第18話 森で訓練
(異世界 六日目)
私がお茶会から戻ったら、さやかちゃんはぐってりしてた。
二人でお風呂に入って夕飯を食べながら今日の話をした。
エリスワース王子には婚約者がすでに二人いると意を決して言った私に対して、さやかちゃんは
「うーん。まぁ王子だし、しょうがないかな」
あっさり言った。
実は、さやかちゃんのお父さんには愛人さんが居たらしい。
お母さんと愛人さんがすごく仲良くて、忙しいお父さん放置で私と三人であちこち行ってたな~っとからりと言った。
「可愛がってもらったし、お母さん二人なのも悪くなかったよ~。あとは、兄弟が居たら良かったな」
話を聞くと、さやかちゃんのお父さんは大企業の社長さんだった。
西園寺グループ……お嬢様だとは思ってたけど、私とさやかちゃんの世界の乖離がすごい……。
しかも高校生のさやかちゃんにも許嫁が居たらしい。
元の世界の許嫁よりエリスワース王子の方が百万倍かっこいいらしい。
これは……良かったのかな?
私はびっくりしたけど、さやかちゃんがいいなら問題ないと納得した。
さやかちゃんは今日の訓練の話をしてくれた。
森の入口辺りで訓練をしたらしい。
グラディス団長が敵を探してうろうろする役。
ライアン王子はさやかちゃんの横に居て指示を出す人。
あと騎士が三人サポートとしてさやかちゃんの後方からついてくる役。
最初は動きが遅い木の魔物にこないだと同じように石を投げたらしい。
そうすると、木の魔物を吹っ飛ばしてしまうので、素材を採る為に力加減ができるように魔物の核を狙う練習をしたらしい。
グラディス団長はすぐ『そこはフィーリングで』とか『適当に』とか言っちゃう超感覚派で全然説明がわからないの!
さやかちゃんが苦笑する。
逆にライアン王子がすごく丁寧にわかりやすく教えてくれて……あとゴブリンが五匹くらいまとめてでた時は、さやかちゃんを後の騎士に任せて前にでて魔物を倒してくれたらしい。
グラディス団長が一匹倒してる間にライアン王子が剣をぐるっと一閃させて瞬殺だったのが、かっこよかったとさやかちゃんは頬を染めた。
さやかちゃんの中でライアン王子の株は今日だけですごくあがったらしい。
あまりにさやかちゃんがライアン王子を誉めるので、私は言ってしまった。
「でもロリコン疑惑の人だから」
さやかちゃんはツボに入ったのか笑いころげた。
「今度ライアン王子を見たら笑っちゃうかも」
真剣に心配していた。
あと、帰る頃には石を使わずに攻撃する事ができたと言っていた。
火が出せる様になったらしい。
明日は風とか、水とか、色々試してみると言ってた。
あとスライシアのお菓子はひとつだけ食べるなり言った。
「砂糖だね」
さやかちゃんは、納得したように大きく頷いた。
「でしょ~!」
二人でわらい転げた。
今日のさやかちゃんはいつもよりハイテンションだった。
そして、ベッドに入るとすっと寝入ってしまった。
森を歩き回ったり、集中力が必要だったりで、かなり疲れていたようだ。