第十五話:地下
「チッ……ここも既に開けられていたか」
「あぁ、さっきからモンスターと戦ってばっかじゃねえか畜生!しかも本当に経験値の入り悪いな!」
現在、俺たちは片っ端から小部屋に入っては宝箱を探しているのだが……大半が既に開けられていた物で、空箱ばかりだ。
しかも小部屋には必ずゾンビやらスケルトンやらスライムまでいる。
「あぁ、装備の耐久値だけが減っていく……やだなぁ」
「レベルが上がると、全然楽しめませんね……」
アインもハルも敵の攻撃を受けることが多く、装備の耐久値だけが減っていく様に悩まされている。
俺はエクストラシリーズだから壊れることもないし、俺さえ生きてれば何度攻撃を受けようと構わない。
だが如何せん、今こうして戦っているモンスターは部屋ごとの数が少なかろうと、放置すると廊下に出る。
廊下に出れば大変なことになる以上、こうして部屋ごとに片付けてはいるが流石に疲れてくる。
「今何部屋目でしたっけ?」
「今ので丁度十部屋目……ここでないとなると、もう宝箱は諦めるべきだ。
私は収穫ゼロに等しいが……お前たちは経験値が入っただろう。
それに、本命の地下は残っている……それだけで十分だ」
「まぁ、本来の目的がそうでしたから……ねッ!」
最後の一体のゾンビの頭を叩き潰しながら、俺たちは今まで入ったアイテムを見てみる。
うん、やっぱ売っても大して儲からないようなものばっかだし、スキルブックなどのドロップもない。
と言うか腐った肉とかどこに需要あるんだよ。
料理用の食材にすらならないから困ったもんだ。
「アイン、ハル、ランコ。お前らまだまだいけるか?」
「僕は予備の武器があるから平気です!」
「こんなこともあろうかと、私は装備を修復するアイテムを持ってきたので万全ですよ!」
「私の装備の耐久値は高いから、まだまだ大丈夫です」
アインはアイテムストレージから新しく手斧を取り出していた。
今更だけどアインの武器は手斧だけではなく、双鉞と言う奴もあるらしい。
で、ハルは四角い金属の塊みたいなものを盾と剣に使うと、ピカッと光った。
恐らく武器とか防具の耐久値を回復したんだろうな。
ランコは何もないようだが、本人が大丈夫と言うなら大丈夫だろう。
「先輩はガンガン戦ってますけど、平気なんすか?」
「あぁ、私も別段問題はない。
……それと、さっき地下に行くための鍵と灯りは手に入れた故、もう部屋を出ても大丈夫だろう」
「そうっすか、じゃあ進むとしま……」
部屋の扉の取っ手を捻って開けて、そのまま部屋を出ようとするとそこにはプレイヤーがいた。
それも、赤と黒を基調とした鎧に特徴的な羽冠、右手には戟。
「ほう、やはりここにプレイヤーはいたか、それも……俺を楽しませてくれそうな奴等だな」
「確か……ホウセン!」
「俺の名を知っているとはな。
まぁいい、プレイヤーが顔を合わせたらすることは一つだろう?」
ホウセンは戟をクルリ、と回すと両手で握って構え始め、俺たちの方に歩を詰めて来る。
皆揃って部屋の中に後ずさるけれど、逃げ場がない。
マズいマズいマズいマズい。
トッププレイヤーどもが集うようなイベントのランキング八位の猛者とか、俺じゃ勝てる気がしない。
「ホウセン、私たちは戦うつもりなどない。
そこを退けば見逃してやる、お前もデスペナルティは嫌だろう?」
先輩が刀の柄に手を添えて、ホウセンを前に臨戦態勢を取っている。
俺は邪魔になると危ないと思ったので、先輩の後ろまで下がる。
「フ……N・ウィーク、貴様が俺と戦うわけか。いいだろう、簡単には潰れてくれるなよ?」
俺たちは武器を構えたまま、部屋の隅まで下がっておく。
先輩とホウセンの勝負が始まると言うのなら決して邪魔は出来ない。
つーか、人の話聞く気ゼロなのねこのオッサン!
