幼馴染み参上!!
ざわざわと騒がしいある日の10分休み
「さや!英語の教科書貸して!」
教室の騒がしさを上回るような煩さで入り口で大声で言っているのは私の幼稚園からの幼馴染み水上 涼
涼に関わると昔からとんでもない目に遭う
無視を決め込むため音楽を聴いていると後から肩を叩かれた
・・・この少し控えめな叩き方は涼じゃない、しかも通路側ではない肩を叩けるのは一人しか居ない
振り返ると案の定相良くん。
涼はまだ入り口に居る
彼の話を聞くためにイヤホンを外す
「永谷さん、呼ばれてるみたいだけど行かなくて良いの?」
相良くんが言っている間にも涼は
「さや、頼む」
哀れっぽい顔をして叫んでいる
正直、涼には関わりたくない・・・けど、煩くされるのも嫌だ
「はぁ・・・」
盛大なため息を一つつくと英語の教科書をアホな幼馴染みに貸すために席を立った
つまらない授業を寝ながら聞き流して10分休みになると涼が教科書を返しに来た。
「なぁ、さやは後の席の人とどんな関係?」
「は?普通にクラスメイトだけど・・・どうかした?」
「いや、なんでもないよ・・・まぁいいや、忘れたらまた4649!」
無駄に清々しい笑顔で去っていく幼馴染み
通りかかった数人の女子が涼の笑顔に頬を染めている
教室に入ると早速女子が集まってきて
「水上くんとどんな関係なの?」
と沢山の女子に聞かれた。
あーあ、必死になっちゃってまぁ・・・涼ってそんなにいい男かなぁ?
顔は多分良い方だけど
とかなんとか思いつつ
「え、幼馴染みだよ」
と答え慣れた答えと見飽きた反応
「へーそうなんだ、うらやましいー」
「水上くんについて教えて」
「水上くんかっこいいよね」
「水上くんファンクラブの特別会員になって水上くんについて語ってよー」
いつも思う
兄さんの下僕のような涼の何処が良いんだろう
そんなこと知らないからこそ純粋に慕って騒げるんだろうけど
女子だちが勝手に騒いでるうちに先生が来て授業が始まった
珍しく起きて授業を受けてみた
やっぱり授業はつまんないや