表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
<R15>15歳未満の方は移動してください。

国王陛下とオムツなオバケ

作者: @眠り豆

 1


 私は扉の前で、眉間の皺を指で伸ばした。

 背後から、鼻で笑う声がする。


「畏れながら申し上げます。陛下の老け顔は生まれつきであらせられます。今さら眉間の皺を伸ばしたところで、どうにもなりません」


 ファルケ王国国王オイゲンである私の、幼なじみにして侍従長のヨハンだ。

 同じ年に生まれたが、彼のほうが誕生日は早い。

 にも関わらず、二十六歳にして十代の少年にしか見えないイヤな男である。

 十代のころから三十代に見られていた私は、二十五歳の今、たまに四十代に見られるというのに。そういえば学生のころ、ふたりで王都の市場を歩いていたら、親子と間違えられた。

 私のほうが背が高くて、体が筋肉質なせいもあるかもしれない。

 思い出すと、伸ばした眉間の皺が蘇っていく。

 動かない私に、ヨハンが溜息を漏らす。


「妃殿下がお慕いになられているのは、そのままの陛下でいらっしゃいましょう」


 私は眉間に伸ばしかけていた手を止めた。

 扉の向こうでは、妃のイレーネが待っている。

 結婚して、そろそろ一年。二十五歳と二十歳で結婚して、彼女は一足先に二十一歳になった。


「……うむ」


 首肯して、扉の取っ手を握る。

 性根はねじ曲がっているものの、ヨハンは信頼できる優秀な部下だ。


「陛下? 今なにか、君主にあるまじきことをお考えになりませんでしたか? 部下の陰口をほざくような上司は、大成なさいませんよ?」


 ……付き合いが長すぎて、口に出さなくても気持ちを読まれてしまうのが、ときどき困る。

 私はヨハンの声が聞こえなかった振りをして、扉を開けた。

 というかそなたこそ、君主に向かって『ほざく』とはなんだ。


 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆


 春の森に、亜麻色の髪の妖精がいる。

 眩しい瞳と同じ、緑色のドレスが良く似合う。

 白い円卓の前に座っていた妖精は、立ち上がって私に微笑みかけた。


「お帰りなさいませ、陛下」

「……うむ」


 それから彼女は、隣に座っていた金髪の子どもを肘でつつく。

 ザウアー伯爵家の跡取りアルトゥール少年、六歳だ。

 彼は慌てて立ち上がり、私にお辞儀をした。


「義兄上、いえ、オイゲン国王陛下、本日は昼食にお招きいただきありがとうございます」

「私的な席だ、アルトゥール。兄でかまわない」

「はっ」


 敬礼する義弟のアルトゥールを見て、イレーネの侍女のドロテアが目を細めた。私と同じ老け顔で、いつもは機嫌が良くても怒ったような顔をしているドロテアも、主人であるイレーネとその弟のアルトゥールへの愛情は隠しきれないものなのだろう。

 私はふたりに着席を促し、自分も席に就いた。

 著名な画家の手で壁一面に春の森を描かせたこの部屋の四隅には、春の花を飾った花瓶が置かれている。開け放した窓の外の中庭は、室内の壁画の続きと見紛うように整えられていた。

 窓から吹き込む春の風が、花瓶の花を揺らして室内を芳香で満たす。

 千四百を超える部屋があるこの宮殿で、私が一番好きな部屋だ。

 結婚前の顔合わせで、イレーネと歩いた春の中庭を思い出すからかもしれない。


「……それでは食事にしようか」


 円卓に並べられた皿の蓋を持ち上げると、白い煙が立ち昇った。

 じっくり煮込まれたタマネギの、馥郁ふくいくとした香りが鼻孔をくすぐる。

 昼食の献立は、温かい釜煮に茹でた麺を添えたものだった。

 四角く切った赤身の肉とたっぷりのイモ、そしてタマネギを脂で煮込んで、ニンニクと塩コショウで味付けした釜煮は、ファルケ王国の郷土料理。その上に半熟卵を載せるのが、王都流である。

 潰した半熟卵の黄身を麺に絡めて、茶色いスープと一緒に口へと運ぶ。


「……甘いな」


 今日は、いつもの味付けと違った。

 私が漏らした呟きに、イレーネが心配そうな顔をする。


「陛下のお口に合いませんでしたか?」

「……いや。細かく切ったタマネギの旨みが活きているので甘く感じただけだ。私はいつものものより、こちらのほうが好きかもしれない」


 私の妖精が、花のような笑みを浮かべる。


「良かった。実は今日の昼食は、わたしが作ったのです」

「ありがとう。しかし、体は大丈夫なのか?」


 彼女は数日前に体調を崩し、それから王妃の業務を減らしていた。

 休んでもらうための時間を私のために使わせては申し訳ない。

 恥ずかしそうに顔を伏せ、イレーネが唇を開く。


「実は陛下……その、赤ちゃんができていたのです」

「それはめでたい。……ん? 赤子ができたのはそなたにか?」

「はい」

「そ、それは、つまり……私、の……」


 私の妖精は、こくんと頷いた。

 結婚して一年近く。身に覚えなら両手両足で数えても足りないほどある。飛び上がって踊り出し、イレーネを抱き締めたい気分だったが、残念ながら私はそういうことができる性格ではない。


