~sink into grief~
「は?」
驚きとも怒りとも言えぬ顔をする男の子。
それはしょうがない事だ。
呼び出されて何かと思ったら
『今日から貴方は私の奴隷よ』
なんて言われたら誰でも、「は?」となるだろう。
「どういうことだよ、彩月。」
『私の小説のネタになってもらうの。ねっ、お願い、昴。』
「はぁ…。で、小説のネタってなんだよ。」
『恋愛小説を書こうと思ってね。ほら、私ってさ恋愛もの作ったことないでしょ?ファンの人から恋愛ものも欲しいってお願いされちゃったからさ。それで私って付き合ったことないでしょ?だから彼氏役欲しいなって。』
彼氏役になってくれるのは、昴しかいないの!
その言葉も付け加えた。
そういえば、彩月は小説家をやっていたなと思いながらも彼氏役が自分に任命されかけてる事に驚き
「彼氏役…!?」
と言葉を発した。
『そうそう~。なってくれれば、ご飯代とかも全部私が受け持つから!』
ご飯代がタダ。その言葉を聞いてすぐに
「やる。」
と即答した。
「お前の事は全く好きじゃねぇけどしょうがないからやる。」
そう答えれば嬉しそうに
『よし、決まりだね!じゃあ、早速うちのとこ暮らしに来て!!』
と返された。
こうして、彼氏役という仕事を始めた。
次の日から、毎日【デート(仮)】 をした。
カフェで和んだり、遊園地に行ったり、ホラースポットにも行ったりした。
彼氏役をやり始めて一週間。
彩月は、なんでもしていいと言っているが、まだ手を繋いだことすらなかった。
そしてその日は公園に行った。ベンチに二人で座る。
「なぁ、彩月。」
『ん?何?』
「なんか、彼氏とか彼女とか言ってもそこまでそれっぽい事してなくね?こういう事は友達とかでも普通に出来ることだろ。」
『あー。それもそうだね。』
「全く恋人感がない。」
『うーん…。あ、じゃあ!!これはどう?』
「何…?んッ…」
彩月は昴の頬にキスを落とした。
『もう一週間くらいは経ってるんだし、こういう事はしてもいいかなってさ。』
「……じゃあさ、これも良いんじゃない?」
そう言うと昴は彩月に近づき、ちゅっと音をたてながら無防備な唇に唇を重ねる。
『ん…!!』
すぐに離せば、
『ちょッ…昴の馬鹿…こんな人がいるところでするとか…。』
そう言いながらも、照れたように顔を薔薇色に染め上げる。
「彩月、女子みたい。」
からかうように冗談っぽく言葉を発せば
『は!?ちょ、私女子なんですけど!?どう考えても女子にしか見えないから!って、なんなの、私今の今まで女子に見られてなかったの!!?』
声を張り上げるもんだから、ぷっと吹いてしまい
「冗談だし。何本気にしてるの」
と笑いながら言う。
『うっ…も、もう昴なんか知らない!!』
彩月はそう言えば、先にベンチから立ち上がり歩き始めた。
反応が面白おかしく、またからかいたい。また遊びたい。そんな思いが抑えきれなくなり、すぐに彩月の方に行けば後ろから抱き締め
「本当に知らないなんて思ったの?」
少し悲しそうな口調で演技をすれば
『ん、んなわけないじゃん!』
そう返ってきた。
そして、次の日もその次の日も彼氏役、彼女役を続けた。
彩月って案外、照れ屋ですぐ強く言ってツンデレみたいなところもあるんだ。
昴って案外、Sなところもあるけど優しいところもあるんだ。
そう、お互いの知らないところが垣間見えてきた。
いつしか二人はお互いにある感情が芽生えてきた。
彩月が好き。
昴が好き。
そう、恋愛感情。
よく漫画で見るようなこんなことが本当に起こるなんて。
それでも、二人は気持ちを伝えることが出来なかった。
これは仕事なんだ、これは仕事なんだ。
そう言い聞かせていたから。
そして、彼氏役と彼女役を始めてから6ヶ月が経った頃。
「ねぇ、彩月。俺さ、もう"仮のデート"とか"彼氏役"ってのをやめたいんだ。」
そう切り出した。
『え、それってどういう事…。』
少し悲しそうな顔をしてうつむき加減で聞く。
「本気で彩月の事が好きになっちゃった。だから、仮とか役とか無くして本当の彼氏として付き合いたいんだ。」
思っていたのと違う答えが出てきて、彩月は驚きと嬉しさが混じり涙が出てきた。
「え、彩月!?どうしたの?嫌だった?」
慌てながら聞く昴に思わず笑ってしまい
『違うよ、逆。すっごく嬉しいの。私も昴が好き。大好き。だから、私の方からもお願いします!』
泣いて、嬉しそうに笑いながら答えれば
「よ、良かったぁぁ!じゃあ、これから宜しくね。彩月。」
そっと指で涙を拭う。
そしてどちらからともなくキスをすれば、お互いに幸せそうな笑みを浮かべる。
_大好き。これからも一緒にいようね。_
___本当の恋人になってから6ヶ月。
彩月は泣き崩れていた。
『やだよ…。なんで…一緒にいようって言ったじゃん……。なんで…なんでなの…!』
そう、昴はこの世からいなくなっていた。
車に轢かれそうになっていた子供を助けて轢かれた。
仮の恋人になって1年、本当の恋人になって6ヶ月。
この恋は呆気なく簡単に引き裂かれてしまった。
静かになった家に帰って、いつも付けていた日記を読めば、昴とのとても楽しく充実した1年がそこには収められていた。
彩月は再び涙しそうになったが、すぐに抑え仕事用の机に向かった。
パソコンを開き、途中かけになっていた小説を書き直した。
_これは、とても悲しくつらい恋物語。
昴との恋を永遠に忘れないように。
昴との恋を永遠に胸に刻み込んでおくように。
そのような意味合いを込めて書き続けた。
そして、また1年が経ったある日。
「本城さつき先生の登場です。皆さん拍手をどうぞ!」
彩月は小説家の本城さつきとして、トークショーをすることになった。
昴とのあの恋の小説が映画化すると決まったから。
盛大の拍手を聞きながら、舞台となる場所に立ち言葉を発する。
__本日は私、本城さつきの小説「be in deep sorrow」についてのトークショーに足を運んでいただき誠に有難うございます。そして、映画化される事をとても嬉しく思います。今から、私が本当に体験した "be in deep sorrow" をお話ししたいと思います。
……これは彩月と昴との、とても悲しくつらい恋物語……
初めての小説投稿。
読者さまからのどのような反応が来るか、すごく怖いです笑笑
文才がなく、下手で すみません(泣)
あー、小説家になりたいだなんて思ってるけど、小説書くのって難しいですね…笑
まぁ、楽しめたとか面白かったとかそういうプラスの事を思ってくれたらとても嬉しいです!




