第2話 小学生じゃない
抱上げられて運ばれているから、知らない男の人とかなり密着している。
頭の中は恥ずかしさでいっぱいだ。
でも、ガッチリとした腕はかなり筋力があるんだろう、抱上げた瞬間も軽いものでも持つようにひょいっと抱え上げられた。
今も特に重さを感じている様子がない。
あと、揺れないように、すごく私を気にしながら運んでくれたような気がする。
無愛想なんだけど優しいかも。
教会の様なところから、応接間の様な部屋に移動した。
部屋に着くと、悪役騎士(仮)は私をソファの上に無言でそっと降ろした。
運ばれている間に転送によるクルマ酔いのような気持ち悪さが、かなりよくなった。
「ありがとうございました」
悪役騎士(仮)にお礼を言うと、ちらっとこっちを見たアイスブルーの冷ややかな目と視線があった。
美形だけどすごく無表情。
だけど、頭上のピンクの矢印がうるさいくらいキラキラが増した。
本人はそっけないけど、矢印に「大丈夫だ。問題ない」とにっこりされたくらい慰められた。
良くわからないけど見た目の雰囲気ほどこわい人ではないのかもしれない。
私の隣にさやかちゃんが座った。
「お茶を用意するので、お茶を飲んでしばらく楽にしていてくださいね」
さやかちゃんを案内してたキラキラ王子が爽やかな笑顔で言って、悪役騎士(仮)を含む周りの人間を引き連れて部屋を出ていった。
今のうちだと、私はわくわくしながら
「ステータスオープン」と唱えた。
さやかちゃんがさっきだしたのと同じ、半透明なステータスボードがでた。
さやかちゃんのステータスボードを見た時に、自分のステータスもすごく気になってた。
でも、キラキラ王子(仮)も神官服の人々もさやかちゃんのステータスボードを見て興奮したのか、満足したのか、私にも出して見せろとは言わなかったのだ。
だから用心してその場ですぐにステータスボードを出すことはしなかった。
名前 木村 琴梨
年齢 15才
さやかちゃんのステータスボードと同じ様に、名前と年齢からはじまって――。
そして――!
期待した戦闘力は、まさかの皆無!
さやかちゃんのステータスとくらべると、ラスボスと最弱スライムくらいの差がある。
悲しいことにHPが3桁ありません。
一撃でオーバーキルされます。
不公平だ!
さやかちゃんとの落差が激しすぎる。
これじゃ異世界で無双できない!
さやかちゃんのステータスを見たときに、きっと自分のステータスも異世界召還特典で素晴らしいものに違いないと勝手に思い込んでいただけに、この落差は……悲しい。
そして称号は
巻き込まれて異世界に召還された者
でした。
なんだこれは?!
私はさやかちゃんのおまけらしい。
隣のさやかちゃんも一緒になって衝撃をうけている。
さやかちゃんの頭の上の矢印がみるみる青くなった。
青くなった? 矢印の色は変化するらしい。
さやかちゃんはかなり落ち込んだ様子。
「巻き込んでしまってごめんなさい」
「こんな小さい子を知らない場所に連れてきてしまうなんて……どうしょう……私が……」
涙目で項垂れるさやかちゃん……小さい子??
んん?
さやかちゃんの肩をぽんぽんとたたき、ステータス画面の年齢を指差す。
「え?うちの学校の小学部の制服なのに??」
まさかの小学生だと勘違いされていたらしい。
やっぱりこの制服のせいか!
そんな話をしていたらメイドさんが紅茶とクッキーを持ってきてくれた。