「やはり、お前が相手ではこうなってしまうのか……なら、全力で相手をしてやろう」
「来い!貴様の武、俺に見せてみろ!」
先輩が居合いの構えを取り、刀にエネルギーのような物を溜め始めた。
所々、パチパチとスパークしている何らかのスキルだろう。
一方、ホウセンも戟の先端に何かを溜めている。
赤と黒のオーラのようなものを、穂先に纏わせた。
「うううおおおおおッ!【鬼神砲】ォォォッ!」
「ふっ……【ライトニング・ブレイド】!」
雷を纏わせた先輩の一太刀と、ホウセンが戟から放ったビームのような攻撃。
それは互いに届く前に真ん中でぶつかり合い、派手な爆発のエフェクトを巻き起こし――
「せえええあああああッ!」
「ぬぅぅぅぁぁぁあああッ!」
ジャンプした先輩が、刀をホウセンの真上から振り下ろした!
ホウセンはそれを受け太刀して止めるが、ホウセンの方が押し込まれている。
「くっ……ほう……俺をここまで押し込むとは、中々にやるな!」
「あぁ、だが……腕が落ちたのではないか?ホウセン。
前回のイベントで顔を合わせた時の方が……もう少し強かったぞ!」
先輩は刀を滑らせるように流すと、鍔迫り合いの状態を抜ける。
そこから体を捻って刀を左手に持ち替え、逆手に握った刀でホウセンの腹を突き刺した。
「ぐおっ!」
「ブリザード……」
「させんわ!」
「ぐはっ!」
ホウセンは先輩が刀からスキルを発動させようとすると、素手で先輩を殴り飛ばした。
先輩は刀ごと吹っ飛んで行って、壁に叩きつけられてそのまま崩れ落ちた。
「くっ……不覚を取ったか……!」
「嘘だろ……今のでHPがこんなに!?」
「助けに行きましょう!四人なら勝てます!」
先輩のHPバーがもう半分もない所まで削られていた。
それを見たランコが槍を構えて、ホウセンに向かって突撃した。
「やあああああっ!」
「ほう……あいつと同じ武器を使うとはな。面白い、俺を楽しませて見せろ!」
ランコの槍を、ホウセンは戟の先端のみで止めた。
それも片手だけで。
「ふん……消えろォッ!」
「あぁっ!」
ホウセンが戟を一振るいすると、ランコは紙細工のように弾き飛ばされる。
「これで終わりだ!」
「させないっ!」
体制を崩したランコに追い打ちをかけんとするホウセンの攻撃を、アインが双鉞をクロスさせて止めた!
「ランコさんは……傷つけさせやしないぞ!」
「ほう、俺の一撃を受け止めて平然としているとはな!」
「負けるかぁぁぁっ!」
アインはホウセンの戟を弾いて、そのままホウセンに肉薄した。
「アックス・バー……」
「遅い!」
「うわっ!」
アインがスキルを発動するよりも先にホウセンは頭突きでアインの動きを止め、そのまま左ストレートを食らわせた。
数歩分押し込まれたアインに戟が振り下ろされるが、今のホウセンはアインとランコに注意が向いている。
だったら!
「よし……」
俺はアイコンタクトで作戦をそれとなく伝える。
全容が伝わっているかどうかはわからないが、一先ず俺のやることは!
「でりゃあああああッ!」
「たあああああっ!」
「三人まとめて来るか!」
アインに戟が振り下ろされる所で、俺とランコは飛び出した。
最悪、どっちかに戟が当たるだろうが……それでいい!
「セカンドォォォッ!」
「ライトニング……」
俺とランコはスキルを詠唱し、ホウセンに近づく。
これなら、どっちが攻撃を受けたとしてもアイツにダメージは与えられる。
「同時に対応出来ぬとでも思ったか!」
ホウセンはなんと、腰から片手で持つような槌を取り出して左手で持った!
まさか武器を二つ持てるようなスキルでも……いや、槌は本来片手で持つ武器。
STRさえ上げていれば持てないことはないのか!?