「うむ、大儀である。体を労わって過ごすが良い」


 せめて笑顔で言えれば良かったのだが、たぶん眉間の皺が増えただけだ。

 声にしても、緊張すればするほど感情が激しくなればなるほど、私の声は低く重くなってしまう。

 優しい表情でドレスの腹を撫でるイレーネに、私の喜びが伝わっていることを祈るしかない。

 自分の口から伝えたかったから宮殿の侍医を口止めして、特別な日にしたかったから料理長に頼んで昼食を作らせてもらったと打ち明けられて、私は彼女が愛しくて息が止まりそうになった。春の中庭をともに歩いたあの日から、私はイレーネに恋している。

 光り輝く彼女は、私の愛しい妖精だ。


 ……と、口に出して言える日は来るのだろうか。


 私はどうも口下手で、イレーネに上手く気持ちを伝えられないでいる。

 父上の親友だったザウアー伯爵にねじ込まれた、あるいは完全に政治的な判断による婚姻でしかないのだと、彼女が誤解していなければ良いのだけれど。

 給仕をしてくれていたヨハンが私の耳元で、そっと囁いた。


「……素直にお伝えになればよろしいと思いますよ? まあ『私の妖精』はないですが」


 そなた、どこまで私の気持ちが読めるのだ。


 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆


 2


 ──昼食の後、妊婦には軽い運動が必要だから義弟と中庭を散歩するというイレーネに別れを告げて、私は午後の業務へ向かった。

 ファルケ王国の宮殿は、翼を広げた鷹を模して造られている。

 私的な東の翼から、内政を司る胴体部分へ向かって廊下を歩む。西の翼は国内外の賓客をもてなすための空間だ。


「陛下」

「……うむ」


 ヨハンからの祝福の言葉を期待して待つ。

 しかし、彼の口から出てきたのは意外な言葉だった。


「ドロテア殿は、アルトゥールさまのような美少年がお好きなのですよ」

「そ、そうなのか。だれしも美しいものが好きだからな」

「つまり、若々しくて美しい男が好きだということですよね?」

「そうかもしれないな」

「なのになぜ、彼女は私になびいてくださらないのでしょうか」

「……そなたは、ドロテアよりも年上だろう」

「でも見かけは美少年ですよ?」


 自分で言うな!


 思わず心の中で突っ込んだが、この気持ちを覚られてヨハンの機嫌を損ねるわけにはいかない。これから海千山千の貴族たちと来月行われる翼の大祭について話し合う。私には助けが必要だ。

