第1話 絶望 〜終わりからの始まり〜
振り返れば、ぼくこと"リク"の人生は酷いものだった。
小学生の時は友達が一人もできなくて、
中学生の時は幼馴染に告白するも玉砕して、
高校生の時に無実の罪で中退させられて……。
こんなぼくでも何とか就職できた企業は、
小さな小さな介護の会社。
介護の会社で全てを変えれば、これまでの人生の失敗を取り返せると思ってた。
でも、それは違った。
ぼくを待ち受けていたのは、華々しい栄光なんかじゃない。
過労！！ 過労！！！ 過労の日々！！！！！
ぼくはどうかしていたんだ。
だって、ぼくが変わろうと思っても、
周囲が態度を改めない限り、
ぼくの待遇が良くなるわけがなかったんだ。
入社したら、段階的に、階段を一歩ずつ進むにつれて、仕事の量が増えていくものだと思っていた。
けれど、それは幻想！
押し付けられそうなやつは、押し付けても何も言い返してこなさそうなやつには、とことん仕事を押し付ける！！
これが世の中！！ 残念ながら、これが社会！！
ある時を堺にぼくは、周囲を恨む気持ちはなくなった。
それが、世界の構図で縮図だから。
強い者が笑って、弱い者が泣く。
それが、この世界だから。
最後に、せめて最後に、
介護の会社を立ち上げたかった……！
忙しない日々だったけれど、介護だけは楽しかった。
おじいちゃんおばあちゃんの笑顔を、この先も見守っていたかった。
ぼくは、高層ビルの屋上で一人、一歩、また一歩、
地獄に向かって歩みを進める。
あと一歩で楽になる。そう思った刹那、
眩いほどの閃光が、ぼくの眼前で唸りを上げる——。
光を直視した途端、ぼくのおぞましいくらいの頭痛に襲われた。
ぐわん、ぐわん、ぐわん。
頭が、痛い……。
ぼくは咄嗟に、腕時計に目線を落とす。
時刻は午前二時——。
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