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旅立ち

 父に敵対する竜を親子三人で倒し、みんなで一緒に暮らそうと盛り上がったところでアニーがふと疑問を口にした。


「ところで、お兄ちゃんは竜になったけど、私はどうなるのかな?」


「そうだな、マイクと同じ年頃だろうから……あと二年ぐらいで同じ様になるんじゃないか?」


 怖い事をあっさりと言うアズウェル。どうやら彼は娘を不安がらせない気遣いとか思いやりとか言うものは持ち合わせていない様だ。アニーの顔が暗くなった。


「大丈夫だよ、アニー。ボクは突然だったからびっくりして家を飛び出しちゃったけど、竜になるってわかってたら落ち着いて対処できるだろ。人間の姿に戻る方法も教えてもらったしね」


 アニーを元気付けるかの様にマイクが優しく言うとアニーはにっこり笑った。


「うん! もし私が竜になっちゃってもきっとお兄ちゃんが助けてくれるよね!」


「もちろんだよ。その頃にはボクも自分の中の竜を完全に飼い慣らしてるだろうから」


 マイクが言った『自分の中の竜』と言う言葉。本人は意識はしていないが、自分が人間と竜の間に産まれた事を知った彼がこれからも人間として生きていくという思いの現れだったのかもしれない。するとアニーが妙な事を言い出した。


「でも……私の中の竜は強力だよ……」


 穏やかでない事を言うものである。彼女には何か思い当たる節でもあるのだろうか? 確かにアニーの男勝りな性格を考えればそんな気もしない事は無い。マイクとアズウェルは眉間に皺を寄せた。


「でも、お兄ちゃんがキスしてくれたら大人しくなるかも」


 もじもじしながら恥ずかしそうに言うアニー。そのバカな言葉にアズウェルが呆れながら言った。


「お前なぁ、人の事ロリコン扱いしといて自分はブラコンじゃねぇか……って、そんな事、お父さんの前で言うモンじゃありません」


 それからしばらく父娘の会話とは思えないとんでもない会話が続いた後、アニーとマイクは一度家に戻り、母に全てを話し、旅に出る事を告げた。


 こうして後にアニーは竜を狩る少女として名を馳せ、アズウェルとマイクは少女を守る竜として人々に語られるのだが、それはまた後の機会に。



                 


                 竜を狩る少女 少女を守る竜 第一部  完



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