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負けとシスコン

今日は他校との練習試合の日、卒業した満月みつき先輩という先輩が見に来るらしい

俺はスタメンで出して貰った



試合中、高宮先輩からゴール近くでパスを貰った

スリーポイントのシュートなんて中々入らない、でも先輩は俺に言った

「いけ!!」

先輩の声と気迫に押されるようにボールをゴールに向けて放った


ズボッ


ボールがネットをくぐった音がやけに大きく聞こえた

シュートが入ったと確信するまでに5秒程を要した


「ナイスシュート」

高宮先輩に乱暴に、でも優しく頭をぐしゃぐしゃと掻き回された

「次も頼むぜ?」

「はい!」

いつも厳しいでも、バスケへの情熱は人一倍ある主将の高宮先輩にチームメイトとして認めて貰えた気がした



先輩達も俺も必死に相手に食らい付いた


けど、88対87たった1点差で負けたのだ


たかが1点


されど1点


もしあの時違うポジションに居たら、もっとディフェンスを練習していれば・・・

後悔の波は絶え間なくやってくる


「1年生でスリーを決めたのは君かい?」

ずっとなんであの時・・・と考えていたため話し掛けられても答えられなかった。

「え、すみません考え事してて聞いてませんでした。もう一度お願いします。」

「後悔を幾らしても意味がない、後悔するなら今まで以上に励め」

知らない人だった

けど、今の心情を汲んでくれたみたいで心に染みた

「はい」

自然と返事をしていた。

ふと思った

この人も今の俺のような思いを何度もしたのではないか、その時今言われた言葉を誰かに言われたのではないかと


「それで、君がスリーポイントを決めたルーキーかい?」

「はい」

「もっと練習すれば君はまだまだ強くなれる、がんばれよ」

優しく微笑みながらすれ違いざまぽんと頭に手を乗せて行った

「・・・!!ありがとうございます」

「スゲーな裕、満月先輩滅多に褒めないしアドバイスしないんだぜ?」

先輩達に囲まれていつの間にか俺はつられて笑っていた



「兄さん」

ぱたぱたと軽い足音をたてながら走ってきたのは私服姿の永谷さんだった。

「皆さんこんにちは・・・兄さん行くなら一言言ってから行ってよ」

永谷さんの私服と軽く膨らんだ頬が可愛いなと思ったのも束の間、兄さんと呼ばれたのはさっき満月先輩と呼ばれた人だった。


一呼吸後、事実に至った俺含む1年生数名が目を見開いて絶句した


「さやちゃん相変わらず可愛いね」

「ありg「そうだろ、さやは俺の可愛い可愛い可愛いマイスイートガールだからなっ!!!」

「兄さん、ウザいです。黙ってください」

「そんなところも可愛いよ!!」

免疫のない1年は固まった

それでも永谷兄は妹について語り続ける

つーか、水上が永谷兄に頼まれた理由ってシスコンかよ

「兄さんがウザくてスミマセン、お詫びと差し入れにこれ皆さんで食べてください」

「さやちゃんいつもありがとう」

永谷さんは申し訳なさそうに微笑みながら部長に白い箱を2つ手渡した

中身は手作りと思われるアップルパイとイチゴタルトだった。


結局練習試合の後は部活にならず永谷さんの差し入れのアップルパイとイチゴタルトの二者択一で揉め、じゃんけんで決めた

ちなみに俺はアップルパイを選んだ

パイのサクサク感にリンゴの甘酸っぱさが絶妙だった


今日もまた恋をしている彼女の1面を知ることが出来た気がした


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