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第9話 騎士団にいくよ

(異世界 三日目 午後)


騎士団に到着したらエリスワース王子とライアン王子が待っててくれた。

馬車から降りるさやかちゃんにエリスワース王子がさっと手をだして、エスコートしてる。

王子がイケメン過ぎる。


私はというと……馬車から降りようとしたら、抱上げられていた。

ひぎゃぁ。

ライアン王子! なぜ無言で流れるように私を抱っこするんですか?!

「降ろして……」

じろって見下ろされて、見事に何も言えなくなりました。

やっぱりライアン王子の雰囲気はこわいです。

「琴梨ちゃんを降ろしてください」

さやかちゃんが言ってくれた。

さやかちゃんマイエンジェル!

「ここは訓練に使うのと、城側から来る人間が居ないので道がなくて足場が悪いんです。転ぶと泥だらけになってしまうので……」

エリスワース王子が丁寧に説明してくれた。

「聖女はエリスワースと来てください」

私を抱上げたまま、あっさりさやかちゃんの隣を通りすぎるライアン王子。

「エリスワース、団長のところにいくぞ」

ライアン王子はそのまま歩きはじめちゃったよ。

「そうですね」

と、言いながらエリスワース王子は優雅にさやかちゃんの手をとり歩き始めた。

「足元、気をつけてくださいね」

エリスワース王子とさやかちゃんは美女と美形で絵画のようです。

そして、こっちは小学生抱っこしてる若いパパみたいになってるんだろうな。

とは言え、中身は小学生ではなく女子高生です。

抱っこはドキドキします。

前回は異世界召還酔いで気分の悪さの方が勝ってたから良かった?けど。

ライアン王子の力強い腕が腰に! 膝裏に! これほぼ抱き締められてます~。

ライアン王子の精悍な顔が近い!

いちおう足場の悪いところを歩かせて泥んこになるのを回避してくれたみたいではあるけど……。

抱き上げる前に、説明が欲しかったよっ!


私はどきどきしながら固まりつつ、こそっとライアン様の頭の上を見上げた。

やっぱり矢印がピンクでキラキラしてる。

そのキラキラがなんか恥ずかしい!

私は真っ赤になった自分のほっぺを手で覆った。

早く降ろして~。


最初は騎士団の団長さんのお部屋に行きました。

紹介された騎士団長はなかなか極悪そうなお顔の短髪黒髪のマッチョでした。

騎士団長のグラディスさんはライアン王子と同じくらい背が高い。

そして、グラディス団長の騎士団の制服がライアン王子とかなり違う。

襟のあたりだけはライアン王子と同じで騎士団の制服だと辛うじてわかるけど制服の上から皮鎧を着ていて袖がない。

かなりの改造制服だ。


グラディス団長は最初にさやかちゃんと挨拶をして、ライアン王子の前にいる私を見てがははと笑った。

そして、にやりにやりとして言った。

「確かにウサギちゃんだな!」

パアーンと音がして、びっくりしてライアン王子を見上げると。

ライアン王子の手はグラディスさんの右手で止められてた。

ライアン王子が団長にパンチしようとした?

なんで?

グラディス団長はまったく動揺ぜず、にやにや極悪な笑みを浮かべている。

「暴力ふるう男は嫌われるぞぉ」

ライアン王子はちらっとこっちを見て無言・無表情のまま、風の様に部屋から出ていってしまった。


「兄をあんまりからかわないであげてくださいね」

エリスワース王子は爽やかに言った。

と、思ったら建物の外ですごい爆音がした。

私とさやかちゃんはびっくりして、グラディス団長を見る。

何の音?!

グラディス団長が、苦笑しながら背後の窓の外をみた。

「あれはライアンが訓練用ゴーレムで遊んでる音だから気にしなくていいです」

訓練用ゴーレム??

私とさやかちゃんは一連の流れの意味がわからない。

だけどそのあと何事も無かったかのように、グラディス団長はさやかちゃんの訓練の話をした。

「訓練、と言っても聖女のさやかさんの場合は普通の騎士と同じ泥臭い訓練よりもまず、能力を使いこなしてもらう訓練を個別でやってもらう」

「あー、今ライアンが外でタコ殴りにしている土のゴーレムは動きが遅いが土ゆえにダメージが入りにくい。あれを的に某かの攻撃を放つ訓練をだな」

「なるほど、ライアン王子は実践して見せてくださってるんですね?」

さやかちゃんは納得したように呟いた。

「まぁあれは……そうだな……」

何か言い掛けて、それでいいかとあきらめたグラディス団長はそのまま話を続けた。


そのあと、団長の話が終わった頃にライアン王子はすらっと戻ってきた。

そして模擬戦用の訓練所にみんなで移動した。

行くと丁度かなりの人数の騎士団の制服を着たマッチョが2人1組で木剣で打ち合いをしていた。

さやかちゃんと私が見えたのか、

「聖女」と「うさぎちゃん」というざわめきが起こった。

あれ? もしかしてうさぎちゃんって私の名前を間違えられている?!

私はなんとなく、ライアン王子の顔を見上げる。

「訓練に加わってきます」

ライアン王子は置いてあった木剣を手に取ると訓練所に乱入して行った。

すごい勢いで訓練してた騎士をなぎ払っていくライアン王子。

「すごい訓練ですね?」

私もさやかちゃんも驚いて聞くと、グラディス団長がにやにや極悪な顔で笑いながら説明してくれる。

「魔物と戦う時は一対一なことはあまりないんですよ。たいがいが魔物の方が人間よりでかいし、相手も複数で来るんです。だから、騎士は5~10人くらいの隊で行動することが多い。オークやゴブリンの様な二足歩行の魔物も居るんで一対一の訓練もしますが、普段は連携の訓練の方が多いです」

え?これ連携の訓練なの?!

ライアン王子に凪払われてるだけに見えます……。

「兄はすごく強いんです」

エリスワース王子はキラキラした目でライアン王子を見て言った。

兄ちゃんかっこいい!と思ってそうだ……。

ちらっと確認したら薄いピンクの矢印がライアン王子を指ししめしていた。

兄弟は意外に仲がいいのかもしれない。


訓練所内はブルドーザーでかき回されたあとのような有り様に。

確かにライアン王子は強かった。

そして、やっぱりすらっと戻って来た。

すごいスピードで訓練所を駆け回っていたとは思えない平静さ。

何で息が切れてないんだろう?!

「今日の騎士団の見学はこれくらいにして、戻りましょう」

そして、ライアン王子はてきぱきと帰りの指示をだしはじめた。


そして帰りは……。

行きよりもグランドの土が若干増えてました。

……訓練用ゴーレムの成れの果てですね。

土でできた大きいなゴーレムを訓練で使うからグランドが泥だらけになるらしいです。

さっきライアン王子が素手でぐーぱんち連打してたので、すごく飛び散ってます☆

なんでライアン王子は泥だらけではないんでしょう?

不思議。


そして、私は来たときと同様に無言で流れるように抱上げられて……運ばれました。

はわわわわわっ!


明日はエリスワース王子とさやかちゃんと街に行きます。

楽しみ。


その次の日は騎士団で訓練をはじめるそうです。

そのあとは聖女のお披露目に向けての準備も予定として入ってくるらしい。

座学、訓練、お披露目……。

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