 なにかほかのことを考えなくては。ほかのこと、ほかの──

 私は絢爛豪華な廊下の壁に並べられた、歴代王族の肖像画に目を向けた。

 わがファルケ王国は、数多の大国に挟まれた借金だらけの小国である。

 壁や柱を飾る金銀宝石を売り払えたらいいのにと子どものころから思っているけれど、国の格を保つのに必要な見栄だということもわかっていた。

 とはいえ、見事な彫刻が施された黒檀の額縁も借金の借用書にしか見えない。

 イレーネと私の結婚式を描いた絵の横に飾られているのは、父母の肖像画。

 病弱で線の細い父上の隣に立つ母上は、健康そうな赤い頬をしていた。

 でも、先に亡くなったのは母上のほうだ。

 私を産んですぐ、お亡くなりになったのだ。

 父上は、今ごろ天国で母上と再会なさっていらっしゃるだろうか。私の即位と結婚式を見届けてくださった父上は、ご自分の寿命は彼女にもらったものだとおっしゃっていた。

 両親の隣には、祖父母の巨大な肖像画がある。


 ……本当に、無茶苦茶大きいな。


 歩いても歩いても終わらない。

 祖父が私の父である先王の母親と結婚したとき、彼には十六人の子どもがいた。

 再婚ではない。父の兄や姉たちは、みんな庶子だった。

 十八人全員を画面に収めるのに、さぞや画家も苦労したことだろう。

 祖父は女性が好きな遊び人で、ただでさえ多かった我が王国の借金を三倍に跳ね上げた。厳つい顔の私とはまるで違う優しげな美男子で、髪の色も明るい。父の面影はある。

 このころはもうかなりの高齢だった祖父は、隣に立つ長男よりも若々しい風貌だ。

 私は、働き過ぎで亡くなったこの老け顔の伯父にそっくりだといわれている。確かに色濃い黒髪、眉間に皺を寄せた不機嫌そうな、年齢に見合わない厳つい風貌が生き写しだ。

 あまりにそっくりなので、父上は彼の子どもではないかと囁かれていたこともある。

 伯父上は祖母が父上を身籠る数年前に亡くなっているので、ありえない話だが。

 平民を母に持つ庶子の彼は王位継承権どころか、いかなる身分も財産も受け継ぐことができなかった。我が国の法と国教の教典は、結婚証明書を持たない男女から生まれた子どもに厳しい。それでも彼は気ままな父親を補佐し、借金の返済に励み弟妹の行く末を決めて、この世を去った。

 生涯独身で子どももなく──


「陛下」


 ヨハンの声に顔を上げる。

 いつの間にか廊下を抜けて、会議室の前に辿り着いていた。


「今日こそ翼の大祭についての話し合いを進めたいものだ」


 溜息をつく私に、侍従長は言った。


「さようでございますね。私もお手伝いさせていただきます。……とはいえ、いい年齢としをして自分を美少年と称する私のようなものでは、なんのお力にもなれないと存じますが」


 ……あー……やはり、心の中で突っ込んでいたことに気づかれていたか。

 早くイレーネの元へ戻りたいのに、今日の会議も長引きそうだ。


 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆


 伯父上には、庶民の恋人がいたと噂されている。

 その女性との間に、隠し子がいたのではないかとも──

 庶子だった伯父上が、彼女と結婚できなかったのにはわけがある。

 祖母と結婚したときの祖父は、本当にかなりの高齢だった。

 そのため、何年も子どもができなかったのだ。

 祖父がファルケ王国の借金をこれまでの三倍に増やしてくれたおかげで、国内外の借金取りたちは優しくなっていた。不思議な話ではない。王国ごと潰れて借金を踏み倒されるのを恐れたのだ。

