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家庭教師は見た

家庭教師ブライアン視点です。


読み辛い文章になっており申し訳ありません。

様々な視点が混在しておりますが、少し修正し短編当時のまま残したいと思います。

■王子視点


僕は母上を遠くからしか見たことがない。

僕を産んだ少し後に流行り病に罹ったらしく、病気がうつらないようにする為に接触する事を禁じられていたらしい。


らしいというのは、まだ幼かった当時の記憶が無いから。


父上は母上が亡くなって大変に悲しんでいる…。

僕は乳母と一緒にいる事が多かった為、それほど悲しむ事はできなかった。


3歳になった僕に姿絵が1枚届いた。

とても可愛い女の子だ。


僕と結婚する女の子だと父上に言われた時、よく意味が分からなかった。


姿絵が届いてから僕に家庭教師がついた。

未来の国王になるのは僕だけだから、立派に王国を背負う為、勉強しなければならないらしい。


教師の名前はブライアン。

父上の教育を務めた教師の息子のようだ。


■ブライアン視点


私は当初この仕事に乗り気ではなかった…。

しかし、アレン王子の婚約者が公爵家エリザベート様だと聞いて私もこの国の為に頑張ろうと思い立った。


父上の話では国王は全く勉強に取り組まず、あげく【真実の愛】とやらに夢中で国を傾けそうになったらしい。

国を必死で立て直したのが現宰相と、その夫人であるエリアル様である事を私はよく知っている。


私もこの国に貢献できる絶好の機会だ!


アレン王子を立派に育て上げよう。

この国に繁栄をもたらす為に。


「はじめまして、アレン王子。私の名前はブライアンです。将来立派な国王になる為に勉強を一緒に頑張りましょう」


アレン王子はまだ子供だ。

分からない言葉が沢山あり、数多くの質問をされた。


だが、何にも染まってないので逆に良い事だと思った。


「ブライアン、国王とは何なの?」

「この国で一番愛されており大切なお方ですよ」


「僕は将来国王になるの?」

「はい。現在この国ではアレン王子以外に国王になれる方はおりません」


「僕しか国王になれないなら何で勉強するの?」

「シープ王国を守る為、民を守る為でございます」


「愛されているのに守ってあげないといけないの?」

「はい。王国を守り民を守るからこそ多くの方から愛されるのですよ」


「もし愛されない国王だったらどうなるかな?」

「シープ王国はなくなってしまうでしょう。多くの方が悲しい思いをする事になるかもしれません」


「王国がなくなってしまうと僕はどうなるのかな?」

「それは分かりません。王国がなくなってしまった時にどれほど民に愛されていたのか?どれほど王国の為に貢献してきたのかで変わってくると思いますよ」


「貢献って何をすればいいの?」

「今から勉強を頑張って立派な国王になることですよ」


「難しいことばっかりだね」

「はい。アレン王子は難しいことを誰よりも沢山しなければなりません」


「もしかしてこの国で一番大変なのって僕になるのかな?」

「最初は大変かもしれませんが、勉強を頑張って皆から愛される人になれば、自然と周りにも優秀な人が集まってくるものでございます。その優秀な方たちがアレン王子を助けてくれるようになりますよ」


