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舌戦?

 予想された通り、セントル大平原で戦う相手と対峙する。

 かなりの勢力だ。

 間違いなく、数は向こうの方が多いと見ただけでわかる。

 ただ、こちらにはお祖父ちゃんたちにロレンさん、ウェインさまにハルートたち――ぐるちゃんたちに天使さんを含む――と、総合的に質ではこちらの方が上だと思う。

 まあ、向こうにはナイマンが居るだけでなく、サーレンド大国から強い人も来ているだろうから油断はまったくできないし、楽観視もできない。


 いや、やろうと思えば、超遠距離から俺のギフト「ホット&クール」による視界全範囲でこう……極熱? 極冷? とかで一発だと思うが……さすがにやり過ぎか。ルルム王国の軍は向こうが多いし、それを失うとなると今後に響く。

 待てよ。なら、新王――さすがにもう名前でいいか。

 ……名前、なんだっけ? ………………ヘリクダル? 違うな。違う気がする……そうだ。ベリル……じゃなかった。ベリグだ。そう。ベリグ。今だけだが、ベリグ王とするか。

 ともかく、やり過ぎると、勝利したあとにサーレンド大国に対する力が足りなくなってしまうので、やらない。

 まあ、局地的とか、いざという時は躊躇いなく使うつもりだが。


 ともかく、対峙した以上、次は戦闘だ。

 そのための準備を互いに進めていく――そんな中、ルルム・ウルト同盟軍の総大将となったフレミアムさまが誰よりも前に出る。

 玉砕覚悟の突貫か? と思ったが、さすがに違った。

 少しだけ前に出て止まる。

 フレミアムさまの側にはコンフォードさまやお祖父ちゃんが居るので……まあ、危険はないだろう。

 何をするつもりなのだろうか? と思っていると、向こう――ルルム・サーレンド連合軍からも前に出てくる人たちが居た。


 一人はナイマンだとわかるので……こちらはフレミアムさまが出て来ているから、もう一人はベリグ王か?

 距離があり過ぎて、それくらいしかわからない。


『ベリグ! 貴様はもう叔父とは思わない! そして、王だとも思っていない! 貴様は簒奪者である! つまり、ただの盗賊でしかないのだ! それが自らを王と名乗るとは、なんとも馬鹿馬鹿しい限りだ! くだらない! 故に、私が引導を渡してやろう! だが、投降するというのであれば命だけは助けてやろう!』


 フレミアムさまとはそれなりに距離があるが、その声はハッキリと聞こえた。

 凄い声量かと思ったが……違う。

 魔法で拡声しているようである。


『フレミアム! 私をただの盗賊とするのなら、その私に負けた貴様はそれ以下ということだ! そのような者が王で居続けるなど、悲劇でしかない! 国にとって害悪にしかならない! よって、私が立ち上がり、力によって、王となったのだ! 私は英雄である! 貴様こそ、無駄な抵抗はやめろ! 私を王と認め、降るというのであれば、貴族籍を与えて、貴族として扱い、貴族として葬儀をあげてやろう!』


 ベリグ王は、同じく拡声してそう返してきた。

 まあ、投降なんてするはずがない。

 だからこその現状なのだから。

 今のは、互いに戦う意思があると伝え合っただけだ。

 だから、そのあとに続いたフレミアムさまとベリグ王の言い争いは、最初こそ貴族らしい言い回しだったが、ある程度言い切ったあとになると――。


『私は聞いているぞ! メイドに自分の汚れたパンツを洗わせて、それをこっそりと見て愉悦しているのを!』


『最近、抜け毛を気にしているそうだな? となれば、朝起きると、まず枕を見ているのではないか? ん? どうだ? 正直に言ってみろ!』


 そんな感じになった。

 う~む。王と言えども人だな、と思う。

 ともかく、話し合いでの解決は無理だということだ。

 そのまま言い争いが続くと思われたが、そこにコンフォードさまが割り込む。


『ええい! いつまでも言い争いをするな! (ベリグ)よ! 私が誰かわかるであろう? だからこそ、私からも聞きたいことがある! 何故、簒奪などという真似をした? 王位が欲しいのであれば、私が王であった時に奪いにくれば良かったではないか!』


(コンフォード)か! その答えは明白だ! 私が王となる! その時が来ただけのこと! そして、私の力を示すために、その力によって手にしただけのこと! それだけだ! それと、よくぞ生きていた! 兄を超える絶好の機会を与えてくれて、ありがとうと言っておこう! 兄を超え、私はルルム王国の最強最高の王となる!』


 ベリグ王は敵意満々である。

 それと、見た限りだと、ルルム・サーレンド連合軍に、コンフォードさまが居ることに対しての動揺はあまり見られない。

 事前に通達して……コンフォードさまの人気を考えれば、裏切りが出ないように何かしているのかな? ……まあ、しているだろうな、きっと。

 まあ、その辺りに何かあっても、戦後である。

 だから、言い争いを続けるのは構わないのだが――。


『思い出したぞ! そういえば、お前! 将来はメイドのスカートの裾を膝上にしてみせると息巻いていたな! 王になったのはそのためか! 王の権力を使って国中のメイドのスカートを膝上に!』


『は、はあ! な、ななな、何を言うのかと思えば! そ、そんなことしないし! ……しないからな! でもまあ、そういった声が多かったら、そうするしかないな! それも治世だ! いや、そうではなく!』


 こちらとも言い争いをするのはどうなのだろうか?

 甥と叔父、兄と弟……血縁関係だからだろうか?

 軍配的には……コンフォードさま(こちら側)が優勢だと思う。

 これを舌戦としていいかはわからないが、もう少しだけ続いたあとに終わった。


     ―――


 舌戦が繰り広げている間も、戦闘準備は行われていた。

 どちらも陣形を組んでいく。

 向こうがどうしているかはわからないが、こちらは旧ルルム王国軍、ウルト帝国軍は分かれて、それぞれ役割をもって陣形を組んでいた。

 俺は……まあ、お祖父ちゃんたちも居るし、旧ルルム王国軍の方だな、と思っていると呼び出される。

 フレミアムさまから話があるそうだ。


 陣形を組んでいるルルム・ウルト同盟軍から少し下がった場所にある大きな天幕。

 それが作戦本部となっていて、そこでフレミアムさまと会う。

 フレミアムさまだけではなく、母上が居て、他にもお祖父ちゃんたちにロレンさん、ウェインさまにじいちゃん、ランドス陸騎士団長と、ルルム・ウルト同盟軍の中心となる人たちが勢揃いしている。

 そこで、フレミアムさまから「ジオには独立した少数精鋭の遊撃部隊を任せたい」と言われた。

作者「ジオくん。合わせて執筆も」

ジオ「ん?」

作者「いえ、なんでもないです。はい」

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