第32話 飲み会
(異世界召喚から一年)
俺とグラディスはグラディスのかみさんの店で飲み続けていた。
グラディスの妻は閉店時間になると、何も言わず店を閉め二階にあがっていった。
「セレナんときはあの戦いかたで良かったんだって!」
酔っ払った俺とグラディスは延々とセレナの話をした。
「セレナはライアンと違うもんな~何も考えずにつっこんでいくのがセレナだよな!」
「そうなんだよ! ほんと誰に似たのか、なぁ?」
「おまえしかいないだろ~?」
二人でセレナを思い出して笑ってた。
セレナの話で笑える様になった。
話は酔っぱらいだから延々とループする。
もう真夜中だ。
店のキッチンの方で扉の開く音がした。
そして明るい声がした。
「あれ? 起きてる? 父さんだ!! ただいま~。」
「おう。おかえり~。話をしてたらセレナが帰って来やがった!」
がはははは。
酔っぱらいのグラディスは笑った。
「はぁっ?!」
俺は一気に酔いが覚めた。
「セレナ? おい! セレナなのか!?」
長いケープを着てフードを被っているが、グラディスの妻に似た燃える様な赤い髪が肩に下がっている。
右目には眼帯をしているが、グラディスと同じ青い目。
「ロシエル?」
きょとんとした懐かしい顔!
「俺は酔っぱらって寝たんだな??」
セレナのカタキのドラゴン倒して、グラディスと飲んでセレナの話をしながら寝落ちたらしい。
『朝起きて騎士団に行く夢』を見てるようなもんだ。
あれは目が覚めた時が非常にうら悲しい気持ちになるんだ。
セレナの話をしてたから、『セレナが生きて帰ってくる夢』を、俺は見てるらしい。
「ロシエルも父さんも年食ったね~。」
セレナがにやりと笑った。
いつも見てたグラディスそっくりの笑い方。
そういわれると、セレナも髪が伸びている!
知ってるセレナより年をとってる!
セレナはくしゃりと顔をくずして泣き出した。
「・・・父さん生きてて良かった!」
「おま・・えは! 馬鹿か! 十一年も何やってやがったぁ!!」
俺も泣き出した。
夢だったとしても良い夢だ。
セレナが生きていて帰ってきた。
「セレナだ! セレナ!! セレナ! セレナぁ!」
グラディスもセレナを抱きしめて、おいおい泣き始めた。
グラディスはセレナ以外の言葉が出てこないらしい。
「ごめんね。父さんとライアンが死んでたらやだなって思ったら、帰って来れなくて……。父さん本当に生きてて良かった!ねぇ……ライアンは?! ライアンは?!」
セレナも涙声で答えた。
「ライアン! ライアンとクロエ呼んでくる!」
グラディスは二階にあがって行った。