「じゃあ、優秀な人が集まってくれるように勉強を頑張る必要があるって事だね?」

「はい。大変素晴らしいです。アレン王子はとても賢いですね」


「ところで結婚ってなにをするの?」

「これから先、アレン王子と一緒になって頑張ってくれる方と暮らす事です」


「姿絵の子は勉強頑張っているのかな?」

「アレン王子の為、この国で一番勉強を頑張っている女の子ですよ」


「僕はこの女の子にいつ会えるのかな?」

「5歳になったらお茶会でお顔合わせが予定されております。そこで初めて会う事ができますよ」


「じゃあ、今から5歳まで女の子に負けないように勉強頑張らないといけないね」

「大変素晴らしい意気込みでございます」


アレン王子はとても純粋だった。

そして、勉強もとても頑張った。


家庭教師がとても楽しくなってきていた時に事件が起きた。


■王子視点 お茶会当日


「お父様。今日始めて僕は結婚する子と会うのですが気を付ける事はありますか?」

「アレンはこの国で私の次に偉いのだから何もないぞ」


「でも、貴族は足の引っ張り合いをするから隙を見せてはいけないと先生に教えてもらいました」

「隙を見せてはいけないのは女の子の方だ」


「それは何故ですか?」

「その子が失敗をしたらアレンのせいにされてしまうかもしれないからな。失敗をする子だったら婚約破棄しないとアレンが大変な事になってしまう」


こんやくはき?

分からない言葉が出てきたので少し戸惑ってしまったけど、知らぬままでは駄目だと思い素直に父に聞く事にした。


「婚約破棄とはなんでしょうか?」

「結婚する約束をやめるという事だ」


ブライアンから聞いた事がない話だったので、とても興味がある。

そんな事ができるんだね!


「結婚するのをやめてもいいのですか?」

「当然だ!アレンが好きになれない子なら結婚するべきではない」


■ブライアン視点 お茶会後の授業


私は王子から驚愕の言葉を聞く事になった。

「エリーは初対面で僕の事をアレン様と呼んだから隙があると思って婚約破棄すると言ったんだけど、まずい事だったのかな?エリーが泣きそうな顔をしていたから悪い事をしてしまったかと思って…。僕は彼女の隙をなくす良い機会だと思ったんだよ」


私は婚約破棄という言葉を話した事もないし意味を教えた事もない…。

今は混乱している場合ではなく、この状況を改善する必要がありますね。


「既に婚約しているのですから、初対面でもアレン様と呼んでも問題ありません。恐らく決められた結婚でもお互い仲良くしていこうという意味があったのではないかと思います。そして一番大切な事ですが、決して軽々しく婚約破棄などと言ってはいけません」


アレン王子は困った顔になってしまった。

「でも、婚約破棄すると冗談半分で言ってしまったよ」


私には冗談半分で婚約破棄するという言葉を選ぶ理由が分からない。

しかし、自分の教え子でありアレン王子にはまだ挽回できる機会はいくらでもある。


その為、少し厳しく話すことにした。

「それはいけません!相手にしてみたら今までの全てを否定されたようなものです。アレン王子も冗談半分で本当は王子じゃないから偉くないよ、とは言われたくないでしょ?」


アレン王子は少し疑問を浮かべている表情だ…。

「父上は僕は2番目に偉いから何も心配することないと言っていたんだけど。失敗する子だったら婚約破棄しないと僕が大変な事になってしまう。それに、その子が好きじゃないなら結婚しなくてもいいと言っていたよ?」


私はここで悟った…。

国王は王子にも【真実の愛】を知って欲しいと思っているに違いない。


しかし、この結婚は王国にとってかなり大切なもののはず。

まずは公爵家に謝罪をするべきだろう。

「婚約破棄と言ったのは冗談でもまずいので女の子にプレゼントを贈って謝罪するべきです」


王子も私の言葉に納得してくれた表情で返事をした。

「分かったよ」


私は安心してしまったが、最後まで見届けるべきだった。


■王子視点


僕はプレゼントに何を送るのか父に相談した。

だって、何も分からないから…。


「父上、今日のお茶会で僕は失敗してしまいました。冗談半分でエリーに婚約破棄すると言ってしまったのです。謝罪の意味も込めてプレゼントを贈ろうと思うのですが何が良いでしょうか?」

「アレンよ、なぜ王子である其方が謝罪する必要がある?婚約破棄されて困るのは相手の方であろう?アレンは国で2番目に偉いのだから国中から自分に相応しい女の子を選ぶ権利があるのだぞ?国王である私と宰相との話し合いで婚約する事になったが、アレンが他に結婚したい女の子がいるのならその子にすれば良い」


