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エピローグ 1

 ルルム・ウルト同盟軍が勝利した。

 セントル大平原から王都へ凱旋し、フレミアムさまはフレミアム陛下へ――再び王位に就く旨がルルム王国全土に通達されて……終わりという訳ではない。

 たくさんの後処理が残っている。


 まず、主犯である簒奪者であるベリグ、追従して宰相となっていたムスター、それとナイマンは、まず投獄。

 ムスターに関しては、逃げてもどうせ――と大人しく捕まった。

 処分に関しては、ヘルーデンで待たせていたコンテント宰相を王都に呼び戻してから、フレミアム陛下はコンフォードさまも交えて決めるようだ。

 まあ、このまま投獄状態というのは優しい方で、人知れず処刑が濃厚だろう。

 助命は難しい……いや、ナイマンに関しては、もしかして、という可能性がある。

 父上の次に強いのだ。

 闇で動かす戦力として使う可能性は十分にある。

 ただ、ムスターに関しては、「この短期間でここまで国政を乱すとは! 許すまじ! 禿げろ! あっ、あいつ元々禿げてたわ!」とコンテント宰相が国政の内情を調べてお怒りらしいので無理だろう。

 まあ、俺には関係ない話なので、どうでもいいが。


 そして、再び王位は交代した訳だが、特に問題なく受け入れられた。

 元々簒奪された王位であるし、ベリグが王であった期間が短かったというのもあるが、フレミアム陛下の方がいいと熱望されていたからである。

 あと、コンフォードさまが表舞台に出て、「ルルム王国の王はフレミアムである!」とハッキリと喧伝したのも大きいと思う。

 ただし、それは一般の人の意見。

 貴族――フレミアムさまについた方はまだしも、ベリグの方についていた貴族はこれから大変だろう。

 早速、ご機嫌伺いというか、ベリグに無理矢理とか、脅されて仕方なくとか、我が身を守るために次々と面会を求める始末である。

 まあ、父上が言うには、大勢の貴族の弱みを握ったようなものなので、フレミアム陛下は「貴族籍剥奪や当主交代ばかり行ってしまうと今後に差し支えるから、ある程度は許容するしかないが、それでも今後はいいように使ってやる」と悪い顔を浮かべているそうなので、大丈夫そうだ。

 それに、自国の貴族ばかりを気にする訳にはいかない。


 ウルト帝国には此度の大きな戦いにおける協力への感謝――言葉だけではなく贈答品も含めて――だけではなく、今後についての話し合いも必要である。

 おそらく、今まで以上の結び付きとなるだろう。

 シシャン国にも大勢の援軍を送ってくれたことに対して同様の感謝と、こちらとも今後についての話し合いが必要である。

 今まで以上の国交が開かれることになるのは間違いない。

 まあ、その前に、シシャン国の方にはレレクイア王妃とロズベイラ王女が匿われていたので、呼び戻す方が先だ。

 エルフたちの方は……どうなのだろうか?

 今回は俺やお祖父ちゃんたちに恩を返すために参戦したそうだが、今後は……まあ、なるようになるだろう。

 ……なんとなく、俺が交渉の窓口に使われそうな気がしないでもないが、その時はその時だ。

 なんにしても、ルルム王国は、ウルト帝国とシシャン国、それとおそらくエルフとも、結び付きがこれまで以上に強くなるだろう。


 サーレンド大国の方は……沈黙、だろうか。

 一応、セントル大平原での戦いから逃走したと思われるサーレンド大国の者たちは、追撃部隊の報告によると、あのままサーレンド大国まで引き返したようだ。

 そこから、再び攻めてくる気配はない。

 準備すら始めていないようだった。

 セントル大平原の戦いを経て、もう侵攻はできないと諦めたのだろうか?

 とてもそうとは思えない。

 これについては、母上が色々と調べて考察した。

 母上によると、セントル大平原での戦いにおいて、ベリグ側の援軍として来ていたサーレンド大国軍は、勝とうが負けようがどちらでも良かったのではないか? というものだった。

 こちらからすれば、どちらでもいいとかふざけた話ではあるが、何故どちらでもいいとなるのかは、サーレンド大国の現状が関係している。

 サーレンド大国は飛ぶ鳥を落とす勢いで侵略を仕掛けていって領土を拡大しているが、短期間で大きくなり過ぎたそうだ。

 そろそろ地盤を固めないと、その内に内部から崩壊――なんてこともあり得るらしい。

 だから、セントル大平原での戦いは、勝てばそのまま侵攻していっただろうが、負ければ内政に力を入れる時期に入った、と考える一つの指針として使われたのではないか? と。

 それが本当なら、サーレンド大国は本当にふざけた国だが、それだけの力を持つ大国なのは間違いない。

 暫くの間サーレンド大国が侵攻してくることはない、と母上は結論付けた。


 まあ、何にしても、ルルム王国からすればベリグによる王位簒奪、俺からすれば家族がバラバラになった――一連の出来事が漸く終わった、ということである。

作者「………………ふぅ。漸く終わ」

ベリグ「いいや、まだだ! ここから我の復活が」

作者「ねえよ!」

ベリグ「ライバルだったのが味方となって」

作者「ねえよ! というか、ライバルキャラじゃないから!」

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