 ファルケ王国に有形無形の支援をおこなっていた借金取りたちは、王家存続を祈っていた。

 彼らは祖父母の子どもは生まれないものと考え、伯父上をふたりの養子にするよう要求したのだ。

 王国法と国教の教典的には、それで彼に王位継承権が与えられる。

 身分と財産を相続する権利もだ。

 しかしそうなれば、しかるべき身分の女性を妃に迎えなくてはならない。

 祖父のように愛人と庶子を撒き散らすのは、伯父上の望むところではなかった。

 恋を貫くか、王国を守るか、突きつけられる選択肢が、ただでさえ仕事に明け暮れて過労状態だった体にとどめを刺した。

 彼の死の一年後、祖父母は祖父の九男を養子に迎えた。

 そしてさらに一年後、祖母は私の父を出産した。


 世の中は、いつもままならない。


 ……なんてことを思っていたのは、目の前の赤ん坊が伯父上の隠し子ではないかと考えたからだった。私以外には見えていない赤ん坊だ。

 実は、私には『霊らしきもの』を見る力がある。

 たぶん幽霊で間違いないと思うのだが、国教の教典によると幽霊は、天国に入るのを拒まれた不信心者と悪人が地上をさ迷っている姿だとされていた。

 でも私の瞳に映る彼らは、そんなものには思えない。

 いつも穏やかで優しかった父上に打ち明けたときは雷を落とされたけれど、幼い私を見守ってくれていた女性の『霊らしきもの』は、母上だったと信じている。

 会議室の机に広げた書類の上で、オムツにくるまれたお尻を振り振りはしゃいでいる私そっくりの赤ん坊が、不信心者や悪人のはずがない。

 オムツ以外はヨダレかけしか纏っていない赤ん坊は、小さな手で書類を叩き、自慢げな笑顔で振り返る。

 もごもごと口は動いているものの、『霊らしきもの』の発する声や音は私には聞こえない。

 彼(彼女?)は私に、なにを伝えようとしているのだろうか。

 どう反応すべきかと悩んでいるうちに、赤ん坊は私に興味をなくした。

 猫のように丸まって、会議室の机上で眠り始める。

 会議室の机上、つまり私の書類の上でだ。

 『霊らしきもの』は、うっすらと透けている。

 しかし、目を凝らさなければ透けていることがわからない程度なので下の書類が読めない。

 幼かった私は生きた人間や動物と間違えて、よく周囲の人間を慌てさせていた。

 『霊らしきもの』に触ることはできない。すり抜けてしまう。

 とはいえ、赤ん坊の体に腕を入れて書類を取るなんてしたくはなかった。

 どうせ今日も、会議は一歩も進んでいない。


「……もう閉会にしよう」


 立ち上がって言うと、殴り合いに発展しそうな勢いで罵り合っていたランゲ伯爵とヒルシュ公爵が、目を丸くして私を見た。

 ふたりは開会からずっと、言い争いを続けていたのだ。

 毎日会議を開催しているというのに、翼の祭典についての話し合いが一向に進まないのは、このふたりが宮殿の警備人数の増加について争っているからだった。

 しかも祭典のときのではなく、平時の。

 もちろん、それも大事なことだ。

 大事なことなのだけれど、国内外に国力を示す翼の祭典が成功しなければ、借金の限度額も変わってくる。国庫が空っぽの状態では、どうあがいても警備人数など増やせない。

 宮殿の警備責任者のランゲ伯爵は、例の伯父の親友だった男で、私にも父にも良くしてくれた恩人だ。

 全体的な人事責任者のヒルシュ公爵は、祖父母の養子になった九男の息子。つまり私の従兄。

 私の父が産まれて次期国王の座を追われたこちらの伯父は、大公の身分を与えられた。

 祖父と同じ女性好きの遊び人なので、本人はその地位に満足しているようだ。

 だがしかし、息子のヒルシュ公爵は満足していなかった。

 どうやら王位を狙っているらしい。

 こんな借金だらけで苦労ばかり多い玉座など譲ってもいいのだが、なかなかそうもいかない。

 ヒルシュ公爵は、なんというか……過激なのだ。

 幼いころから私は、何度毒殺されかけたかわからない。

 彼は自分で開発した新薬を使ってくるので、宮殿の侍医には解毒できないし、原料を見つけても調合するまでは毒にならないし、調合方法は彼しかわからないから証拠にできないというわけで、今も野放しのままだ。

