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セブンスブレイブ・オンライン ~小鬼勇者が特殊装備で強者を食らいます~  作者: 月束曇天
第六章:大体作者が思いつきで始めて迷走する奴
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第百十四話:Battle Man's VS 王の騎士団

「フフフ……楽しみになってきたなぁ」


「ニヤニヤすんな、気持ちワリいんだよ」


「姪っ子に言われるとなんか心に来るね」


 だが、モードレッドの辛辣な言葉が刺さろうとも、僕の笑みは消えない。

 ブレイブくん、KnighT、イアソーン、カオス。

 四人のそれぞれの試合はどれも見ていて面白い物だった。

 故に、僕もアメリカ人プレイヤーと戦うのが楽しみで楽しみで仕方がなかったんだから、姪っ子からの罵倒くらいは笑って耐えてみせようとも。


「それでこのブリーフィングの本題に入るが。具体的な策はあるのか、兄よ」


「特に策は考えたりはしていないかな。

地形やルールを考えると、わざわざ策を練るとしても限られてしまうからね。

だから、基本的に正面から進む方針でいきたい、王の騎士団らしく真正面から叩き潰すんだ」


「ふむ……では、別れる道ごとに用意する隊はどのようにしますか?」


「そうだね、隊をそれぞれ組んで全ての道を進軍路にするのなら君たちをそれぞれ隊長として、そこに均等な振り分けをして丁度良い戦力のメンバーで進軍して貰おうかな。

こちらの数の有利を活かすってことで」


 アルトリアとガウェインはふむふむ、と頷いて自分の頭の中に叩きこんでいるようだけれど。

 ランスロットは無言で腕組んだまんまだし、モードレッドはなんか髪の毛いじってるし、ディララは眼鏡のツルを持ち上げて眼鏡のレンズを光らせながらニヤけてるし。

 ニナに至っては船を漕いでいる……全くけしからん! これじゃあトップギルドなんてドヤ顔していられないだろう!


