第24話 大賢者とわたし
(異世界召喚の三年前)
「……セレナ!おい!セレナ!!あまり魔物を駆除し過ぎるんじゃない!」
リッカに背後から怒られた。
また魔物を狩ることに夢中になりすぎて、理性を飛ばしていたらしい。
「境界の方に大移動したら困るだろう?……それにそんなに2人で食べない」
後から着いてきて、魔物を回収しながら私を怒ってる、この男は名をリッカルドと言う。
私はリッカと呼んでいる。
私は無言で家に戻る方向に足を向ける。
今日はもう終わりらしい。
つまらない。
ちょっとふてくされて歩く。
リッカは動きにくそうな長いローブを着ている。
白銀の長い髪を三つ編みにして前に垂らしている。
線が細くて綺麗な顔をしているので、遠目には女性にしか見えない。
この男は自称大賢者様だ。
見た目の年齢は自分とかわらない、40才くらいだろう。
「俺もう300才越えてるから~。お年寄りはもっと労れ」
リッカはよく言う。
「じゃあ私はガンダルンの王妃なんだ~。敬え」
私がにやりと笑って言う。
これは実は本当の話なんだが、リッカは信じていない。
「え~?実は国と森の境に結界引いたの俺なんだ。だから国王より偉いから~。っていうかセレナが姫ってないわ!」
確かに姫ではない。
「はぁ?300才じゃ無理からね!結界がひかれたのどんだけ昔だと思ってるの?」
王妃だったからある程度知識はあるんだ。
千年以上前だ。
結界をひいたのは創成の神……なんとかだ。
名前は思い出せないが300年前じゃないことは確かだ。
私がここに来たのは7年前だ。
その時、私は魔物の森の奥深くにしかない薬草をとりに森に入った。
一人で行こうとしていたら、騎士団長をしてる父にばれた。
危ないからいつも私の補佐をしているロシエルを連れていけと怒られた。
ロシエルは騎士団で唯一私を止められる男だ。
いつもこんこんとお説教されるし、戦闘で私が夢中になって理性を飛ばすと水魔法でばしゃーっとされる。
ロシエルにばれたら行くなと止められる未来しかない。
確かに、ロシエルはちまちま作戦をたてたり、環境を見て判断するのがうまい。
私の様に何も考えず魔物に突っ込んで行かない。
私に適切な指示をだす。
『猛獣使い』と呼ばれる参謀だ。
連れていけるなら連れていきたい。
だがロシエルの妻の出産が近い。
年をとってから出来た子だ。
すごく生まれるのを楽しみにしているのを知っている。
危険だとわかってる森の奥に連れていけない。
そして、今薬草をとりにいかなければ間に合わないかもしれない……。
もし、エリスワース王子に何かあったら、ライアンはまた城に戻されるに違いない。
自分の子が望まない未来を押しつけられるのは、もう嫌だった。
レナウスが第三王妃テレーゼを娶った時、私は思ったのだ。
たぶんテレーゼにはすぐ子が出来るだろうと。
テレーゼはユリオックの姫だ。
平民だった私やライアンにあたったレティシア王妃も、ユリオックの姫に王子ができれば何も言えなくなるはずだ。
だからテレーゼかレティシアのどちらかに王子が生まれたら、ライアンは騎士にしたいと言ったのだ。
実際には今まで子ができなかったレティシアがあっさりエリスワース王子を生み、テレーゼには姫しかできなかった。
思った結果ではなかったが、ライアンを城から離せるなら私はそれでよかった。
王位など私もライアンも望まない。
だが、エリスワース王子に何かあれば、またライアンしか王子は居ないのだ。
「ロシエルが無理なら俺が行く」
グラディスが言った。
私はすぐ理性を飛ばすので、人を守れない。
グラディスも強いが……私一人の方がいいだろう。
私は是と言えなかった。
「じゃあ、ライアンも連れていく」
グラディスよりライアンの方がステータスはかなり上だ……でもまだ10才。
あまり戦闘に慣れていない。
でもライアンが居たら、私は理性を飛ばしにくい。
時間が無かったので、3人で行く事にした。
どうしようもない状況になったら、私が残り、ライアンが父を守りながら撤退すると三人で約束をした。




