第7話 ヲタ 〜ヲタはもはやステータス〜
『結婚式の準備をする。ということで、式まで時間があるから、二人でゆっくりしてなさい』
ぼくらは、ヴィシュヌさんの言葉に甘えて、ウミと二人、ウミの部屋で過ごすことになった。
ウミの部屋は、玉座のある部屋を出て左手にあった。
扉を開ける前、ぼくは心臓が高鳴っていた。
女の子の部屋に入るのが初めてだし、王女様の部屋なのだから豪華絢爛を絵に描いたような部屋なのだろうと勘づいていたからだ。
だけど、実態は違った。
ウミの何倍もある扉を開くと、そこには……。
二次元、二次元、二次元……ッ！！！
二次元の嵐だった。
部屋の隅には、ピンクのふかっふかのベッドがある。その上部には、ふりふりのついた天蓋が。いわゆるお姫様ベッドというやつだ。
そういったお姫様らしさも兼ね備えつつも、やはり目立つのが、というか悪目立ちしているのが、ヲタグッズ。
某アニメの主人公が使用していた勉強机、カーペットには等身大の某アニメキャラ、壁には額縁に収まった某アニメポスターがある。
肝心のベッドにも、某アニメキャラの抱き枕……。
ウミは、ヲタだった……？
当たり前といえば当たり前だけれど、ウミは平然と部屋に入った。
ぼくは、躊躇う。
ヲタということに抵抗はない。
何を隠そう、ぼくも生粋ヲタだからだ。
ただ、散りばめられたグッズの全てが、ぼくの知っているアニメのグッズなのだっ！！！！
一向に入ってこないぼくに気付いたのか、ウミが不思議そうに首を傾げた。
「リクさん、どうされましたか？」
「このグッズたち、どうやって手に入れたの？」
「ああ、そのことですか。ずばり、お父様の魔法です！」
「魔法？！ そんなこともできるのっ！！？」
「リクさんを召喚できたんです。グッズぐらい、お父様の手にかかれば容易いですよ！」
まほうのちからってすげー！！！
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