第31話 さみしがりや
(異世界召喚から一年)
その日リッカが言ったんだ。
「セレナに傷を負わせたドラゴン、倒されたよ」
「はぁ? 何でそんなことわかるの?」
「大賢者ですから~」
いつも通りの返事が返ってきた。
リッカはうふふっと笑ってここ数年言わなくなってた言葉を言った。
「街まで送ってあげようか?」
私は悲しくなった。
寂しそうに帰っていいよと確認するリッカが悲しい。
私が居なくなったらまた寂しいからと魔獣のペットを増やすだろう。
「私、ここに居ちゃ駄目かな?」
「いつまで?」
「三百年くらい一緒に居ようか?」
私はにやりと笑う。
リッカはうーんと考えた。
「じゃあ、セレナに大切な人が居たら、さようならを言って来て。もう二度と会わないで。」
リッカはさみしがり屋だ。
リッカには私しか居ない。
私はうなずいた。
「家族にもう戻って来ないと言ってくる。
多分もう死んだ事になってるけど……」
「家族の顔を見て、家に帰りたくなったら帰っていいよ」
「私ここに戻ってくる!」
リッカは心配性だな。
「じゃあ今日の夜にこっそり移動しよう」
そして、自称大賢者のリッカルドは夜中のガンダルン王都の外門の前に私を連れて一瞬で移動した。
「うぁ懐かしい! 王都だ! すごい! 何で?」
「大賢者だから・・・ね?」
いつもの台詞が弱々しい。
「ばかね。別れを告げたら森に帰るからね!?」
私はもうリッカが大賢者でも神様でも良かった。
リッカの手を引いて街中を走った。
そして、懐かしい家のドアを開けたのだ。