 おかげで私は、見知らぬ毒を受けても自力で解毒剤を作れるようになってしまった。

 たぶん体にも毒に対抗する抵抗力が生まれているだろう。

 ともあれふたりともファルケ王国の重鎮には違いないので、私も強いことは言えない。

 ヒルシュ伯爵の父親である大公は、女性好きの遊び人でつかみどころがなく、なにを考えているかわからないけれど良い方だしな。うん、たぶん。

 奥方はもう、問答無用に良い方だ。

 大公との結婚証明書を応接間の壁に飾って夫の浮気を戒める逞しさを持つ彼女は、生まれてすぐに母を亡くした私のことを我が子のように慈しんでくださった。

 ん? もしかしてヒルシュ伯爵は、私が奥方に可愛がられているのが気に入らないのだろうか。だからって殺されるわけにはいかないが。

 かくて会議は脱線し、翼の祭典は近づいてくるという悪循環。

 ……うん。みんな落ち着いて、頭を冷やしたほうがいいだろう。

 私の判断を支持するかのように、目を擦りながら顔を上げた赤ん坊が、笑顔で頷いた。


 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆


 珍しいことに、会議室を出ても赤ん坊はついてきた。

 これまで見た『霊らしきもの』は、場所に縛られていた気がする。

 母上もずっと子ども部屋の隅にいらっしゃった。

 この赤ん坊は『霊らしきもの』ではないのだろうか。

 『霊らしきもの』以外のものが、宙に浮かぶとは思えないのだが。


「よろしいんじゃないですか?」

「うむ?……っ」


 ヨハンの声に振り向くと、赤ん坊は彼の頭にしがみついていた。

 というか、頭の上で寝ようとしたら下半身がずり落ちたという状態だ。

 大きく膨らんだオムツがヨハンの顔となり、ヨハンの顔がオムツとなっている。

 私は、吹き出しそうになるのを必死でこらえた。

 ヨハンの声がオムツから流れ出る。


「元から仲が悪かったのは事実ですが、最近の角突き合いは普通じゃありません。少し距離を置かせたほうが、おふたりのためにもなるでしょう」

「そうだな」

「……陛下」

「ん?」

「陛下は、妙なものが見える体質でいらっしゃいましたよね? 会議室にいたときから視線がおかしかったようですが、なにか見えていらっしゃるのではないですか?」

「い、いや、べつに。それより、妃に会いたい。まだ中庭にいるだろうか」


 私はヨハンから顔を逸らし、肖像画の廊下で足を速めた。


「見えてますよね? 私の近くに妙なものがいるのではないですか、陛下。……陛下ぁ!」


 オムツ頭の侍従長が、私を追ってくる。


 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆


 3


「お早かったのですね、陛下。……お帰りなさいませ」


 一瞬驚いた顔をしたものの、私の妖精は嬉しそうに微笑んでくれた。

 その胸には赤ん坊がいる。

 イレーネが私の視界に入ったとたん、赤ん坊が彼女の胸に飛び込んでいったのだ。

 ──赤ん坊よ。

 その胸は私のものなのだぞ、と睨みつけると、赤ん坊はムカつく感じの笑みを浮かべた。


「陛下、やはりなにかがいるのでしょう? 私の頭から、妃殿下の胸へと移動したのですね!」


 真っ青な顔をしたヨハンが、小刻みに震えながら言う。

 このままでは良くないな。

 彼は『霊のようなもの』が苦手で、怯えすぎると理性を失い暴れ出す。

 王侯貴族の義務として一緒に王都の軍学校へ通っていたとき、見た目だけは美しいヨハンを『霊のようなもの』の振りをしてからかった上級生たちは、怯えた彼によって『肉塊のようなもの』に変えられた。不思議なことに命に別状はなく、彼らはその後ヨハンの忠実な下僕となった。絶対あれは死んでいると思ったのだが。

 直接かかわらなかった生徒や教師の間にもこの事件は広まったので、『血まみれヨハン』の名は未来永劫語り継がれると思われる。

 ヨハンが私の侍従長でいる限り、軍関係者の反乱はないだろう。良かった良かった。

 それはともかく──


「ま、まさか幽霊?」


 こんなところで暴れられてはかなわない。

 怯えるヨハンに、私は告げた。


「そうではない。オバケだ」


 ヨハンの青ざめた顔に、血の気が戻った。


「なんだオバケですか、良かったあ」


 安堵の息を吐く彼に首を傾げる。

 自分で言っておいてなんだが、『霊のようなもの』とオバケと、どう違うのか。


「陛下、オバケ……とは?」


 イレーネが不安そうな顔で、自分の胸を見下ろしている。

 ひどく衝撃を受けた表情の赤ん坊が、私に視線を送ってきた。

 オバケ扱いは不本意なようだ。


「あ、ああ、悪いものではない。可愛い赤ん坊のオバケだ」

「まあ。わたしがもうすぐ母親になるから、自分のお母さまと間違えたのでしょうか」


 私の妖精は幸せそうに笑って、見えていないであろう胸の赤ん坊を抱き締める仕草をした。

 赤ん坊が彼女の胸に顔を埋める。

 ……仕方がない。今だけは我が妃に甘えることを許してやろう。だがその胸は私のものだ!

 私は辺りを見回した。

 侍女のドロテアはいるけれど、義弟のアルトゥールの姿が見えない。


「ドロテア、アルトゥールはどうした」

「若さまはドングリを拾いに行かれました。王妃さまは大事なお体ですし、中庭は要所要所に衛兵が控えているので、若さまはおひとりでも大丈夫かと」

「ああ、そうだな」


 六歳のアルトゥールは、ドングリが大好きだ。

 最近ポケットを膨らませていないので卒業したのかと思っていたけれど、ポケットに詰め込まなくなっただけらしい。

 宮殿の中庭は広く、敷き詰められた落ち葉の下には一年中ドングリが転がっている。


「姉上ー、ドロテアー。……あ、義兄上もおいででしたか」


 噂をすればなんとやら、中庭の木々の合間を縫って、アルトゥールが走ってくる。

 その手には、白いハンカチが握られていた。


 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆


「うへへっ。実は私、恋文をいただいたのです!」


 小鼻を膨らませるアルトゥールに視線を向け、赤ん坊は呆れたように肩をすくめた。

 赤ん坊は、今もイレーネの胸にしがみついている。……それは私のものだからな。


「素敵、どなたにですか?」


 見えない赤ん坊を抱いている姉に首を傾げながら、アルトゥールが教えてくれる。


「ランゲ伯爵家のシャルロッテさまです」

「……ほう」


 シャルロッテ嬢は義弟と同じ六歳。とても無口で、真っ直ぐな黒髪が印象的な少女だ。

 両親はすでになく、祖父であるランゲ伯爵に最近引き取られた。

 十数年前、年の離れた下男と駆け落ちした伯爵令嬢が残した娘なのだという。

 宮殿への出入りは私が許可したものの、正式なお披露目はされていない。

 彼女の両親の結婚証明書が見つかっていないのだ。

 我が国の国教は、そういったことにうるさい。

 とはいえ各地の聖職者に聞き込みを進めているので、すぐに見つかるだろうし、いざとなったら祖父母のランゲ伯爵夫妻が養女にしてもいいだろう。

 そういえば最近、ランゲ伯爵夫人の姿を見ない。

 前はよく夫婦で宮殿の中庭を散歩していたのに、体調でも崩されたのだろうか。

 頭の中で、ランゲ伯爵夫人の面影をシャルロッテ嬢と重ねてみる。

 似ているような似ていないような……もっとほかにシャルロッテ嬢と似ている人物がいるような気がする。駆け落ちした伯爵令嬢はどんな顔だっただろう。

 しかし、ふむ。義弟はああいう少女が好みなのか。

 もっとも自分の好みなど、そのときまでわからないものだからな。

 私もイレーネが光り輝いて見え、彼女のことを考えると心臓の動悸が激しくなるのが恋なのだと、ヨハンに指摘されるまで気づかなかった。

 結婚相手が初恋の相手になった私は幸運だ。

 義弟の気持ちが本物なら、彼の初恋を実らせるために協力したい。

 いや? 恋文をもらったのなら、恋しているのはシャルロッテ嬢のほうなのか?


