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「ルルム王国大戦」 25

 父上とナイマンの戦いは気になるが……まあ、父上が勝つだろう。

 ナイマンに、というか、誰かに負ける姿は想像できない。

 ただ、ナイマンは強い。

 多分、お互いに本気ではなかったとはいえ、やり合ったからわかる。

 もしかすると、父上は多少なりとも傷を負うかもしれない。

 それはそれで凄いことなのだが。


 ともかく、ナイマンのことは父上に任せる。

 俺とアイスラは父上にお願いされた、フレミアムさまの安全を確保するために動くべきだ。

 護衛たちと共に進んでいたフレミアムさまとは、前線に到達しそうなところで合流できた。


「フレミアムさま!」


「おお! ジオとアイスラか! ルルム・サーレンド連合軍の戦線はもう崩壊していると言ってもいい! これ以上の戦いはどちらもただ犠牲を増やすだけ! 故に、決着を着けに、簒奪者であるベリグの下へ行く! 付いて来てくれるか?」


「わかりました。付いて行きます。父上からもそうお願いされました」


「そうか。ナイマンと対峙していたのは、やはりオールだったか……」


「大丈夫です。父上は負けません。ですので、ナイマンは父上に任せて、こちらはこちらでやるべきことを行いましょう」


「そうだな。頼りにしている。行くぞ! この戦いを終わらせに!」


 フレミアムさまを守るということで、アイスラと共に前に出る。

 そのまま前線に突入して、ルルム・サーレンド連合軍の者たちを斬り伏せながら、少しずつでも確実に進んでいく。

 共に来ている護衛の人たちはルルム・ウルト同盟軍の精鋭で構成されていて強く、フレミアムさまの周囲を固めているので、見るからに士気が落ちているルルム・サーレンド連合軍の者では、精鋭の護衛たちを突破して、フレミアムさまに刃を届けるのは難しいだろう。

 それに、この一団のあとにルルム・ウルト同盟軍が付いてきているので、フレミアムさまの安全はより確実となっている。


 だから、俺とアイスラは気兼ねなく進んでいけるのだが……まあ、敵の総大将が突っ込んで来ているのだから、それに気付いたルルム・サーレンド連合軍の者は目の色を変えて襲いかかってきていた。

 もちろん、主に俺とアイスラでズバッと斬り伏せているので、フレミアムさまに近付くことはできていないが――と思ったのだが、少し危ないかもしれない。

 進んでいく中で、この一団の存在がルルム・サーレンド連合軍内で広められたのか、押し寄せる敵の数が一気に増え始めてしまい、俺とアイスラが斬り伏せていく数よりも多く押し寄せて来ているので、後方にも敵が襲いかかり始めた。

 今はまだ護衛の人たちの方も対応できているのだが、その内足を止めて戦わないといけない時が来るかもしれない。


 ――そんな時は来なかった。

 心強い協力者が現れる。


「ジオよ! お祖父ちゃんが来たぞ!」


「あんただけ来たみたいに言うんじゃないよ! お祖母ちゃんも来たからね、ジオ」


「フレミアム! 決着を着けに行くのだろう? なら、私たちが道を切り開いてやろう!」


「邪魔者を片しておくのは私たちに任せて。フレミアム。あなたはしっかりとやるべきことをやってきなさい」


 お祖父ちゃんたちがルルム・ウルト同盟軍の人たちを引き連れて現れ、フレミアムさまの周囲と後方を守ってくれる。

 これで安心、大丈夫だ、と俺とアイスラは前へと進む速度を上げていく。

 フレミアムさまもしっかりと付いて来てくれていた。


 そうして、前へ前へと止まることなく進んでいくと――。


「おっと! どこに行こうというのだ?」


「まあ、何にしても、これ以上先に行かせる訳にはいかないな!」


 大盾持ちの重装とでも言うべき全身鎧の者たち――敵の重装部隊が行く手を遮る。

 棘付き鉄球持ちとかも居るので、殺意はかなり高そうだ。

 また、それなりの強さも感じるので、相手はルルム・サーレンド連合軍の精鋭部隊かもしれない。

 もしそうなら、この先にベリグ王が居て、その防波堤となっている可能性は十分にある。

 となると、そう簡単に倒すことはできないというか、俺たちを通さないように奮闘するだろうから、倒すのに時間がかかりそうだ。

 問題なのは、その時間でベリグ王が最悪逃げるかもしれないということで……。


「……全員重装で動き鈍そうだし、横に逸れるか。付いて来られないだろ」


 脇を逸れていくことを提案すると、重装部隊に動揺が走る。

「そ、それは卑怯だぞ!」とか「た、戦え! 俺たちと戦うんだ!」や「こ、ここで俺たちとの因縁を清算したくないのか!」とか好き放題言ってきた。

 少なくとも、初見なので因縁云々を言われても……。


 アイスラはそういった声を気にすることなく同意するが、懸念も伝えてくる。


「そうですね。戯言にもわざわざ付き合う必要はありませんし。ですが、その場合ですと、この者たちをイクシーさまたちに押し付ける形になりかねませんが……」


「ああ、それはなんか悪いな」


「おや? 問題はなさそうです」


「え? それはどういう――」


 訳だろうか? とアイスラに尋ねる前に来た。


「邪魔だ! 貴様ら! ジオの行く手を遮るなど、万死に値する!」


 兄上が現れた。

 重装部隊の横合いから飛んで来て、そのまま飛び蹴りをかまして重装部隊の一人を蹴り飛ばす。

 ……相手は重装なのに蹴り飛ばせるのか。さすが兄上である。

 そのまま兄上によって、重装部隊はあっという間に一人残らず倒れた。

 疲れも見せずに、兄上が話しかけてくる。


「ジオ! どうしてここに? ――はっ! そうか! 寂しくなってお兄ちゃんに会いに来たのだな! さあ!」


 兄上が両腕を広げて迎え入れる体勢を取る。

 いや、違うから。

 アイスラも、対抗するように両腕を広げなくていいから。


「そうではなくて……待てよ。兄上がここに居るということは、もうルルム・サーレンド連合軍の中を抜け出たということで?」


「そうだな。大半の部分は抜け出た、というのが正しい。敵の本陣はもう少し奥にあるようだ」


 広げた両腕を畳みながら、少し寂しそうに兄上が答える。

 ついでに、アイスラも寂しそうに広げた両腕を畳む。

 というか、今はそんな暇はないのでは? ……暇があればいい、という訳でもないから。


 何にしても、残すは本陣だけである。

 早速向かおう――としたところで、俺、兄上、アイスラは揃って身構えた。

 強烈な……圧倒的な力を感じさせる存在が現れたからだ。


「結果を急いでもらうのは困るな。少し、私に付き合ってもらおうか」


 青い短髪の五十代くらいの男性――サーレンド大国の騎士団長であるジェドが俺たちの前に立ちはだかった。

作者「ジェドさーん! そろそろ出番の時間でーす!」

ジェド「わかりました。よっこいしょ、と」

作者「ジェドさん入られまーす!」

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