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004、パーティー結成からダンジョンへ




 パーティーへの参加は割とあっさりいった。



 どこか適当なパーティーはないものかとギルドで尋ねたところ――


「ちょうどレベルも近いし」


 そういうフワッとした感じで、あるパーティーを勧められた。


 ギルドのカウンターでステータスを確認し合ったところ、


「ヒーラーか。ちょうど回復薬が欲しかったところなんだ」


 と、リーダーがすぐにOKを出してくれた。


<ジロウ・ナミカワ――ランク:HR ジョブ:ヒーラー レベル2>


「HRランクなんて将来有望だぞ」


 どうやらレア度が功を奏したらしい。


 ちなみにパーティーのステータスは、


<ヤスタカ・マツダイラ――ランクR ジョブ:ファイター レベル5>


<サキョウ・ミズノ――ランクN ジョブ:レンジャー レベル2>


<リュウノスケ・ホッタ――ランクN ジョブ:メイジ レベル3>


<ヨウ・アンドウ――ランクN ファイター ジョブ:ファイター レベル2>


 こんな感じだった。



 まあリーダー以外はみんな似たり寄ったりである。


 そのリーダーにしても大きなレベル差があるわけでもなかった。

 みんな全体的にぎこちなく、いかにも新造のグループという感じ。


 とはいえ、僕としても別段不満もない。


 簡単な挨拶と共に仲間に加わることになったわけだが。


 主な討伐内容を聞いてみると、


「もっぱら大型スライム狙いだな」


 だった。


 油断と運次第では命取りにも場合もあるが、集団戦なら問題ない。

 スライムが群れで行動する習性がないのも良かった。



 しかし、いくらスライムをボコスカ潰しても、


「あんまり儲からない……」


 のであった。


 どうもスライムから抽出される魔結晶は最低品質であるらしい。

 もっと高品質のものを得るには、より高レベルの魔物を倒さねばならない。


 また、武器防具も定期的にメンテナンスが必要だった。

 将来的には、より強力なものに買い替えねばならない。


 ある程度この世界や魔物討伐に慣れてくると、それなりに向上心も刺激されてくる。

 このへんは、まあ僕も似たようなもので。



「そろそろスライムは切り上げて、もっと強い魔物を狙ったほうが良くね?」


「いつまでもウダウダやっててもしょうがないし……」


「人数があれば、何とかなるだろ」


 あんまり賢いとは言えない相談を繰り返して、結局より高位の魔物と戦うこととなる。


 といっても、みんなまだ低レベルだ。

 戦って勝てるような相手は限られていたが。



 相談の結果候補に挙がったのが、


『レッサーゴブリン』


『魔物ネズミ』


 の二種である。



 案内書に乗っていた簡易な図鑑によれば。


 レッサーゴブリンは緑の小鬼で大きさは1メートル前後。


 ・尻尾があり、爪と牙を武器とする。俊敏だが頭は悪い。武器を使う知恵もない。



 魔物ネズミは大きさは1メートル前後の大ネズミ。


 ・主に農作物を荒らす害獣。動きはやや鈍重だが、数匹の群れをなすことが多い。

 ・まれに上位種の毒ガスネズミという麻痺毒のブレスを吐くが混ざる場合もある。



 どちらも一長一短というか。


 単体の危険性はレッサーゴブリン。その分群れの危険性がある魔物ネズミ。


 さて、どうするか?



 パーティー内での協議の結果。ともかく、一度戦ってみて検討することに。



 まずレッサーゴブリンの場合。


 これは主に荒地を徘徊しており、近くを通る人間を襲う。

 直接襲って食べるというより、携帯している食糧なんかが狙いらしい。



 荒地に行ってみると、すぐに見つけることができた。

 図鑑のイラストではわからなかったが、毛のない緑の猿という印象。


 ここでは弓を使うレンジャーやメイジが活躍し、前衛職はあまり出番なし。

 耐久力はスライムよりも低いようだった。


 もっとも食いつかれたり、引っ掻かれれば相応の傷を負っただろう。

 行動を見るに、数体いても共に行動する様子はなかった。


 仲間がこちらを襲っても、こちらが攻撃した場合も遠くから見ているだけ。


(ひょっとして相互不信の生き物なのか?)


 と、僕は考えたくらいである。



 さて。次は魔物ネズミとなるが。


 こちらでは前衛のファイターたちが壁となり、レンジャーとメイジが後方支援。

 装備的に、僕も前衛職としてメイスを振るった。


 確かに動きは鈍重だがその分足が太くて、体当たりの衝撃も強い。


 ネズミというより小型の熊みたいだった。



 数匹をしとめるのに、けっこう時間と体力を要したと思う。

 魔結晶の出具合から見て、結局主なターゲットは魔物ネズミとなった。



 そうなってからは、パーティーでもダメージを受ける者が多くなる。




 すなわち、ヒーラーたる僕の出番が多くなるわけだが……?




 やがてまた時間は流れ、ダイノヘルムに召喚されてから数か月後。



 さらに討伐という名の狩りに慣れ、ある程度装備も増強でき始めた頃。


「ここらで一つ、ダンジョンに挑戦してみようや」


 と、リーダー……通称ヤスが言い出した。


 ダンジョン。訳すれば地下牢だが、この場合は地下迷宮とする方が正しい。


 これもゲームでお馴染みのアレ。

 ただし、このダイノヘルムでいうダンジョンは悪い魔法使いの根城ではない。


 また古代の遺跡とかそういうものでもない。

 遺跡なんかもあるのだろうが、それは全く別物である。


 それは、様々な場所にランダムに発生する迷宮の入り口。

 ある時は人の通わぬ辺境に、時には街のど真ん中に出現することもあるという。


 一見人工物のように見えるが、自然発生的に現れるものだと案内書には記されている。


 もっとも広大なダイノヘルムは人間の住んでいる土地のほうが少ないようで。


 人口密集地にダンジョンが現れることは稀だという。

 どうして現れるのかはわからないが、魔王の脅威が現れてより出現頻度が上がったそうだ。


 また、ダンジョンは魔物発生源の一つでもある。


 なので、街の近くにダンジョンが現れると急ぎ対処が要求されるのだ。

 場合によってはドラゴンなどの凶悪な怪物が出てくる危険性もあるとか。


 ダンジョンは、その深部にあるダンジョンコアというものを破壊すると消える。


 また、どういうわけかダンジョンには質の良い武器防具や貴重なアイテムがもりだくさん。

 魔物の危険はあるものの、危険に見合うだけのリターンは期待できる。


 さらに基本的に階層を潜るごとにうろつく魔物の強さは上がるわけだが……。


 逆に言えば浅い階層ならば、それほど強いモンスターは出てこないわけだ。

 同時にあまり大したアイテムも出ないが。


 それでも、低レベルの冒険者にとっては十分価値のあるものばかりだという。




 案内書に書かれた説明は、ひどく蠱惑的に冒険者を誘って――




 

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