「シャルロッテさまは、中庭の森にそっとこのハンカチを落として想いを伝えてくださったのです。ねえ義兄上、これはなにを表現しているのでしょう」


 言いながら、アルトゥールは持っていたハンカチを広げて見せた。

 白い布の片隅に、翼を広げた鷹の刺しゅうがされている。

 なにもおかしいところはないのに、なぜか違和感を覚えて借りて見てみると、鷹の目の刺しゅう糸の色が左右で微妙に違う。わざと違う色で刺しゅうしたという風ではない。片方がほつれて、新しい糸で直したのだろうか。

 だったらもう一方の褪せた色の糸もほどいて、刺しゅうし直せば良かったのに。

 それに鮮やかな色の糸のほうは、ひどく乱雑に繕われていた。

 まるで刺しゅうなど知らぬものが、見よう見まねで縫ったようだ。

 刺しゅうを始めたばかりのシャルロッテ嬢の手か?

 あどけない顔を頭に浮かべたとき、私はなんの前触れもなく、彼女によく似た人物を思い出した。……私だ。

 私はイレーネの胸にいる、黒髪の赤ん坊に視線を向ける。

 妃は微笑んで、首を傾げた。


「まだオバケちゃんがいるのですか?」

「ふえっ。オバケ? オバケってなんですか、姉上」

「……陛下、良く考えたらオバケも幽霊も一緒じゃないですか?」


 今気づいたのか、ヨハン!

 しかし、私も今あることに気がついていた。

 会議を閉会して部屋を出る前に、赤ん坊が叩いていた書類を見た。

 叩かれた部分には血がついていたのだ。

 ランゲ伯爵に渡された書類だった。

 たぶん彼は、刺しゅうをするときも書類を配るときも意識が散漫だったのだ。自分の指先に傷があることすら気づいていないだろう。

 私だって最愛の妻が毒を盛られて自分が脅迫されていたら、そんなことには気づけない。


「……アルトゥール。シャルロッテ嬢はこれを、どんな風に渡してきたのだ?」

「はい。私がお気に入りの木のウロにドングリを詰め込んでいたらやって来て、中庭にハンカチが落ちているので見つけてください、と」

「それは、ただの落とし物探しの依頼ではないですか?」

「姉上、そんなことありませんよ。男は背中で語るもの。彼女は、木のウロにドングリを入れている私の背中に恋してしまったに違いありません。ねえ、義兄上?」


 私は首を横に振った。


「……いや、これは落とし物だな。そもそもこれはシャルロッテ嬢のものでもない。成人男性の持ち物だ。見つけてくださいというのは、落とし主を見つけてくださいという意味だろう。女の子が見知らぬ大人の男性に声をかけるのは怖いだろうからな」

