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第5話 お風呂

 王さまの話のあとは、部屋に案内された。

さやかちゃんと別々に案内されそうになったけど、さやかちゃんと離れるのはこわい。

そのまま引き離されて、私だけ人のいない森にぽいっとされたり、牢屋に入れられたりするかもしれない。

だって私は勇者でも聖女でもない、おまけだからね。

絶対にさやかちゃんから離れたくない。

断固としてさやかちゃんと一緒の部屋がいいと言ったら聖女の寝室にベッドを運びこんでくれるらしい。

メイドさん優しい。


 聖女様のメイドですと紹介されたメイドさんは三人。

アンさん、ヨルシェさん、ジュナさん。

みんな若い女性ばっかり。

召還されたのが男の人でもやっぱりメイドさんは女性なんだろうか?とかいらないことを考えちゃった。確認はしなかった。


私たちがお風呂とご飯の間に、部屋を用意してくれるらしい。

「異世界なのにお風呂!」

私がおおっと驚いたら。

メイドのアンさんが教えてくれた。

「以前の聖女さまの希望で作られたものなんです」

日本人だったりして?


お風呂は広かった。

白い円柱の柱が立っていて、ギリシャ神殿のような装飾がされてる。

でも、白い石で作られた四角い浴槽にお湯が入っているだけ。見回してもシャワーが無い。

まさかの、手桶でメイドさんがお湯を掛けてくれるスタイルだった。

途中から面倒になってメイドさんから手桶を借りて自分でお湯を掛ける様にした。

……シャワーって便利だったんだな。

メイドさんは洗うのもやってくれそうになって、さやかちゃんと2人で必死で断ったよ。

洗ってもらうとか絶対ムリっ。

恥ずかしいし、くすぐったくて多分笑い転げる自信がある。


あと、さやかちゃんが私の胸をみて呆然としてた。

背はちびっこなのに、胸だけグラビアアイドル並みなのだ。

「さやかちゃんは胸じゃなくて身長に無事に栄養がいったんだよ」

私はそっちの方がうらやましいのだけど……。

「身長よりも胸が欲しかった~!」

さやかちゃんは身長よりも胸が欲しかったらしい。


そしてお風呂あがりに着替えに借りたブラウスがね、……胸が入りませんでした。

サイズはばっちりだったのに胸のボタンが閉じれなくて悲しかった。

メイドさんがサイズを取り換えてくれたけど、胸が入る服は袖と丈がちょっと長かった。

ほらね?

ラインが綺麗な服はみんな胸が入らなくてきれないし、ブラは種類がなくて選べないし、普通のサイズの倍の値段するし、走るとき胸が邪魔だし、良いことなど何もないんだよ?

みんな無い物ねだりなのかもしれないよね。


さやかちゃんはシンプルな水色のワンピース。

私は白いシャツにうす紫のスカート。

服の形は私たちの世界と大きく違わないみたいだ。

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