表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
20/41

第20話 贖罪

(エリスワース視点)


私が兄から奪ってしまったもの。


一番最初は多分城での居場所。


私の母のレティシアは自分の子どもが王になることを強く強く望んだ。

母の母、つまり私の祖母のアリーシアもそういう人だったと聞いた。

アリーシアはレティシアに女の子であったことに呪いの言葉を浴びせ続けた。

そして、レティシアがガンダルンの第一王妃になると自分がなし得なかった夢を娘で叶えようとしたのだろう。

だけど、レティシアはなかなか子どもができなかった。

次第に母は追いつめられていく。

そんな折りにレナウス王は第二王妃を迎えた。

前の聖女の孫で最強の騎士であるセレナ王妃。

しかもすぐにライアンを産んだ。

兄は王になるべく城で育てられ、出産でそこまでステータスが落ちなかったセレナ王妃は子育てよりも騎士であることを優先した。

……もしかしたら、この時にはじわじわと魔物の森に異変が起きはじめていたのかもしれない。


兄は小さい頃からあまり泣きも笑いもしない子どもだったらしい。

いつもうさぎのぬいぐるみを抱きしめ、母からの罵倒や嫌みに耐えていたらしい。

母はスライシアの姫だった。

セレナ王妃は聖女の孫だけど平民だった。

兄の事を『平民の子ども』と母は侮蔑していたらしい。


兄は四才の時、階段から落ちた。

兄は何も言わなかったが、レティシア王妃を避けるようになった。

危機感を持ったレナウス王が第三王妃であるテレーゼを迎えた。

テレーゼはユリオックの姫だったが、兄に優しく、兄はよくなついた。

そして、セレナ王妃は言ったのだ。

ライアンは騎士になりたいと言っている。もし、レティシア王妃かテレーゼ王妃に王子が授かったら王位はその子に譲りたいと。


そして翌年私が産まれた。



次に私が兄から奪ったのはセレナ王妃と外見。

セレナ王妃は魔物の森に珍しい薬草を採りに行って亡くなったのだ。

その薬草は流行り病にかかった私の為のものだった。

兄は十才で母を失い、顔に傷を残した。



次に私が兄から奪ったのは、兄が幼少期いつも抱えて居たぬいぐるみだ。

私は幼少から魔法が器用に使える方だった。

でも、スライシアの血が濃い為に攻撃的な魔法よりも守りの魔法の方が得意な性質だった。

だから攻撃的な魔法にあこがれがあった。

私は火の魔法石を手に入れて、愚かにも何も考えずに起動した。

カーテンが燃え上がり、私はあわてて部屋をでた。

すぐに神官が消火したけど私の部屋と、その隣にあった兄の部屋は燃えてしまった。

兄が亡くなったセレナ王妃からもらったものは、私が燃やしてしまったそのぬいぐるみだけだったと後で知った。



この時には私はもうこれ以上何も兄から奪うことはないと思っていた。

奪えるはずもない。


だけど……。

兄が成人する前にユリオックの姫が兄との婚約の為に城に来た。

ユリオックのアメリア姫だ。

彼女はなぜか兄よりも私を気に入ってしまった。

姫の希望でアメリア姫は私の婚約者になってしまったのだ。

結婚は姫の意思がとおりやすい。

私には否と言えなかった。

しかも間が悪い事に兄はスライシアの次期王であるルーカス王子と年が近かった。

すでにルーカス王子と婚約していた姫以外に年齢が合う姫がどこにも居なかった。

姫が居ないので上流貴族の娘もあたったが、結局二十才近くなっても兄はまだ結婚する予定はない。

そして、私は兄を何とか幸せにしたかった。

だけど多分私の母のせいだろう、兄は綺麗な女性は苦手なようだ。


そんな時に聖女(勇者)の召還儀式が成功した。


その後、兄は目に見えて浮かれていた。

そしてグラディス団長が言った。

「ライアンはうさぎちゃんに恋をしたらしい」

兄が持っていたぬいぐるみに似た雰囲気の女の子が現れたとグラディス団長はあちこちで言い回った。

孫の結婚を心配していたグラディス団長の気持ちは空回りした。

結果は……翌日には、兄の琴梨さんへの気持ちは騎士団で周知されていた。


私は兄の恋を成就させるべくフォローしてまわるしかなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