「スラァァァッシュッ!」
「スピアアアッ!」
俺の剣とランコの槍はホウセンに受け止められてしまった。
だが――
「その首、取ったりっ!」
ホウセンの後ろから、ハルが剣を持って斬りかかった。
アイコンタクトで伝えた作戦が、本当に伝わっていた。
「ふ、雑魚がッ!」
ホウセンは体を回すようにして俺とランコを弾き飛ばし、その勢いでハルの攻撃を止めた。
ランコと俺は弾き飛ばされ、アインも迂闊に攻撃しようものならHPが全損するであろう状況。
正に作戦は失敗した。
「チンケな策なぞで、この俺を止められると――」
「……止まったみたいだが?」
と、見せかけた時。
先輩がキッチリと、ホウセンを腰から両断していた。
つまり、アバターを真っ二つにした。正にこれこそ作戦通りだ。
「うわ、いくらVRでもこれは痛々しい」
「チィ……数に負けたか……!」
ホウセンは淡い光に包まれると、モンスター同様にポリゴン片となって砕け散った。
……流石に経験値は手に入らないし、金やドロップアイテムも出なかった。
「はぁ……思わぬ刺客と出会ったな。全員無事か?」
「一応は……無事っちゃ無事です」
「えぇ、私はスキルを弾かれただけですし」
「なんなら私、ノーダメですよ」
「えーと、僕は怖かったですけど一応無事です!」
俺のHPはそんなに減ってないし、なんなら装備の自動回復ですぐに間に合う程度だ。
ランコだって攻撃を弾かれてこそいるが、壁にぶつかったりなどもしていないし問題ないだろう。
ハルは何故かドヤ顔だが、まぁこれは置いといて。
アインと先輩は攻撃をモロに受けたからか、HPが結構減っているな。
「じゃ、ほら飲めよアイン」
俺はHPポーションをアインに投げ渡す。
アインには今回助けられたし、これくらいはしてやるべきだろう。
アインがいなかったら、俺は多分ホウセン相手にビビってただろうし。
「あぁ、ありがとうございます、ブレイブさん」
「いいってことよ、お前とランコが飛び出したから、こっちもやる気出たわけだしな……サンキュー」
「そもそもは不覚を取った私の責任だ。
皆、巻き込んでしまってすまなかったな……」
「いいじゃないですか、勝てたんだから。終わりよけりゃあ全てなんとか、ってやつですよ」
「そうですよ、N先輩。
さ、地下の探索へレッツゴーです!」
責任を感じて謝る先輩に、ランコとハルが肩に手を置いて慰め始めた。
……なんだか、とっても仲間らしい仲間って感じがして楽しいな。
「ブレイブ、行くぞ」
「あぁはいはいっと……」
先輩に呼ばれたので、俺は慌てて追いかける。
ボーっとしてた皆俺を置いて先に行っちまってやがったよもう。
「で……ここがその地下ですか」
「ハルでも初めてなのか?」
「えぇ、まぁ……私もN先輩に連れられて何度かこの屋敷に来てますけど、地下に連れて来られるのは初めてです」
ハルでも初めて……となると、先輩だけが頼りの情報か。
アインとランコにも目線をちらりとやって見るが、二人とも首を振った。
やっぱり何も知らない、って事か。
「頼みますよ、先輩」
「あぁ、ここのボスを倒せばいい物が手に入る、楽しみにしておけ」
「その、いい物ってなんですか?」
先輩が含み笑いを込めて言うと、アインが正直に質問した。
……そういや先輩はいつも何が手に入るか教えてくれないんだよな。
「フフ、それは挑んでからのお楽し――」
「N先輩、ぶっちゃけその流れ飽きてます。
お楽しみも何も手に入るものがわからなかったらやる気なくなりますから」
「……まぁ、手に入るものが分かった方がモチベーションは上がりますよね」
ハルとランコの言葉が先輩の胸にグサグサと刺さるようなビジョンが見える。
先輩、なんか精神的な意味合いでのHPバーが結構削れちゃいねえか?
