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きっかけとなる始まり

初めての方も、久し振りの方も、こんにちは。ナハァトです。

少しずつ書いていて形になったので、可能な限り毎日投稿していきます。

自分も楽しみながら書いていますが、読んで楽しんで頂ければ幸いです。

よろしくお願いします。

 ――ルルム王国。

 東にある――国土の東方が海に面して海洋貿易で非常に栄えているウルト帝国と、西にある――多方面に侵略できるほどに大きなサーレンド大国に挟まれた国である。

 国土としては東西の国より狭く、大国と認知されるまでには至っていない。

 だからといって、東西の国よりも明確に劣っているという訳ではなかった。

 ルルム王国が誇れるモノが二つある。


 まずは資源。

 国土の大半が肥沃な大地であり、いくつかの鉱山とダンジョン、それと南には海と繋がる大河が流れ、他国へ輸出できるほどの多くの資源を有している。


 もう一つは武力。

 騎士、兵士、冒険者に至るまで、精強な者が多く所属している国として知られている。

 他にも、武力において他国にまでその名が知れ渡るほどの猛者が居て、国内に至ってはその者とその家族――一家揃って知らぬ者は居ないほどだ。


 ルルム王国が精強な国として知られているのには理由があった。

 西にあるサーレンド大国は元々多少大きな国の一つでしかなかったが、周辺国を取り込んで大国まで大きくなった侵略国家であり、現在多方面に侵略を仕掛け、ルルム王国はその侵略を仕掛けられている国の一つなのだ。

 大戦とまではいかないが、これまでに小競り合いは何度も起こり、ルルム王国はそれを一歩も引かずに阻んでいることで自然と有名になっていた。

 ただ、サーレンド大国はルルム王国が狙いではない。

 その先――ウルト帝国と海を狙っているのだ。


 もちろん、ルルム王国とウルト帝国もわかっている。

 そのために、ルルム王国とウルト帝国は同盟を結び、協力してサーレンド大国に対抗しているのが現在の形であった。

 けれど、それはサーレンド大国が現在多方面に同時進行で侵略を仕掛けているため、ルルム王国とウルト帝国に集中することができていないという部分も関係している。

 サーレンド大国は強大な国なのだ。


 だからこそ、何かの拍子に状況が変わる可能性は充分にあった。

 その何かの拍子が――ルルム王国で起こる。


     ―――


 その日の始まりは、なんてことない始まりだった。

 日常。これまでとこれから。

 これまで通り――特筆すべきことはなく、あるかないかの些細な刺激に期待するだけの日々……のはずだった。

 いや、大半はそのまま変わりなく、日常を過ごしている。

 しかし、一部――非日常が起こった場所は違う。


 その場所は、ルルム王国。王城。

 起こったことを端的に言えば、謀反だろうか。

 前提として、王城に通常勤めている騎士、兵士の数は一時的に減っていた。

 この時、サーレンド大国が攻めてきていたのだ。

 ただ、それ自体はいつものことで、別に攻めるのを忘れていない、いつでも攻められる、と示すようにサーレンド大国はルルム王国に攻めてきているので慌てるようなことではないのだが、今回はその数が多かったため、対抗するためにルルム王国もいつもより数を増やしていたのである。

 率いたのは、ルルム王からの信任が厚い武力で有名な一家の長。長男も付いていっている。

 このことで、王都、王城の戦力が一時的に大きく減少していたため、そこを突かれた形だ。


 謀反を起こしたのは、二つある公爵家の一つを治める前王の弟。

 ルルム王からすれば叔父であり、仲は……表面上は穏やかであったが、その心中は違っていた、ということだろう。

 ルルム王の王としての資質不足や非道な犯罪に手を染めているなど、前王の弟はそれらしい理由を口にしたが、実際のところは自分ことがルルム王国の正統な王であると主張し、それに従う貴族たち、それとその私兵を引き連れて王城に攻め入った。

 この行動は迅速で、計画的であったのは間違いない。

 また、これは王城内だけの局所で起こったことであったため、発覚したのは前王の弟の謀反が成功し終わったあとであった。

 そう。成功したのだ。一応。


 一応なのは、成功したといっても芳しくはないからである。

 前王の弟が新たな王となったのは間違いない。

 簒奪だろうが事実である。

 王位を奪われ、元となったルルム王は――捕らえられた。

 殺されてはいない。

 前王の弟――新王側からすれば殺害してしまうのが一番の結果かもしれないが、それをしない理由があった。

 武力で有名な一家の長は元ルルム王と懇意なので、早々に殺害してしまうと要らぬ怒りを買ってしまうため、牽制あるいは抑制、迎え撃つための準備期間を作るために元ルルム王は殺されずに人質として生かされる。

 新王に従う貴族たちから色々と言われるが、気にしない。王だから。

 何しろ、武力で有名な一家の長の力を、新王は非常に高く評価しているからだ。

 それこそ、下手をすれば一人で王城を落とせるのではないだろうか? と思うほどに。

 実際にできるかどうかは問題ではない。

 新王はそれだけ恐れている、ということである。


 しかし、これは杞憂に終わる。

 武力で有名な一家の長は、謀反の一方が届くと同時に引き連れていた騎士、兵士たちの中に居た新王派の者たちに襲われ――捕らえられてしまう。

 これで、新王からすれば元ルルム王を殺害しても問題ない――ことにはならなかった。

 謀反の際、元ルルム王は自身を囮として動き、王妃、王子、王女を王城から逃がしていたのだ。

 そのため、新王は元ルルム王をまだ生かしておくことにする。

 元ルルム王を生かしておけば、逃げた王妃たちが助けにくることがわかっているからだ。

 そこを――狙うために。


 そして、新王はまず手始めに、最早脅威は去ったと武力で有名な一家にあった貴族籍を剥奪して解体させた。


 ――これが、のちに「ルルム王国大戦」と呼ばれる戦いの始まり(きっかけ)である。

今のところ、ここが一番シリアス……。

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