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アズウェルの謎
山道を歩きながらアニーは一つ気がかりな事をアズウェルに尋ねた。それは、彼の手について。いくら山賊の鈍刀とは言え、刀身を素手で掴んだのだ。常識的に考えれば怪我をしていないわけが無い。しかしアズウェルはあっさりと答えた。
「手? ああ、何とも無いよ。俺、身体丈夫だから」
丈夫だとかそんな問題では無いと思うのだが。確かに刃物と言うのは押さえつけただけでは切れにくい。引くか押すかする事によって鋭い切れ味が生まれるのだが、アズウェルは山賊が引こうとしても動かない程強く剣を握っていた。それなら掌に刃が食い込んで怪我をしてもおかしくない。否、怪我をしない方がおかしいと言っても過言ではあるまい。
「ほれ、この通り」
アズウェルは手を開いてアニーに見せた。彼の掌には驚くべきことに、傷どころか剣を握った跡すらも付いていなかった。驚愕するアニーの頭をポンっと叩いてアズウェルは笑顔で言った。
「ほら、何とも無いだろ? お前さんは他人の心配より自分の心配をしないとだな」
この時、アニーはアズウェルの手の皮が特別に固いわけでは無いと感じた。なら、何故彼の手には傷一つ、剣の跡すらも残って無いのだろう?




