第8話 聖女の部屋
(異世界三日目 午後)
ところで、聖女の部屋は部屋というか屋敷というか広いんだ。
寝室の隣に廊下を挟んでごはん食べる無駄に広い食堂がある。あと把握しているだけで、書斎に応接間。クローゼット。メイド用キッチン。調理用キッチン。あと、専用のお風呂がある。それと、メイドの部屋。警備の部屋、倉庫が下の階にあるらしい。
どこも無駄に広いので閉塞感はないけど窓がない。
鍵はないけど部屋から自由に出れる感じでもない。
そして、聖女の部屋は城の中だけど別棟のような扱いで、呼ばれない限り王さまや王妃、王子に会うことはない。
日々顔をみるのはメイドのアンさん。
20~30才くらいの大人しい印象のメイドさん。
側にいるメイドさんは三人居て交代することもあるけど、ほとんどアンさんがさやかちゃんの側から離れない。
すごいメイドさんなんだと思う。
ずっとそこに居るのに存在感がないんだ。
図書館で本を読んでいる時も後にたっているし、さやかちゃんが寝る時は寝室の隣の小部屋で仮眠をとっているらしい。
お風呂はさやかちゃんがお世話を断ったので少し離れたところにいる。
で、給仕や外出時なんかは追加で私にもメイドさんが一人つく。
あと警備の騎士さんが四人。
この騎士さんは騎士団の騎士とは違う所属になる城の騎士らしい。
だからライアン王子と制服が違うんだ。
城の騎士の方が騎士団の制服よりも飾りが少なくて地味なデザイン。
多い時は城の騎士は部屋のドアの内側に二人、外側に二人立っている。
移動時は四人にぐるっと囲まれて壁ができる。
背の低い私は完全に埋もれちゃって外が見えない。はぅ~。
午後は騎士団の見学と言うことで、アンさんに案内されて騎士団へ移動。
城から騎士団への移動は馬車。
馬車と言われたけど、引いてるのは馬じゃないの!馬っぽい何か。異世界です☆
でも『馬』と私たちには補正がかかって翻訳されて聞こえるから面白い。
騎士団は城のうしろ側にあるんだって。
さらに騎士団のむこうは結界と壁があるらしい。
結界の向こうは魔物の森なハズ……。
つまり、お城、騎士団、壁(結界線)、魔物の森と並んでるということだ。
アンさんから聞いた時はすごく魔物の森そばの危ないとこに城がある! そうさやかちゃんとびっくりした。
あと、お城って高い場所にあるイメージだけど、ガンダルン王国は平地にあるらしい。
この世界の常識かと思えば、スライシアは国の中央あたりの高台にお城があるらしいので、この世界の常識ではないみたい。
この国は何を考えて魔物の森のすぐ横に城を建てたのか……今度図書館で調べたい。
さやかちゃんとアンさんとそんなことをおしゃべりしている間に騎士団に到着。