「えー、そうですかー?」

「でもアルトゥール、それはそれで頼りにされているということですよ」

「そうですね! じゃあ義兄上、私がそのハンカチの持ち主を見つけてまいります」

「アルトゥール、そなたはそろそろ帰る時間だろう。この件は私が預かる。シャルロッテ嬢には私から伝えておくから、そなたからはなにも言わぬように」

「なぜですか?」


 私は、ちょっとオシャレな感じに片目を瞑って見せた。


「安心しろ、ちゃんとそなたを持ち上げておく。いい噂というのは、本人よりも他人から聞いたほうが価値が高くなるものだぞ」

「なるほど。……ところで兄上、目にゴミでも入ったのですか。さっきから瞼が引き攣っていらっしゃいますよ?」


 むう。頼れる義兄を演じたかったのだが失敗したようだ。

 ……オシャレな感じは難しい。


 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆


 4


 ファルケ王国の宮殿は、翼を広げた鷹を模して造られている。

 ハンカチの刺しゅうで糸が新しかったほうに祈祷所があり、古い糸のほうに私の執務室があった。

 つつがなく翼の大祭が終わった日の夜、私は執務室で後処理に勤しんでいた。

 国王だから仕方がないとはいえ、早く終わらせて私の妖精に会いたい。


「……」

「なにか言いたいことがあるのか、ヨハン」

「いえ、べつに」


 心の中で妖精と呼ぶくらい、いいじゃないか。


「おや、こんな遅くにどなたでしょうか」


 扉を叩く音がしたのを良いことに、ヨハンはなに食わぬ顔で私から離れた。

 侍従長が開けた扉から入ってきたのは、ランゲ伯爵だった。

 椅子に座って執務机に向かっていた私が振り向くと、彼は床に膝をつく。

 跪いたというよりも、倒れ込んだという感じだ。


「申し訳ありませんでした、陛下。ご無事で……良かった」


 ──ランゲ伯爵は、ヒルシュ公爵に脅迫されていた。

 ネタはふたつある。

 ひとつはシャルロッテ嬢の両親の結婚証明書。

 ヒルシュ公爵はランゲ伯爵よりも早くそれを手に入れて、彼を脅した。

 もうひとつはランゲ伯爵夫人の命。

 いくら孫娘が可愛くても、自分たち夫婦の養女にすれば身分も財産も彼女に遺すことができる。結婚許証明書だけではランゲ伯爵は操れない。

 だからヒルシュ公爵は夫人の命も脅しのネタにした。

 かつて私にしたように、自家製で解毒剤のない毒を夫人に飲ませたのだ。

 どちらかひとつだけでは、ランゲ伯爵は動かない。

 けれど妻と孫娘ふたりの未来を人質に取られて、彼はヒルシュ公爵の手に落ちた。

 あのハンカチは、翼の大祭で私が祈祷所にいる間の衛兵をヒルシュ公爵の息がかかったもので構成しろという命令で、ランゲ伯爵は糸の抜かれた片目を縫い直すことによって受諾を伝えていたのだ。

 祖父が不自然な様子でハンカチを落としたことに気づいたシャルロッテ嬢が、義弟アルトゥールを通じて私に伝えたことで、ヒルシュ公爵の計画はとん挫した。

 大公夫妻の結婚証明書の裏に隠されていたシャルロッテ嬢の両親の結婚証明書はヨハンが入手し、落ちてくるはずだった祈祷所の壁は密かに修理した。

 壁石に押し潰された私が取り返しつかなくなるまで待ってから助けを呼びに行くはずだった衛兵たちは、なにも起こらないことに驚いていたな。


「礼なら、そなたの孫娘……私の従姪に言うといい。彼女の働きがなければ、私たちはなにも気づけなかった」


 翼の大祭についての会議でランゲ伯爵とヒルシュ公爵がわざとらしく言い争いをしていたのは、裏でつながっていることを隠すためと、祈祷所の修繕に話を向かわせないためだった。


「奥方を人質に取られて、苦しかっただろう」

「それも……陛下のおかげで」


 ランゲ伯爵が鼻を啜り上げる。

 長年の経験が役立って、私はランゲ伯爵夫人に解毒剤を作ることができた。


「これからもファルケ王国に尽くしてくれ。そなたのような忠義の徒を失いたくはない。なにかあったら、すぐに私かヨハンに相談するように」

「ありがたいお言葉、かしこまりましてございます」


 涙を拭ってランゲ伯爵が出て行くと、ヨハンが大きく鼻を鳴らした。


「脅迫されたせいだけではないでしょう。シャルロッテ嬢の父親は、陛下の亡くなられた伯父上の隠し子。彼女を王位につけたいという、野望もあったのではありませんかね」

「伯父上と奥方が秘密結婚をなさっていても、伯父上ご自身は祖父の庶子だ。よほどのことをしなければ、彼女の継承権は生まれない」

「それでもあのお顔を見れば、王家の血筋だということは明らかですよ」


 シャルロッテ嬢が私に似ているのは、私そっくりだった伯父の孫だったからだ。

 ランゲ伯爵は親友の隠し子、私の従兄を匿っていたのである。

 その子が自分の娘と恋をして、駆け落ちまでするとは思っていなかったのだろうな。

 しかし、だとしたらあの赤ん坊はだれだったのだろう。

 てっきり叔父上の隠し子の『霊のようなもの』だと思っていたぞ。

 だが伯父上の隠し子は大人になるまで生き延びていた。わざわざ赤ん坊の姿で現れる必要はないはずだ。あの日アルトゥールとの会話を終えて振り向いたとき、赤ん坊はもうイレーネの胸にはいなかった。

 私にそっくりなあの赤ん坊は一体──

 ヨハンが溜息を漏らす。


「ヒルシュ公爵の尻尾は、またつかめませんでしたね」

「鷹の目を縫い直したハンカチでは、なんの証拠にもならない。それに、彼を捕らえればまたべつの問題が起こる。従兄殿は、あまりにも身分が高いからな。大公夫妻に累が及んでも困る。……ヨハン、今回そなたにはいろいろ世話になったな」

