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合宿6日目(肝試し:祐ver)

満月先輩の発案と部員の満場一致で肝試しすることになった。

参加者計27名

2人のペアが12組、3人ペアが1組という組み合わせにし、1組ずつペアで近くにある神社に行き、願いを書いた絵馬を結わえてくる



運命のクジ引きの瞬間

部員と満月先輩は永谷妹と行きたいと言う下心が丸見えだった。

まぁ、確かに浴衣を着た女の子と2人で肝試しするのは嬉しいから当たり前なのだが・・・

1人1人が願いを込めてクジを引いていった。

「いっせーのーでで開けよ?

いっせーのーで!」

顧問の掛け声で全員が一斉にクジを開く

『11』

同じ数字のクジを持っているのは誰だろうと思いつつ立っていると

「祐、お前の数字何?誰と?」

後ろから伊江先輩に突進されたたらを踏みながらも

「11で、まだわかりません」

答えると

なんだ、7じゃないのか

とぼやきながら近くに居た藤木先輩に俺と同じことをしていた。


「相良くん・・・」

消え入りそうな程小さな声で呼ばれたため、声のした方を向くと、永谷さんが困ったような表情をして立っていた。

「何?」

自然と表情と声が柔らかくなる

「相良くん何引いた?」

「11だよ」

答えたとたんにおどおどと困ったような顔がパッと明るくなった。「良かったー、見つかって

私も11なの」

ほらね?とはにかみながら『11』と書かれたクジを見せる


カミサマ、今だけありがとう


内心そう思ってしまった。

そんなことを思ったのも束の間、みんなに嫉妬の目で見られる

満月先輩に至っては殺気を放っているような気がする。

「オラ、お前ら、早くやるぞ」

池田先生の一声で散って行った。


願いを書いた絵馬を片手に『1』を引いたペアから順に出発した。5分毎に出発するため、終わるまで1時間以上かかるらしい

残ったメンバーは花札やトランプをしている。



肝試しを始めて30分程たった頃

「おーい、章見てみろよ」

高宮先輩を呼ぶ藤木先輩の手もとにはトランプタワーが出来上がっている。

「んなもん作ってねーで行くぞ」言いながら藤木先輩の首根っこを掴んで食堂を出ていった。

藤木先輩がテーブルにぶつかった拍子にトランプタワーは倒れた。

一部始終を見ていたらしい真はトランプタワーの残骸と人を集めてババ抜きを始めた。

俺?

何をしているかって?

俺は後藤さんと将棋を打っている。

勝負は白熱していた。

いつの間にか周囲に人だかりが出来ていることに気付かない程集中していた。


「王手」

しん、とした室内にパチッという音と小さく呟くように言った言葉が思ったよりだいぶ大きく聞こえた。

「こりゃしてやられたなぁ・・・

しかし、楽しかったよ、ありがとう」

板の上の駒を片付けながら後藤さんがゆったりとした口調で言う。

すっかり片付け終えた頃には人だかりは消えていた。

後藤さんが席を立つとすれ違いざまに

「その調子でさやちゃんに告白しては?」

とニコニコ笑いながら小声で言い、調理場へ姿を消した。

俺は、一瞬ポカンとしていたが、意味を理解すると段々顔と耳がカーっと熱くなった。



時間になって外へ行くと、辺りはすっかり暗く、少し離れた所に懐中電灯を手にした浴衣姿の永谷さんが居た。

「ごめん、待った?」

小走りで彼女に近付き、声をかけると

「今きたところ」

と破顔した。

思わず笑顔に見とれてしまった。

「いこ?」

「え、あっ、そうだね」

我ながら挙動不審さが目につく。


教えられた道を頭の中で反芻しながら歩く。

茂みが延々と続くような道で暗い。

懐中電灯の頼りない明かりでは歩くペースが自然と落ちる

永谷さんを庇うため前を歩いているため、事実上俺が懐中電灯の光を独占するかたちになっている。


彼女は怖くないだろうか?


思った途端口が勝手に動いた。

「手、繋がない?」

は?

俺は何を言っているんだ!?

永谷さんを怖がらせない方法も工夫も他に幾らでもあるだろうに・・・

自分の言ったことに大いに狼狽えていると

「いいの?」

小さく声が聞こえてきた。

「永谷さんが良いなら」

言いながら振り返ってニコリと笑うと、安心したような顔になった。

「ありがとう」


手を繋ぐ前は足音がパタパタと急ぎ足だったけど、今は永谷さんの歩調に合わせやすい。

滅茶苦茶恥ずかしいけどな・・・


神社につくと手に持っていた絵馬をくくりつけた

「結んだ?」

「はい、帰りましょうか」

帰り道は行きに比べて道が広く並んで歩ける

「相良くんは何て書いたんですか?」

隣をカラコロと下駄を鳴らしながら歩きながら永谷さんが聞いてきた。

言えなくて黙る

「聞いちゃいけないことでしたか?」

「言える時が来たら言うよ」

格好つけた訳じゃない

でも、やっぱり今は言えない。

「そう言う永谷さんは何て書いた?」

ちょっとからかうような口調で尋ねると永谷さんの顔が夜目でもわかるほど赤くなった

「・・・い、言えないです」

蚊の鳴くような声で言った。



顔を真っ赤にしてしまった永谷さんが可愛らしくて合宿所につくまで殆ど会話はしなかったけど、満たされた気持ちになった。


絵馬に書いたことを早く永谷さんに言えるようになりたい


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