僕はよく分からないといった表情をしていたのだと思う。

父上は僕を宥めるように語り掛けてくれた。


「エリザベートを愛する事はできそうか?」

「分かりません。とても可愛い女の子だとは思いますが、それ以上は何も分からないです」


「では、これからゆっくりと考えていけば良い。愛していない女の子に謝罪の必要はないから心配しなくても良い」

「分かりました、父上」


■ブライアン視点


王子が可笑しな話をし始めた。

「父上が謝罪する必要はないって。僕に女の子を選ぶ権利があるから相手に気を遣う必要はないみたいだよ。だって、まだ今日会った子を好きになるのかどうかは分からないからね」


国王の政略結婚に対する考えに疑問を持ち私は王子に聞いてみる事にした。

もしかして王子も国王と同じ事を考えているのかもしれない…。


「アレン王子はこれから先、学園に通うことになります。学園に入ってからも好きな女の子を探すおつもりですか?」

「はい。だって、父上には好きな子と結婚すれば良いと言われたから。エリーを好きになるのかどうか分からないでしょう?」


やはりか…。


しかし、この結婚は将来この国に必要なはず。

他に好きな子ができたら、その子にすれば良いなど国王は何を言っているのだ。


「少し国王様とお話をしたいと思いますので、アレン王子の勉強は今日はここまでです」

「分かったよ」


王子との授業の後、疑問に思った事を国王に聞いてみた。

「国王様。何故王子に他に好きな子ができたらその子と結婚したら良い等とお話されたのですか?これでは、政略結婚の意味もないではありませんか」

「この国は公爵家の力が強過ぎる。宰相もしており、その妻はベア帝国の公爵家出身だ。私はその力を利用してアレンを幸せにしてやりたいと考えていたのだが…。宰相は私に側室を送り込み傀儡の王子を育てようとしたのだ。そして、娘をその王子と結婚させる事により、我が王国をベア帝国の属国にしようと企んでいるやもしれん。だから、少しばかり力を削いでおきたいのだよ」


国王の言葉を聞いて絶望した。


頭がおかしくなりそうだ…。

国王は何を言っているのか理解しているのか?


「国王様、宰相様の働きを見れば必死に国の為を思って頑張っておられます。側室の件も、国の安定を願っての事。先程の考えは余りにも危険にございます。何卒アレン王子とエリザベート様の結婚を第一に考えてはいただけないでしょうか?それがアレン王子の幸せに繋がるのではないかと具申いたします」

「ブライアン、それはお互いに愛し合っていたらの話であろう?アレンの話を聞いたらそこまでの感情にはいたっていない。むしろ、王子から婚約破棄をちらつかせて相手に瑕疵をつけ公爵家の力を削ぐことも良い方法ではないか。ブライアンは愛のない結婚をして幸せになれたのかね?」


国王は完全に【真実の愛】に囚われている。

私は流石に渋い顔になってしまった…。


「私は政略結婚でした。婚約当初は愛などありませんでしたが今では愛しております」

「アレンはいずれこの国で一番偉くなる男だ!愛のない相手と結婚せずとも、いくらでも相手を探せる立場ではないか。アレンも私の子だ。愛のない相手との結婚は望まぬ。ブライアンもそれを肝に銘じておきたまえ。もし公爵家側の立場を取るのであれば解任だぞ?」


ああ、何も考えたくない…。

取り敢えずこの場を丸く収める事にした。

「分かりました。公爵家の力を削ぐ方向でアレン王子の教育をさせていただきます」


国王は満足そうに頷いた。

「それで良い。アレンにも早く【真実の愛】を見つけて欲しいものよ。側室など愚の骨頂。宰相に国を愛して子供を作れ等と言われた時には解任を考えたものよ。ブライアン、下がって良いぞ」


王よ…。

それは、国を愛してないと宣言されているのと同義ですよ。


さて、アレン王子の教育をどうするべきか?

今後について悩んでいる時に文官が手紙を持ってやってきた。


「ブライアン様、公爵家エリアル様よりお手紙が届いております」


流石に動きが早いですね…。

内容は私と面会したいですか。


さて、シープ王国の行く末を聞きに行きましょう。

アレン王子も素直(残念)な子でした。

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