「結婚証明書くらい、いくらでもお持ちしますよ。陛下をお助けするのが私の役目でございます。こんな偶然でちゃっかり命が助かっちゃう、運の良い陛下でなによりです」

「ああ、そうだな。私も妃も、ランゲ伯爵も夫人もシャルロッテ嬢も、アルトゥールもドロテアも、そなたも無事で良かった良かった」


 妃の父親であるザウアー伯爵については、なにがあっても大丈夫そうな気がするので心配していない。ザウアー伯爵夫人は夫の伯爵が絶対守り通すだろうし。


「私の心配は最後なんですか、陛下」


 まあいいですけどね、と肩をすくめたヨハンと一緒に、私は大祭の後処理を再開した。

 早く帰ってイレーネに会いたい。

 彼女のお腹は、前より少し大きくなった気がする。

 ……今夜こそ愛していると伝えよう、私の妖精に。


 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆


 5


 さらに一年が瞬く間に過ぎ、翼の大祭がやって来て去っていった。

 イレーネが産んでくれたのは、可愛く元気な王子だった。

 私に似過ぎているのが、少々心配だったりする。

 長椅子に座って授乳している妃の後ろに立っていた私の口から、ぽろりと言葉がこぼれ出た。


「……愛している、イレーネ」


 頭の中が真っ白になる。

 実は、去年の翼の大祭が終わった日の夜には言えなかった。

 それから一年、毎日言おう言おうと思っているうちに時間は過ぎていった。

 王子が産まれてからは、そんなことを考えている余裕はなかった。

 なぜ今、口から出てしまったんだろう。

 いや、ずっと言いたかったから良いのだが。


「……」


 イレーネは振り向かない。

 彼女からはなぜか、困惑しているような雰囲気が伝わっている。

 ま、まさか。

 イレーネには私に対する気持ちがないのか? あくまで政治的な判断で、父であるザウアー伯爵に言われたから嫁いできただけだったのか?

 ほう、と息を吐き、彼女は胸を仕舞って王子にげっぷをさせた。


「……ずっと、寝ていらっしゃったのですね」

「え?」

「結婚してから毎晩、陛下は私を抱き締めて、愛していると言ってくださっていました。寝ぼけていらっしゃるのかとも思いましたが、口調がとてもはっきりしてらっしゃるし、昼間その話をなさらないのは照れているからだと考えていたのですけれど」

「そ、そうだったのか。私は、全然記憶がない。だが、今言ったのもその寝言も、どちらも真実だ。私は、そなたを愛している」

「ありがとうございます、陛下。……私も、オイゲンさまをお慕いしております」

「そうか、良かった」


 顔だけ振り返ったイレーネにキスをして、私は王子の異変に気づいた。

 なんだ、ヤキモチを妬いているのか?

 そんな小さいうちから眉間に皺を寄せていると、私のような老け顔になるぞ。

 ただでさえそっくりだと評判なのだから。

 妃の肩越しに手を伸ばして王子の眉間の皺を伸ばした瞬間、


 ぷ。……ぷぷっぷぷぷぷーっ。


 王子はオムツから軽妙な音を響かせて、顔から一気に皺と緊張を消した。

 踏ん張っていただけだったのだ。

 ドロテアが駆け寄ってくる。


「王妃さま、お任せください」

「あらドロテア、わたしだってオムツくらい替えられるわ」

「お忙しい毎日なのですから、たまのご夫婦のお時間は大切にしてくださいませ」


 イレーネは侍女の言葉に甘えることにしたようだ。

 長椅子に残った妃の隣に腰かけ、私は彼女の肩を抱いた。

 ……去年、私の前に現れたオムツ姿の赤ん坊は、王子だったのではないかと思う。

 暗殺の危機にさらされていた父を案じた彼は時間を越えて、『霊のようなもの』になってやって来てくれたのだろう。王子は、私の妖精が産んでくれた私の宝物だ。


「……妖精の次は宝物ですか、陛下は詩人でいらっしゃいますね」

「うるさいぞ、ヨハン」


 いつものようにドロテアを手伝おうとして、疎ましそうに追い払われた侍従長の突っ込みを流し、私はイレーネと寄り添った。

 減らない借金、相変わらず過激な従兄、七歳になってもドングリを集め続けドングリに巣食っていた虫を増殖させて宮殿を阿鼻叫喚の渦に叩き込んだ義弟など問題は絶えないが、私ことファルケ王国国王オイゲンは幸せである。


 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆


 ──これから十数年後、集めたドングリを使った彫刻で芸術家として認められた義弟アルトゥールの存在がファルケ王国の名を世界に知らしめ、観光地としての発展で一気に借金を返済せしめるとは、このときはまだだれも知らなかった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