「フフフ……ま、まぁいいだろう。レアアイテムだ、それも高く売れる。
それがなんなのかは先に進めば自ずとわかる、フフフ……」
先輩は地下への鍵を使用して、扉の鍵を開けたと思うと――
また扉を蹴り開けた。何やってんだこの人。
「なんで先輩は毎回扉蹴り開けてんすか……」
「聞くな。またお前を投げ飛ばすやり取りになるかもしれないだろう」
「あーはいはい、わかりましたよ」
先輩が無言で俺に灯りを手渡して来たので、俺は盾を左手に括って灯りを左手で握る。
カンテラっぽい感じだから助かったな。
松明だったら燃えてたぜ、俺が。
「さて、地下の最短攻略ルートは私の頭に入っている。私を信じてついて来てくれ。
それと……ここに出てくるモンスターは極少数だがかなり強いので用心しろ」
「了解」
先輩の説明を受けて、俺たちは四人で敬礼のポーズを取りながら返事。
にしてもまぁ……よくこんな小さいカンテラでこんな広い所を照らせるもんだ。
「……で、実はここには灯りをつける仕掛けがある。
本来ならそのカンテラを持って灯りをつけに行くシステムだが、私はそれの位置を把握している故に灯りなしでも問題はない。
と言うことで失礼する!」
先輩は唐突に走り出してどこかに行ってしまった。
……俺たちはここで待ってろ、ってことだろうか。
「僕たちはどうすればいいんですか?」
「まぁ、モンスターが来たら倒す、灯りがついたら先輩が来るまで待つ、って感じじゃねえのか?」
「ですね、じゃあ先輩……カンテラ落とさないでくださいね!」
「死んでも落とさねーよ」
「私、暗いの苦手なんですけど……」
ランコは少し震えていた。
まぁ、暗い所が嫌なのはなんとなくわかる気もする。
寝てる時に目が覚めて、水を飲もうとした時にタンスの角に小指をぶつけた時の痛みと言ったらなぁ……だから俺も暗い所は結構嫌いだったりする。苦手ってわけじゃねえけどな。
「……と、そうこう言ってる間にモンスターが来ましたよ」
ハルとアインが前に出て、アインは自然な動作でランコを下がらせた。
紳士だなー、コイツ。
「カンテラを持ってる先輩は下がっててください。
こんなの、私がちょちょいのちょいでブッ飛ばして見せますから!」
「暗いのが怖いなら、ランコさんは後ろにいてください。
ブレイブさん、ランコさんをお願いしますね!」
「あーわかったわかった、お前ら二人に任せる。
俺は精いっぱい灯りを照らすだけの案山子になってるからよ」
ランコは俺の腰のあたりを掴んで震えていて、声すら出してない。
どんなトラウマがあったらこんなに暗い所が怖くなるんだよ。
……で、今俺たちの目の前にいるのはやたらとデカい蜘蛛だ。
現実で見たら失禁必至のとんでもないサイズの蜘蛛だ。
「虫くらい、ちょちょいのちょいです!」
「早く終わらせて、N・ウィークさんが安心して帰ってこられるようにしましょう!」
ハルとアインが武器を構え、蜘蛛と対峙し始めた。
……あぁ、戦闘に参加しない大義名分が出来て良かった。
虫が死ぬほど苦手な俺は、今こうして蜘蛛を見てるだけで怖い。
まぁ、これが蜘蛛とかだからいいさ。
蜂とかゴキブリなら叫び声を上げてるとこだった。
「あ、あの……足元……」
いつの間にか俺から距離を取っていたランコが、槍を俺の足元に向けている。
ん?なんだ……?
「いいいいいやあああああああああああああああああ――ッ!!!」
俺は今まで、十七年間生きて来た人生の中で出したことがないような声を出していた。
左足にべったりと虫が張り付いていた!
しかもとんでもねえサイズ!異常な足の量!明らかに百足じゃねえかコレ!ふざけんな!クソが!
「汚物は消毒じゃあああああ!死ねえええええッ!
二度と出てくんじゃねえこのクソ虫!きえええええええええ!」
皆からしたら『虫一つで大袈裟だなこのアホ』と思われるような叫びっぷりだ。
だがな、だがな……俺の膝くらいまでの長さがある百足がガッチリと足にくっついた絶望感がわかるか?
