第33話 うさぎちゃん再び
(異世界召喚から一年)
夜中にグラディスさんがだんだんと扉を叩いた。
寝ていたライアンと私は不思議に思いながら部屋のドアを開けた。
「ライアン! セレナが帰って来た!」
興奮したグラディスさんがライアンの手を引っ張っていった。
「琴梨、クロエも下に呼んできてくれ!」
私はグラディスさんの言うとおり、クロエさんを起こして下に下がった。
「ちっちゃかったライアンが私よりも大きくなってるぅ~!」
クロエさんと同じ赤い髪の女性がライアンに抱きついて泣いてる。
それを見た、隣に居たクロエさんも泣き出した。
泣きながらその女性に抱きついた。
「セレナ! 帰って来たのね!・・・セレナ? 右腕はどうしたの?!」
ケープをばっと開いた。
そこには右腕が無かった。
「ドラゴンにやられちゃった~。右目も~。」
副団長のロシエルさんが
「本当にセレナが生きて帰って来たんだな! お前よく生きてたな!」
泣きながら言った。
「そうなの、私も完全に死んだと思った。あはははは。」
セレナ王妃は泣きながら明るく笑った。
セレナ王妃は私の想像とは違った。
さやかちゃんの様な美人を想像してたけど、普通の可愛い街娘だった。
王妃っぽい威厳や上品さはなかった。
背はさやかちゃんと同じくらいあるが、雰囲気がクロエさんとそっくりだ。
目がぱっちりで可愛らしい人だ。
「あっ! エリス王子は元気?」
「元気だ。薬草は間にあった。」
ライアンがうなずいた。
「良かった~。」
そして、私を見た。
キラキラした青い目。
ライアンと同じ色の目だ。
「俺の妻の琴梨。」
ライアンが紹介してくれて、私は妻という言葉に照れた。
「妻! ちっちゃかった息子に妻が居る~! しかも可愛い!」
左手でぎゅっと抱き寄せられた。
いちいちぎゅっとしちゃうのが、まさしくクロエさんの娘で、ライアンのお母さんだ。
「この子『うさぎちゃん』が人間になっちゃったみたい! ほらっ! ライアンのぬいぐるみ!」
やっぱり似てるらしい……。
「あれ~? ……でも何でここに居るの? ……もしかして、リッカ? リッカがやったの?」
リッカ?
セレナ王妃が裏の戸口の方をみて声を掛けた。そこに人がいて返事をした。
「俺は何もしてない」
セレナ王妃と同じ地味な色の足首まであるケープを着た綺麗な人。
長い銀髪を一つにくくって、三つ編みにして前にたらしている。
線の細い美しい男の人?がキッチン横の戸口の側に居たらしい。
店の中まで数歩、こちらに近付いて来て言った。
「そっか。リッカじゃないのか! うさぎちゃんはスライシアの姫なの?」
ライアンの妻だから姫だと思ったらしい。
そして、姫が城ではなくここに居るのを不思議に思った。
……それが何でリッカさんに繋がったのかはよくわからないけど……。
ライアンがセレナ王妃の腕から私を奪還して、私を後からぎゅっとした。
「俺が平民になって……琴梨は姫でも貴族でもない。」
セレナ王妃はきょとんとした。
「平民?」
「色いろあって、俺がもう王族じゃないんだ」
「それは……良かった?」
セレナ王妃が首を傾げながらライアンに聞いた。
「良かった」
ライアンはしっかり頷いた。
私は嬉しくて赤くなった。
「ライアンが良かったなら良かったね! ライアンは、王族向いてなかったからね! 私もリッカと駆け落ちするよ!」
はっ?!
全員でリッカさんを見た。
リッカさんはびっくりした顔をしていた。




