森の中に入っていった、ということしかわかっていないのだ。

 つまり、森の深層まで行ったかもしれないし、深層を越えた先に行ったかもしれないし、実は浅層か中層のどこかに秘密の通路みたいなのがあるのかもしれない、ということである。

 可能性の話として深層、もしくはその更に奥にあると、漠然と考えて進んでいたが、もう少し浅層と中層を探ってからでもいいかもしれない。

 ……まあ、一番可能性として高いのは深層、もしくはその奥にあると思うが。

 それでも、浅層と中層を探ることで、何かしらの手がかりを得ることができるかもしれない。


 あとは、ヘルーデンではなく、ドワーフのラックスさんにお願いしてドワーフの国を教えてもらって向かう、という手もある。

 とりあえず、柔軟にいこう。


 ――ということをアイスラに話してみると。


「……そうですね。カルーナさまと連絡を取れるようになりましたから、向こうで起こることに合わせて動くこともできますし、宜しいのではないでしょうか? ジオさまと私であればそれほど時間がかかることでもありませんし、それにもし見逃しでもあれば、それこそ時間の無駄となってしまいますし、改めて探ることで見つかるモノもあるかもしれませんので私は賛成です」


 賛成してくれた。

 なので、今日は森の浅層部分を探っていく。

 以前までは一直線に中層へと向かっていたが、改めて探ると……うん。普通の森だな。

 特にこれといったモノを見つけるようなことはない。

 精々見つけたと言えるようなことは、広範囲を探ることでこれまで見かけなかった他の冒険者の姿を見かけるようになったということだろうか。


 今も見かける。

 短剣を持って軽装を身に着けた斥候と思われる女性、大剣を持って体の要所だけを守っている鎧を身に着けた戦士と思われる女性と、杖を持って白いローブを身に纏うシスターと思われる女性の三人組の冒険者パーティが、狼の魔物数体を相手に戦っている。

 優勢なのは冒険者パーティの方。

 手助けは要らないだろう。


 ただ、冒険者パーティを見ていて思うことがあった。

 森は広大で、すべてを探るようなことは非常に難しい。

 だからこそ、見逃しがあるかもしれないと思っていた。


「ジオさまが考え事に集中しているのですが……その視線は……戦士と思われる女性に向けられたまま……あの女性が身に着けているのは所謂『ビキニアーマー』……もしや、ジオさまはあのような露出の多いモノがお好みということでしょうか……」


 しかし、毎日のように多くの冒険者が足を踏み入れているにも関わらず、これまでそれらしいのは何も見つかっていないのは、浅層にはエルフの居場所に関するモノが何もない、と考えてもいいかもしれない。


「私があれを着れば……ジオさまの視線を独り占め……ですが、不安要素として……非常に悔しい思いですが、あの女性の方が胸が大きい……果たして、それでジオさまの視線を独り占めできるのかどうか……いえ、何事も挑戦……ですが、ああいうのはどこで手に入るのでしょうか……待ってください……何もビキニアーマーでなくとも、メイド服を弄って露出を多くすれば……」


 浅層を探るのに、時間はかけなくてもいいと思う。

 この考えをアイスラに聞いてもらおうと、視線を向ければ――。


「……アイスラ?」


 メイド服のスカート部分を少したくし上げて、綺麗な足をこちらに見せているアイスラの姿があった。


「はっ! い、いえ、これは! なんでもありません! そ、そう! 今日は少し暑いかな? と思って確認していただけなのです!」


「アイスラならどんな状態でも緊急対応が取れると思うけれど、直ぐそこで戦闘が行われているから、そういうのはできれば控えて欲しい。それと、他の誰にも見られていないとはいえ、俺も男な訳だから、そういう真似は慎むように」


「は、はい。失礼しました………………あれ? ジオさまの顔が少し赤いような……もしかして効果的?」


 アイスラがメイド服のスカートの位置を戻すが、何故か首を傾げる。

 本当にわかっているのだろうか?

 しかし、周囲の気温か……俺はギフト「ホット&クール」のおかげで常に快適環境だから、そういうのは失念してしまう。

 気を付けないといけない。


 見ていた戦闘が冒険者パーティの勝利で終わるのを見届けたあと、浅層の探索を再開する。

 それから数日間、浅層の探索を続けたのだが、特に思うところは見つからなかったので、中層の方に向かうことにした。


 それと、探索中にアイスラが何度もメイド服のスカートをたくし上げる行為をしていたが、それで何度も見てしまうのは失礼なので、できるだけ意識しないようにしていると、いつの間にかやらなくなったのは……一体なんだったのだろうか?

 暑さに慣れるための体温調節だったのかな。

アイスラ「手応えがあったような……なかったような……」

作者「あるか、ないか……とりあえず、ないで!」

アイスラ「あ゛?」

作者「すみません。あるでお願いします!」

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