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黒條和人

玲奈はだれが見てもわかるほど落ち込んでいた。


「まあまあ、活動禁止じゃないし犯人を捕まえたことは事実なんだから最初としては上出来だよ。」

「活動開始日に単独活動を禁止されるなんて前代未聞ですよ、それに犯人を捕まえたのは会長ですし私何もしてないですし。」

「うわ、この子めんどくさいなあ・・・」

「だいたい、単独活動禁止は言い過ぎだあの行き遅れ婚期を逃した八つ当たりか?」

「歩ちゃんが聞いてたらまた殴られるよぉ?」


殴られた時のことを思い出したのか、玲奈は少し顔を青くし頭をさすった。少しの間頭をさすっていた玲奈はあっと小さく声をだし、何か思いついたような顔をした。


「そうだ会長、単独活動禁止でもそうしなければならない状況になったら単独活動できますよね?」

「そうしなければならない状況?例えば?」

「例えば、この学校にテロリストが来たとか。」

「ないない、仮にもここは国立だよ?私たちがポンコツでも周りの生徒は優秀下手すれば来たとしても自分たちで解決しちゃうよ。」

「ポンコツって・・・」


言い方に少し引っかかったものの葵の言うことはもっともでありテロリストが来たとしても学校内ではさほど問題にはならないだろう。


「じゃあこういうのはどうでしょう。」

「どういうの?」

「学校内で起きるから問題にならないわけでここの近所で爆発が起きるとか。」


玲奈は自身の手で銃の形を作り窓から見える町に向けバーンと打つふりをした。


「あのねえそもそも生徒会が事件を望んじゃーー」


葵が言いかけたその時窓がびりびりと震えるほどの爆発音と煙が町から上がった。


「ちょっとマジ?こんな立て続けに。」

「私行ってきます。」

「ちょっと待って私もーって窓からぁぁぁぁ!?」


葵の言葉を聞かず盛大に窓ガラスを割り玲奈は外へと飛び出した。


***


ここか。


玲奈は爆発が起きたと思われる裏路地に来ると少し警戒を強めた、辺りはボロボロで路地を生み出す横の建物は黒く焦げている。中心地はもう少し先か?さらに奥の路地へ進むと同時に能力を発動させる。T字路となっている突き当り、玲奈は体を右側の壁に着け慎重に先を覗き込んだ。するとそこには四人の人間が横たわっている。


「っ!これは!」


すぐに一番手前にいる男に近寄る。


ひどい、体中やけどまみれだ・・だがまだ意識はある。


体の損傷を確認するために衣服をはがす、すると右肩に黒い渦巻のような刺青を見つける黒の集団のマークだ。軽い治療を終えると奥の三人の体も確認していく、左手、左胸、場所は違うが同じ刺青が見つかるそして最後の一人一番ひどい傷だそれにこの制服うちの学校?玲奈は最後の一人も制服を脱がせ刺青を探す、ないなどこにもとなると彼が黒の集団に暴行を受けその後何かあったということか。それにしてもパッと見ただけでも骨折、火傷、重傷だな黒の集団でもないようだし全力で治しても大丈夫か。手をかざし集中する、手のひらには光が灯り青年の傷をーー癒さなかった。


「ちょっと待ってくれまたか、ムラがあるとはわかっていたがこう何度もミスしてはな・・」


頭をポリポリとかくと一から計算を組みなおす、焦らずゆっくり。


「はっ!」


再び能力を発動させ手に光を灯すーーが治らない。玲奈はふうっと息を吐くとポケットから携帯を取り出し119と番号を押した。


***


「も~ホントに窓を割って外に出るとかどういう頭してんだが。歩ちゃんですらちゃんとドアから出ていくよ。」


葵は玲奈が窓を割って外に出たため飛び散ったガラスを掃除していた。


「ふぅ~あらかた終わったかな!よしじゃあ私も爆発がした現場にーー」

「ただ今戻りました!!」

「ガラスがぁぁぁぁ!!!」


額の汗をぬぐいほうき、塵取りを戻していると別の窓から玲奈が入ってきた。


「ちょっとちょっと!なんで窓から出入りするの!しかも今片付け終わったのに!」

「そんなことはいいんですそれより彼を。」

「そんなことって・・誰?ひどい傷じゃん!」


あの後玲奈は黒の集団の三人はその場に残し青年だけ肩に担いで戻ってきた。少しでも自分の生徒会で活動しようという醜い行動だとは分かっているが自分の学校の生徒だということもあり今回は大目に見てくれないだろうか。


別に誰かに言われるわけでもなく、また誰かに言うわけでもなく言い訳じみたことを考えた。


「とりあえず、治してあげなよなんでこのままなの?」

「治せるならとっくに治してますバカですか?また不発だったのでここに戻って治しに来たんですバカですか?」

「二度も言うな!てかまた不発?もうその能力あるんだかないんだかわかんないねとりあえず救急箱持ってくるからもっかいチャレンジしてみて。」

「了解です。」


ソファに青年を寝かせ、口ではそう返したものの、先ほど失敗したことや待っていても救急箱が来ることから今回はさほど集中せずとりあえずやってみるぐらいの感覚で能力を発動する。


そういえば、さっきの爆発はだれがやったものだ?黒の集団はリーダーを除けば全員無能力者、あそこに倒れていた奴らも無論そうだろう、とすればこの男が?しかし彼はーー目線を男の胸元あたりに移すそこには黒い校章無能力者の印だうちの学校にも数は少ないが能力者を目指す生徒はいる、ということはいったい誰が?


「玲ちゃーん、持ってきたよーって治ってんじゃん。何私に対する嫌がらせ?会長さすがに怒っちゃうよ?」


葵の言葉を聞き我に返ると目の前にいる男はきれいさっぱり傷がなくなっていた。


「いえ、現場で治そうとした時は本当に効かなかったんですがやはりここまでムラがあると使い物になりませんねそれはもう会長の威厳ぐらい使い物になりません。」

「最後一言多いんですけど~?それに私の威厳も玲ちゃんの胸よりは使い物になります~。」

「む、胸は関係ないでしょう胸は!?それにこいつだって今頑張ってるときなんです!褒めて伸びるタイプなんです!」

「いやぁ~正直高校でそれだとちょっとねー。」

「言ってくれますね!」


2人でギャーギャー言い争っているとソファの方からうーんと唸る声が聞こえた。


「ん?ここは?確か俺は…」

「おはよう、と言ってももう昼は過ぎているがここは嶺ヶ丘学園生徒会室、私は副会長の神崎玲奈だ。」

「私は野々宮葵でーす。」

「あ、こりゃどうも…それで何故俺はここに?」

「その前に名前とクラスを聞こうか君もここの生徒だろう?」

「あー、黒條和人。クラスはまあこれ見ればわかるだろ?」


黒條和人と名乗る青年はそう言って胸の黒い校章を見せた。

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