「……君たち、ちょっと緊張感なさすぎじゃないか?」


「うるせえ。どうせお前が適当に片付けて終わりだろ、親の顔より見た流れだっつーの」


「モードレッド、そんなことを言っては失礼だろう。

申し訳ありません、我が王よ……」


「い、いやまぁ大丈夫だよガウェイン、リアルで慣れたから……」


 あぁ、モードレッドの塩対応は直ってくれなさそうだ。

 リアルだとそれなりに素直なのに、ゲームだと結構ツンツンしていて困るなぁ。

 まぁ、最近はちょっと本人がイライラすることもあったから、ってだけかな。


「……作戦を聞いても、どうせ私は大砲でしょう?」


「うんそうだねディララ、その通りだから後ろからこっそりとアルトリアの髪を引っ張るのをやめようか」


 アルトリアは気にも留めていないけど僕の気が散る。

 注意すると、ディララはやれやれと言った表情で席に座る。


「……」


「ランスロット、君は無言なフリして寝落ちしてるのわかってるからね」


「フ、気にせずとも話は聞いているとも、我が王よ。今日の晩御飯の話であろう」


「くたばれ乱〇スロットが!」


 僕はランスロットの頭を掴み、思い切りテーブルの角に叩きつけた。

 あぁクソッ! 倫理コード切っててもこれくらいじゃ痛みがショボいじゃあないか! 全く、トッププレイヤーってのも楽じゃあないよ、ホント。


「そしてニナ、眠そうだけど君は何かあったのかな」


「アーサーの話が……眠かった」


「……そっか」


 ストレージから取り出した毛布を、僕はニナに渡した。

 今回の戦い方は、作戦もクソもない真正面からのぶつかり合いなんだ。

 だったら、一人くらい寝ていたっていいじゃないか、そう焦ることはないだろう、男アーサー。


「あぁ、もうそろそろ時間か……」


 真の魔王が試合を終えて、僕らが準備に入ってからの時間の経過が早い気がするな……準備は完了してるし、言い忘れたことも何もないから問題はないけどね。

 僕含む総勢150人のギルドメンバーたちがいれば、怖い物は何もない。


「……全く、常にギリギリだよ。僕らだって」


 掲示板で僕らはよく楽そうだ、なんて言われてるけれど。

 最強と言われ、イベントで毎度毎度頂点に立つ度プレッシャーはかかる。

 ……トライアスロンで一位を取れなかった分、肩の荷は少しだけ降りたけどね。

 僕は決して無敵ではない……という意味で。


「けれど、わざわざ負けてやるほど弱くもないさ」


 誰にも聞こえない声で、僕は二度呟いた。

 王の騎士団の団長として、SBO最強の男として――


「勝つぞ! 皆!」


「応!」


 149人の仲間たちは、僕の声に応えてくれた。

 この戦いで、日米親善試合を終わらせて見せようじゃないか。

 特設フィールド……四度に渡る試合でじっくりと見た。

 朧之剣や真の魔王がやったように、王の騎士団は全ての道を進軍路にする。

 そして、僕はただ一人だけで歩き始める。


「さて……敵はどれだけ――多くね?」


 つい素が出そうになった。

 【遠視】でよーーーく遠くを見ると、大量の戦闘員たちが走って来るのが見える。

 全員装備はバラバラだけど……バランスの取れているパーティなんだろう。

 盾持ちがいるし、恐らく攻撃は捨てて防御と速度を強化してるタイプ。

 しかも、数の優位を活かすとか言ってられなさそうな気もしてきた。


「少し遠いが……仕方ない」


 僕は腰の鞘からエクスカリバーを抜き放つ。

 そして、すぐに詠唱を済ませてからオーバーチャージを開始する。

 エクスカリバーは詠唱を終えてから更に詠唱をすれば、威力も速度も上がる。

 大体五分溜めれば2倍くらいの威力は出る、つまり一分で1,2倍だ。

 オーバーチャージ状態だと剣は振れないけれど、別のスキルは使える。

 ので、ここを狙われても体術系のスキルで凌げるってワケさ。


「『殺せー!』」


「『一番乗りは俺だー!』」


「『リンチだー!』」


 ……声が聞こえるほどに近づいて来た。

 まだ距離は離れているが、当たらなければ当たらないでやりようはある。


「超加速、超加力」


 僕はAGIとSTRへ一気にブーストをかけてから――


「エクスッ! カリバアアアアアァァァァァッ!」


 大上段に構えた剣を、思い切り振り下ろした。

 剣いっぱいにたまった光が巨大な刃の形を作り上げた。

 その光は正面へと進んでいき、こちらへ走って来るプレイヤーへ――


「『ギャアアアアア!』」


「『なんと……!』」


「『Oh……My……God』」


「『ママーーーッ!』」


 派手な爆発と共に、四人ほどのプレイヤーが消し飛んだようだった。

 今僕の前に残っているプレイヤーの数は七人ほどか。

 ……エクスカリバーで倒せたのが四人程度ってのは少し残念だ。

 が、まだまだ僕は止まらないぞ。


「まったく……早くレベル上限を解放して貰いたいものだね!」


 いつまでもレベル60のままでは、いい加減飽きも来るところだ。

 レベルを上げるあの感覚をまた味わいたい。

 そう思ってサブアカウントを二つも作ってしまったことが懐かしく感じてくる。


「ふっ!」


 タタタタタ……と壁を走ったところで、思い切り壁を蹴って跳び上がる。

 その行動に彼らは動けず……いや、敢えて動いていないみたいだ。

