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「ルルム王国大戦」 1

か、変わりすぎて手間取る……。

これでいいのかな?

 嫌がらせと言える俺の提案は、本当にいいの? と驚くほどあっさりと通った。

 話を通しにいった母上が言うには、「寧ろ、そういうことをしたと知っていると面白いからやてくれ。それと、歴史書に残そう。そういうことがあった、と。関連することわざとか作られそうだな。『簒奪者には天から罰が落とされる』とか」とフレミアムさまが大笑いしながら許可を出したそうだ。

 お気に召したようで何よりである。

 なので、早速実行した。

 まあ、本当に実行するのはハルートが繋がりで指示する、ちーちゃんとつーちゃんだが。

 もちろん、安全面も考慮している。

 ルルム・ウルト同盟軍側から飛び立ったようには見えないように遠回りしていき、何か危険があれば直ぐに退避とした。


 そして、実行。


     ―――


『こちら燕編隊所属・01(ゼロワン)――通称「ちーちゃん」。目標上空まで、距離100』


『こちら燕編隊所属・02(ゼロツー)――通称「つーちゃん」。爆撃弾装填準備開始――完了。いつでもいけます』


『こちら、ちーちゃん。準備完了。距離10。いつでもいけます。司令官、爆撃弾投下許可を』


『――許可する』


『了解。目標上空到達――爆撃弾。投下開始』


『投下。投下。投下』


     ―――


 よくわからないが、そんな感じだったらしい。

 ハルートが繋がりを通して様子を見ていて、ちーちゃんとつーちゃんはしっかりとベリグ王の兜と鎧にぶつけてきたそうだ。

 ちーちゃんとつーちゃんも無事に離脱。

 ベリグ王が気付いて喚く姿が見えたそうだ。

 ――その一連の様子を見たかった、というのが一番の思いである。

 それは俺だけではなく、報告にいった母上から、フレミアムさまも同じ思いだったと聞かされ、お祖父ちゃんは大笑いして、コンフォードさまとじいちゃんは苦笑を浮かべていたそうだ。


 一応、のちの歴史に残るように、伝え残していけるようにしようと思う。

 実はこれが最初の攻撃だった、としておけば、まさか――という感じで残っていくかもしれない。


     ―――


 やったことを知っている人たちからすると、それが戦いの始まりの合図といっても過言ではないが、大半は知らないことだ。本当に一部しか知らない。

 だから、大多数からすれば、これからが戦いの始まりである。

 ベリグ王の兜と鎧は今頃洗われているだろうが、それで延期されるといったことはなく、直ぐさまルルム・サーレンド連合軍の方から大きく激しい銅鑼の音が鳴り続け、こちらまで届く。

 対抗するように、ルルム・ウルト同盟軍からも、銅鑼の音が鳴り続ける。


 ――しまった。配置に付いていない。というか、配置ってどこだったか……いや、遊撃部隊として後方に下がり、ルルム・ウルト同盟軍から少し離れているのだった。

 俺たちに配置なんてない。

 ただ、いつでも戦場に出る心構えは――できていた。


「「「う、おおおおおっ!」」」


「「「ウ、オオオオオッ!」」」


 両軍から大きな怒号が発せられて――どちらも前進が始まる。

 始まりは、どちらもゆっくりと歩を進めていたのだが、その速度は徐々に上がっていき、直ぐにでも駆け出し始めた。

 いくら広大なセントル大平原であろうとも、両側から中に向かって駆けて行けば衝突は直ぐである。

 大きな怒号を上げながら衝突して――ルルム王国だけではなく、ウルト帝国とサーレンド大国の行く末も深く関わっている、大きな戦いが始まった。


     ―――


 母上はルルム・ウルト同盟軍の本陣で待機。

 そこが一番安全であり、もしもの時はそこから退却するだろうから、母上は大丈夫だろう。

 俺たち――独立遊撃部隊は、戦場の様子を見るために、少し小高くなっている場所に移動する。

 ここからなら、よく見えた。


 ルルム・ウルト同盟軍は、総数で負けていることもあって、中央に戦力を集中させている。

 ルルム・サーレンド連合軍は、総数で勝っていることもあって、中央をもっとも厚くしているが、左右の厚みもかなりものだ。


 まず衝突したのは中央。

 どちらもまずは様子見といった感じだ。

 中央が衝突している間にルルム・サーレンド連合軍は左右を進めて、こちらと取り囲もうとしている動きを見せた。

 左右の動きを止めるために出るべきかな? と思ったが、先にお祖父ちゃんとお祖母ちゃん、コンフォードさまとウェルナさまが大部隊を率いて向かっていったので大丈夫だろう。


 そのまま戦場の様子を窺っていると、ルルム・サーレンド連合軍の後方から戦場に向けて飛び立つ存在が現れる。

 竜の頭に、コウモリのような翼、鋭い鉤爪を持つ足で、刺々しい尻尾を持つ飛竜――ワイバーンだ。

 そのワイバーンの背には鞍が付けられ、人が乗っている。

 ワイバーンライダーと呼ばれている存在。それが六騎。


「……これはマズいな。対空への攻撃手段がない訳ではないが、既に前線は戦闘中だ。中衛、後衛から攻撃しようにも、外れれば敵味方問わず被害を受けるとなれば容易に攻撃はできない。それは向こうも同じだが、空から攻撃できるのなら、前衛、中衛、後衛は関係ない。一方的な攻撃に晒されることになる。ルルム王国にはこのような戦力が?」


 ロレンさんが確認するように俺を見る。

 そんな戦力はないが、俺がすべてを把握している訳でもない。

 なので、確認するようにアイスラを見る。


「ありません」


 ないそうだ。

 念のため、ハルートたちにも確認を取るが、ルルム王国の戦力として聞いたことがない、と。


「ないようだ」


「いや、自分も見聞きしていたから。となると、サーレンド大国の戦力か。どうする? このままアレを放置すると大きな被害が出かねないが」


「もちろん、放置はしない。俺たちの出番のようだ。独立遊撃部隊、いくぞ!」


 こちらだって空を駆けることはできるのだ。

 早速、ぐるちゃんたちの出番である。

作者「これでいいのだろうか。少しの間手間取るかもしれない」

ジオ「なら、こちらを手伝って」

作者「いや、そっちの方が無理だから」

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