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実験小説

あれ

作者: フルビルタス太郎

「ねえ、あれは、どうしたの?」

 ある晴れた日の昼下がり、彼女は君に向かってそう言った。

「あれって?」

 君はそう言った。

「あれは、あれよ」

 彼女はそう言った。ほんの少し不満そうな声だった。

「だから、あれって?」

 君はそう言った。

 そして、そう言うと同時に考えた。あれとはなんなのだろうか?、と。

 大切なものなのだろうか?それとも何かの日用品なのだろうか?食べ物かもしれない。

「あれは、あれよ」

 彼女はそう言った。やはり、ほんの少し不満そうな声だった。

「だから、あれって?」

 君はそう言った。

「だからあれは、あれよ」

 彼女はそう言った。声は相変わらず不満そうで、先程より、少しだけ声のトーンが高くなっていた。

「だから、あれって?」

 君はそう言った。

「だからあれは、あれよ」

 彼女はそう言った。

「だから、あれって?」

「だからあれは、あれよ」

「だから、あれって?」

「だからあれは、あれよ」

「だから、あれって?」

「だからあれは、あれよ」

「だから、あれって?」

「だからあれは、あれよ」

「だから、あれって?」

「だからあれは、あれよ」

「だから、あれって?」

「だからあれは、あれよ」

「だから、あれって?」

「だからあれは、あれよ」

「だから、あれって?」

「だからあれは、あれよ」

「だから、あれってなんだよッ」

 君は少し苛つきながらそう言った。

「もう、だからあれは、あれだって、あーれ、」

 彼女はそう言うと一枚の写真を君に見せた。

 君は深く頷きながら「あー、なるほど。あれの事か、」と言った。その表情は長年にわたる謎が氷解したかのような嬉しそうな表情だった。

「そう、あれのことよ」

「で、あれがどうしたって?」

「だから、そのあれをどうしたのか聞いてるじゃないの」

 彼女がそう言うと君は「あれなら、そこであれを使ってあれして来たよ」と言った。

 すると、彼女は驚いた顔をして「え⁉︎あれをあれしてきたの⁉︎」と言った。

「ダメだった?」

「ダメじゃないけど、すこし、相談して欲しかったな」

「ああ、ごめん」

 君はバツの悪そうな顔をしながらそう言った。


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