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「ルルム王国大戦」の始まり

 ルルム王国の中部にある広大な平原――セントル大平原にて、これから戦いを繰り広げることとなる両軍が相対する。


 一方は――ルルム王国の先々代王であるコンフォード、簒奪されて先代王となったフレミアムが旗頭となっている、ルルム・ウルト同盟軍。

 メーション侯爵家が中心となり、ブロンディア辺境伯家が補佐に回って可能な限り兵を集め、相手側が「新」を名乗ったので「旧ルルム王国軍」と名称を変えた軍――約六千人。

 ウルト帝国からランドス陸騎士団長が率いる、陸騎士団と兵、冒険者を集めた、旧ルルム王国軍への援軍――約二万人。

 それがルルム・ウルト同盟軍である。


 一方は――王位を簒奪し、自らを新王としたベリグ王が旗頭となっている、ルルム・サーレンド連合軍。

 ナイマン騎士団長が率い、ベリグ王に付き従う貴族によって集められて、相手側との違いを、そして自分たちの立場を押し上げるために「新ルルム王国軍」を名乗った軍――約一万二千人。

 ビギング・アスト・サーレンドの名の下に集められ、青い短髪に筋骨隆々な体付きの五十代の男性――サーレンド大国のジェド騎士団長が率いる、騎士団と兵、冒険者を集めた、新ルルム王国軍への援軍――約二万三千人。

 それがルルム・サーレンド連合軍である。



 ルルム・ウルト同盟軍 約二万四千人


     対


 ルルム・サーレンド連合軍 約三万人



「ルルム王国大戦」は、当初その人数がセントル大平原で相対したところから始まる。


     ―――


 ルルム・ウルト同盟軍・大天幕・作戦本部


 コンフォード、フレミアム、ランドス陸騎士団長が揃い、さらに黒髪で、柔和な顔立ち、細身で非常に品質の高い鎧を身に付けた六十代くらいの男性――メーション侯爵と、ウェイン・ブロンディア辺境伯も居て、それぞれが同盟軍に指示を出していた。

 ルルム・サーレンド連合軍に対する陣形を組むためである。

 また、それぞれが勝手に指示を出しているという訳ではなく、全員が情報を擦り合わせ、的確に指示を飛ばしていた。

 陣形組みから、戦いは始まっているのだ。

 また、旧ルルム王国軍からすれば、相手は王位を簒奪しただけの王であるし、これでフレミアムが悪王であるというのならまだしも、そういうこともなく治世だったのだ。

 大義名分はこちらにある、と非常に士気は高い。


 ウルト帝国からしても、ここで負ければ次は自分たちの国が襲われるとわかっているため、戦闘意欲は十分である。


     ―――


 ルルム・サーレンド連合軍・大天幕・作戦本部


 ナイマン騎士団長とジェド騎士団長の二人が中心となって、連合軍へと指示を出している。

 連合軍の旗頭となっているベリグ王は座してその様子を見ているだけだ。

 ただ、それも仕方ない。

 ベリグ王は武勇に優れている訳ではないため、この戦いについても戦闘はナイマン騎士団長とジェド騎士団長任せである。

 なら、何故ここに居るかと言えば、同盟軍の方にコンフォードとフレミアムが居るからだ。

 相手には先々代と先代の王が戦場に居て、当方には新王が戦場に居ない――となれば士気に大きく影響するからだ。

 それでなくとも、ルルム王国内における先々代の王であるコンフォードの人気は非常に高い。

 目を離せば、当方を裏切る貴族が出てもおかしくないため、それらを抑え付ける目的もあった。


 サーレンド大国からすれば、これは正に絶好の機会である。

 これまではルルム王国とウルト帝国が協力することで侵略は阻まれていたが、ルルム王国が二分――数的には当方に多く集まった状態で戦えるのだ。

 ここで勝てば、ウルト帝国に手をかけることができて、念願の海を手中に収めることができる――という見通しが立つのである。

 新ルルム王国軍は相手にコンフォードが居ることで少し及び腰ではあるが、サーレンド大国の勝利への意欲は十分にあった。


     ―――


 そうして、ルルム・ウルト同盟軍とルルム・サーレンド連合軍はセントル大平原に辿り着いてもまずは睨み合いを続け、互いに陣形を組み終わると、どちらからも銅鑼の音が鳴り響き、動き出す。

「ルルム王国大戦」が始まる。


     ―――


 ――「ルルム王国大戦」は後に多くの歴史書で書かれるが、戦闘の始まりについては議論が度々交わされることになる。

 というのも、一部の者たちが語った話で、これが本当に始まりなのか? と疑ってしまうような内容だからだ。

 けれど、その一部の者たちについては嘘を吐くような者ではないと言われており、関わりのある者たちはそれが真実であると理解を示す言葉を残しており、また、相手側の話の中にそれを見た、と言う者もいて、どちらかと言えば真実寄りとされている。


 議論の決着はついていない。

 何しろ、それが真実だとした場合、なんとも間抜けな始まりだからだ。

 それを見ていた兵士の一人は、見たままの言葉を残している。


 ――「巨大な燕が二羽飛んできたかと思えば、ベリグ王の鎧に糞を落としていった」と。


 一部では、それが「ルルム王国大戦」の戦いの始まりだと言われている。

作者「漸く始まるぞ〜! 頑張って〜!」

ジオ「行ってくる!」

アイスラ「とりあえず、全員殺せば終わりですよね?」

作者、ジオ「「物騒だなぁ……」」

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