 散った奴から潰すつもりだったが、仕方ない。

 滞空している隙に詠唱をしている奴から倒していこう。


「バースト・エア!」


「『なんて風力だ!』」


 空中からバースト・エアを放ち、一人を吹き飛ばす。

 一人だけ、攻撃をするのはたった一人だけでも十分だ。

 技の威力を示せば、それに反応するプレイヤーはいる。

 彼等はまとまっていては攻撃を受けると判断して、それぞれ散り始める。


「『また遠距離攻撃が来るぞ! 各々で対処して――ッ!』」


「ありがとう」


 指示を出していた男に斬りかかり、数合打ち合ったところで腕を落とす。

 後ろから矢を引き絞る音と、かすかな魔法の詠唱音が聞こえた。

 ので――


「よっと」


「『え』」


 指示を出していたの男の首を掴み、彼と体を入れ替える。

 放たれた矢と魔法の射線が丁度交差する位置、すなわち僕の立っていた場所――

 そこに差し出された男は当然、矢と魔法にブチ抜かれた。


「『お、お前ら――』」


「動揺している暇が、あると思うのかい?」


 指示を出していた男はまだ生きているので、首を落として今度こそ撃破だ。

 次は……面倒な遠距離攻撃持ちを倒したかったが、そうはさせてくれないようだ。

 盾持ちが三人もいて、弓矢使いと魔法使いを守るように動いた。

 で、槍使いの女が僕に向けて突っ込んでくる。


「『せえっ!』」


「ハッ!」


 真っ直ぐ突き出される槍を打ち払い、踏みつけて――


「セアッ!」


「『ぐはっ……!』」


 回し蹴りを顎に食らわせ、グラついたところを頭から斬り下ろす。

 その隙に詠唱を完成させたスキル込みの矢と共に魔法が飛んでくる。

 が、それは既に想定内、むしろ予想より遅い。


「『【フォース・ヘルファイア】!』」


「『エクスプロード・アロー!』」


「精霊光!」


 10秒間、あらゆる攻撃を通さずに僕を守る光。

 それを纏うと同時に踏み込み、両手で握ったエクスカリバーを思い切り横薙ぎに振るう。


「『ぐっ……!』」


「『重い!!!』」


「『通常攻撃なのか……!?』」


 盾ごしだからダメージは薄いが……次の魔法と矢が来る前には殺せる。

 詠唱も済んだことだから、とっとと盾ごとブチ抜いてやろう。

 一歩下がってから、光を纏わせた剣を大上段に構える。


「ホープ・オブ・カリバーン!」


「『流星盾!』」


「『【アイアンウォール】!』」


「『【城壁】!』」


 派手なライトエフェクトが、煙を巻き起こして視界を悪化させる。

 だが、視界が悪くなるのは僕にとっては好都合でしかない。

 完全に視界がなくなったって、敵の居場所は正確にわかるのだから。


『煙で見えない!』


『撃っちゃダメ! 味方に――』


「こういう時こそ、撃った方がいいんだよ」


 慌てて騒いでいる盾持ちをスルーして、弓使いの首を後ろから刎ねる。

 それに気付いた魔法使いが声を上げる前に逆袈裟斬りで腕を切り裂き、左手で顔を殴りつけてしとめる。

 最後に、僕を探して煙が晴れるのを待っていた盾持ち三人に剣を向ける。


「バースト・エア」


「『ぐわあああああ!?』」


 男三人の悲鳴が聞こえると共に、煙は晴れる。

 そして盾持ちはバラけた……一人一人、確実に潰すとしようじゃないか。


「『ちょっ、待っ』」


「ハッ!」


「『Help me!』」


「Refuse」


「『Noooooooo!』」


「Seeyou」


 綺麗に三人まとめて斬り殺し、僕に挑んできたプレイヤーはこれで全滅だ。

 ……さて、アルトリアやランスロットたちは上手くやっているかな。

 と、二人が進軍した方を眺めていると僅かな殺気を感じたので僕は真横に跳んだ。


「チッ……殺気を感じてからでは遅すぎたか」


「『おいおい、今の躱すか? 俺の透明攻撃を初見で避けた奴なんてPythonしかいなかったんだぜ?』」


「VRでも、殺気などの気配を探る方法はあるからね」


 これについて教えるつもりなんてないけどね。

 そもそも、感覚なんだから教えようたって教えようがないんだから。


「『まぁいいや、左腕を落とせたんだ。とっととやろうぜ』」


 Battle Man'sのギルドマスター、【Handsome】は大斧を構えた。

 モヒカン頭にトゲ付き肩パッド……どこからどう見ても世紀末の雑魚だ。

 だが、それでいてギルドマスターというのはなんだか面白いじゃあないか。


「片手一本でも、君に勝利してみせるよ」


「『そうかよ、ぜってぇ泣かせてやるぜ!』」


 日米親善試合、五番目。

 最終戦にて最後のギルドマスター同士の戦いが、幕を開けた。

プレイヤーネーム:アーサー

レベル:60

種族:人間


ステータス

STR:100(+170) AGI:100(+120) DEX:15(+70) VIT:20(+120) INT:0(+100) MND:20(+120)


使用武器:エクスカリバー・改

使用防具:真・獅子の兜 真・騎士王の鎧 真・暴風の衣・上 真・暴風の衣・下 真・騎士王の籠手 技砕ノ靴・改 理想郷の鞘・改

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