虫に這いずられた時の恐ろしい感触がお前らにわかるか!?
「あああああッ!この野郎ォッ!この!この!このォッ!」
これ以上ない程に叫び、半狂乱になって剣を叩きつけた俺はいつの間にかアインとランコが対峙していた蜘蛛をもみじん切りにしていた。
よくこの状態でカンテラを落とさず割らずだったな、俺。
「はぁっ……はぁっ……クソ運営がっ……こんな悪ふざけ入れやがって!
こんなとこ二度と来ねえからな、俺!」
「先輩がここまで狂うような場所だと、私も流石に嫌です……」
「あ、頭がキーンとしてきた……」
ハルは青ざめた顔で俺を見ていた。
アインは俺の叫び声を聞きすぎたせいか、頭と耳を押さえていた。
ランコは……なんでか俺を笑ってる。
「おいランコ……なんで笑うんだよ……俺はホントに怖かったんだぞ?
俺は黒い悪魔を一匹見るのと目の前でゲロを吐かれる光景を百回見せられるなら後者を選択するくらいの男だぞ?」
虫のせいで頭の中がグチャグチャになっていた俺は、とんでもない発言をしてしまった。
今すぐ訂正したいが……どうしようもないくらい訂正出来ない、だって頭回んねえんだもん。
「うふふ……あはははっ、ごめんなさい、ブレイブさん。
その虫に対する怖がりっぷり……その、なんて言うか……私のリアルでの兄を思い出しちゃって」
「あ?俺と同じくらいに虫を怖がる奴がいるのか?」
「はい。すっごい虫に関して怖がりで……ゴキブリを見た時、悲鳴の音圧だけで窓ガラスを割る程だったんです」
「へ、へぇ……そりゃまたすげえ怖がりなもんだな」
……やべえどうしよう、そのエピソードに心当たりがありすぎて困る。
リアルでも虫への耐性がない俺は、あの黒い悪魔が部屋に出現した時は悲鳴を上げた。
悲鳴だけで窓ガラスが砕け散ったし、近所中大騒ぎになったもんだ。
「はぁ……VRだから少しは緩和されてると思ったのに、感覚はホントにリアルそっくりの絶望感だったぜ、全く……運営もふざけんじゃねえよ」
蜘蛛を見た時はまだ平気だったが……虫が足に這いずった瞬間だけは忘れないからな、もう。
二度と許さねえし、このマップは是が非でも来てやらねえからな。
レアドロップとかなんだとか聞いても絶対来てやらねえ、頼まれたって来てやらねえ。
「あ、灯りが付き始めました。
N先輩が上手くやってくれたみたいですね」
「そうみたいですねー」
「これでカンテラも必要ねえな。よし……」
俺はカンテラを握る手を緩める。
すると、前方から何かが走ってくる音が。
「先輩だよな」
「ブレイブ!スイッチは無事につけた!
カンテラはもう必要ないから、その場で叩き割ってくれても構わんぞ」
「そうですか、じゃあ……オラァッ!」
俺は先輩の目の前でカンテラを床に叩きつけて壊す。
……ふぅ、若干スッとしたぜ。
「ところで、先ほどスイッチをつけようとした時に獣のような声が聞こえたのだが、一体どうしたんだ?」
「あぁ……触れないでください。俺が泣きますから……」
「ん?それは、一体全体どうしたことだ……?」
先輩は首を傾げる中、俺は涙を流すだけだった。
……VRでも、ちゃんと涙は出るもんだよな。
プレイヤーネーム:ブレイブ・ワン
レベル:35
種族:人間
ステータス
STR:60(+55) AGI:70(+45) DEX:0(+15) VIT:33(+65) INT:0 MND:33(+45)
使用武器:小鬼王の剣、小鬼王の小盾
使用防具:龍のハチガネ、小鬼王の鎖帷子、小鬼王の鎧、小鬼王のグリーヴ、、革の手袋、魔力ズボン(黒)、回避の指輪+2




