財力も実力の一つ
連載作開始
とある辺境に、獰猛かつ凶暴な、多種の獣や魔物が跳梁跋扈する、広大な草原と大き
く深い森がありました。
生と死も決める大自然の中、気持ち程度ではあるが街道が整備され、一軒の洋館がありました。
館は立派硬く稀少な鉱石を使用し、建設され硬く立派なその存在感を主張する。
新築当時は余程綺麗であったと連想させるが、今は相当の年数が過ぎているのか、
館全体を植物の蔓で覆われていた。
館の出入り口には、「宿館兼食堂 緑風」と書かれた暖簾が揚げられている。
出入り口の左側に、館の屋根まである竹の子に「団子」のぼり旗を据えてある。
その左横に木で作られた横長椅子も置いてある。
椅子から、緑白桜色と三色団子を連想させる、丸い生物が重なっていた。
その生物の顔なのか、両目は点で、口は線で微笑む様に、黒色で描いた様である。
鞠の如く勢いよく弾むそうだが、身動きさえしない。
但し、館の前を通る者を凝視する。
視線に耐え切れず、館に立ち寄り、団子を食べていく。
その横端には、館の屋根まである竹の子に「団子」のぼり旗を据えてある。
この館景色も混ざり異様な雰囲気であるが、一人の女性が住み生活している。
外見こそ幼いが、エメラルド色に輝く長い髪を後ろで束ね、切れ長の瞳、長く尖った耳が特徴的な美麗な、エルフの上位種のハイエルフである。
ただ、着ている上等な衣服や、肩のケープ等も全て緑色、深緑、黄緑色、とほぼ緑色統一。
旅館の名称にピッタリである。
彼女は、かつて大きな戦いの中で勝利に貢献した英雄達の一人である。
世界で唯一無二の風系魔法の使い手であり、その美麗な姿から、敬いと感謝の思いを込めて、人々は彼女を「緑風のファル」と呼ぶが、本人曰く「二つ名なんぞいらん。」と言い、通称「ファル」で呼称させる。
戦いが終わり、当時の国王より褒美として僻地を譲り受け、現在絶賛隠居生活中である。
この館は、長い人生の中趣味で営む為。閑古鳥が鳴いている日が多くても困らない。
それでも、少ないが来客する日がある。
それは、ここでしか食べられない神秘なメニューがあるからだ。
一度食せば料理の虜となり、何度でも足を運ぶ様になる。
問題は値段が高い事だ、それだけ高い食材なのであろう。
大抵は貴族や豪商人等、お金に余裕のある人が来る何度も足をようになる。
第一話 財力も実力の一つ
「ご馳走様でした。いやはや、今日も美味しく頂きました。
相変わらず、つい足を運んでしまいます。」
見なりの良く、上等な服を着た男性が、ナプキンで口の周りを拭きながら満足そう言う。
「お粗末さまでした。その言葉が何よりの労いの言葉じゃよ。
しかし、この辺鄙な場所まで頻繁に来るのぉ。」
感嘆すると幼い女性の声がする。
「何を言いますか女将さん。この宿屋の料理にはそれだけの価値があるのですぞ。
普段料理に興味のない友人が是非行けと進めるので、疑心難儀で食べたら、見事に味の虜となりました。おかげで、体重が増える一方です。
試しに愛馬にも同じ料理を食させたら、味の虜になりましたよ。
食べさせないと暴れるくせに、食べても筋肉がつき立派に大きく成長するばかりですか、これは立派な裏切りですよね。
女房は女房で、そんな時間あるなら仕事しろ、痩せろと命令されますし。
ですが、苦難の道を乗り越えれば更に美味しくなるのです。
どんな障害があろうとも、私は食べに来ますよ。ええ、来ますとも。」
拳を握り、真剣な顔で顔を上げ、誓の様に話す。
「重症じゃな。お主の奥方も連れてくればいいではないか。」
と、呆れながら自分の料理の価値観に嬉しく微笑んでいる。
「それはまだ、できませんよ。ここのメニュー全てを食べていないのですから。
当分の間は、自分達だけの憩いの場です。さて、急いで帰らないとまた女房に尻を蹴られてしまいます。近い内に参りますよ、それでは女将さんまた今度。」
そう言うと男性は、足早に外へと出ていく。
暫くすると豪快で馬の蹄の音が遠のいて行く。
「あやつの住まいからじゃと、此処まで馬に乗って早くても丸一日要すると聞いているが。往復を一日でするとは、感嘆すべきか驚愕すべきか。
まぁ、わしは来る客人に美味しい料理を振舞うだけじゃな。
さて、今日はこれで閉店じゃな。
後片付けに入るとしようかの。」
ファルの言葉に合わせる様に、そこかしこから幼い小人の少女達が姿を現す。
メイド服に身を包み、手には箒等を持っている。
彼女達は、「家付き妖精」の一種である。
人間が姿を消すと、我先にとファルを手伝いに来てくれる。
如何に時間があれども、館全体の管理は一人では限界があるからだ。
彼女達以外の妖精や精霊も参加し自然とその数は増え賑やかになる。
自然とその数は増え彼女達以外の妖精や精霊も参加し、自然とその数は増えていく。
団欒は楽しいからだ。
が時間はあるが館全体の管理は一人では限界があるし、ハイエルフ妖精はとして精霊や妖精との団欒は楽しいからだ。
大変先ほどの家付き妖精や精霊が手伝いに来てくれる。
そして、翌日の館中に埃がなく、温泉のお湯加減も何時でも入れ癒される。
料理に使用される、食材の保存と新鮮さは完璧である。
営業準備は日々万全である。
次の客人は何時来るのか、来ないのか。
どんな客人が来るのか密かに楽しみにしながら暖簾を下ろす。
「今日はこれで、店じまいじゃ。又と来訪お待ちしておるぞ~。」
微笑み、誰かに語るように言葉を紡ぎ、館へと入る。
本日のお話はこれまで。




