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第11話 王都散策

(異世界 四日目)


外門に馬車が到着。

馬車で走っている時間は結構長かった。

王都は広いらしい。

目の前には立派な門。

馬車が余裕で二台並走できる横幅だ。

鉄でできた大きな扉は今は大きく開いている。

この門で王都に出入りする人や物の管理をしているんだって。

そしてこの門の外は森も山も街も村もあるんだよ、ガンダルン王国の広さが想像できないぃ。


馬車を降りてまず思ったのが、

「人が大きいです!!」

街中を歩いている人が、背が高いしマッチョな人が多い。まるで騎士団の人の様だ。

「私も背が高い方なんだけど、ガンダルンの人は更に背が高いね」

さやかちゃんも周りを見回していう。

だけど、隣に居るエリスワース王子はさやかちゃんと身長は同じくらい。

メイドのアンさんはさやかちゃんよりも背が低い。160センチくらいだろう。

「城はスライシア出身の人間が多いんです。ガンダルンよりもスライシアの方が繊細な仕事や頭を使う仕事が得意という国民性の為ですね」

アンさんを見ていた私に気がついたエリスワース王子がそう教えてくれた。

アンさんもスライシアの人らしい。

そういえば、ウィリア先生もスライシアの人だと言っていた。レティシア王妃もスライシアだし、レナウス王もスライシアの血が濃いとウィリア先生が言っていたよ。

その流れでいくと、エリスワース王子もスライシアの血が濃い事になる。


大通りから一本小路に入ると、丁度女の子の好きそうなお店が並んでいた。

洋服店、靴屋、装飾店に雑貨屋。カフェに本屋。

見ているだけですごく楽しい!

はしゃいで歩く私たちの後をエリスワース王子は優しい微笑みでついてきてくれる。

こういう女の子のウインドウショッピングって男性には苦痛だと言うけど、エリスワース王子は一緒に楽しそうにしてくれてる。


「わぁ! 可愛い!!」

その店はぬいぐるみの専門店だった。

テディベアのようなしっかりとした作りで、子どもが抱きしめるのに丁度よいくらいの大きさのぬいぐるみが棚にたくさん飾ってある。

店内にはぬいぐるみがおおよそ似合わないマッチョな客がぬいぐるみを見ていた。

マッチョと ぬいぐるみ……?

さやかちゃんと不思議に思っていると、エリスワース王子が教えてくれた。

「ガンダルンは子どもが生まれると、この様なぬいぐるみを親が子どもに贈る風習があるんです。子の厄災を変わりに持っていってくれると言われているんです」

おぉ。ガンダルン特有の風習らしい。

「お雛様とにた風習だね」

「私たちの国にも同じように人形を生まれた子に贈る風習があるんです」

さやかちゃんはふふふっとエリスワース王子に嬉しそうに笑いながらいう。


「では、あとはお昼を食べて帰りましょう」

エリスワース王子が移動しながらそう言った。

気分的にはもっとあちこち見て回りたかったが、もともと早目に帰ることは事前に言われていた 。

しかも、ちょうど少し足が疲れてきた絶妙なタイミング。

エリスワース王子は女子を気遣えるイケメンスキルを持っているに違いない。

(まぁそんなスキルは存在しないだろうけども……。)


「お昼はここで食べましょう。ここはグラディス騎士団長の奥さんのお店なんです」

案内されたお店は上が宿屋で一階部分が食堂になっているんだって。


店内は素朴な木のテーブルが六個。

広めの食堂だ。

それぞれのテーブルには背もたれのない木の椅子が二個~六個セットされている。

少しお昼を過ぎてしまっていたこともあり、店内は食べ終わって、まったりおしゃべりをしている人が二組くらいいた。


店に入ると、カウンターにいた人がでてきた。

「いらっしゃい」

「こんにちは。クロエさんお久しぶりです」

エリスワース王子はクロエさんとガシッとうでを交差した。

はじめて見る挨拶だった。

「こちらが聖女のさやかさん」

「こちらが琴梨さんです」

と、ひとりづつ紹介してくれた。

「そしてこちらが第一騎士団の団長の奥さんのクロエさんです」

クロエさんは赤い髪を後で束ね、更にバンダナのようなものを頭に巻いている。

白いシャツに茶色いズボン、濃い色のエプロン。恰幅のよいマッチョな食堂のおばちゃんという感じ。

横幅はさやかちゃんの倍以上ありそうだ。

腕もたくましい。

クロエさんはよろしくねと言いながらさやかちゃんに挨拶した。

次に私を見てにやりにやりと笑った。

夫婦で笑いかたが一緒ですぅ。

何で私を見て笑うんだろう!?

グラディス団長もこの間あった時、にやりにやりと笑ってた。

矢印は明るい黄色。

かなり楽しいらしい。


空いているテーブルに案内され、椅子にすわる。

「ライアンは無愛想だけど、悪いこじゃないんで嫌わないであげてね」

クロエさんがにやりのまま、私にそう言った。

なぜここで突然ライアン王子の話になったのかわからず、私は曖昧にうなずいた。

「ライアン王子もここによく来られるのですか?」

「クロエさんは兄の祖母なんです」

エリスワース王子が言うには、グラディス団長とクロエさんの娘さんのセレナ様がライアン王子のお母様だと言う。

「ライアン王子のおばあ様なんですね!」

クロエさんは、がははと笑った。

「そうよ。知らなかったのね」

そのあとクロエさんは注文を聞くと、キッチンに行ってしまった。

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