捜査しに行くとは言っていない
前言撤回、玲奈はこの言葉を身に染みて感じた。すべてはこの隣でのんきにアイスを食べているお子ちゃまのせいだ。腹が立った私は会長の手にあるアイスをアイスコーンだけを残し口の中に入れた。ちなみにこのアイスのお金を払った私なので罪悪感はみじんも感じない。
「ちょっと!食べるならコーンも食べてよ!コーンだけで食べたら口がパサパサするじゃん!」
「ええそうです、だからやりました。どうぞパサパサしてください。」
「ただの嫌がらせ!?」
「会長、アイスを私のお金で買ってショッピングモールに来て楽しいですか?楽しいですよね?だって会長はただでアイスを食べてるだけですもの。」
「なんだよぉ、奢らせたこと根に持ってるの?いいじゃんほとんど玲ちゃんが食べたんだからさ。」
「いえそれは経費で落とすので別にどうでもいいです。」
「経費なんてあったの!?私知らないよ!?会長なのに!」
「そんなことはどうでもいいのです。なんですかこれはただ遊んでるだけじゃないですか!」
「まあまあ落ち着いてとりあえず生徒会の復活をお祝いして今日は遊ぼうよ。」
「会長明日やろうはバカ野郎という言葉をご存知ですか?」
「知らないけどなんとなく私に駄目だといいたい気持ちは伝わるよ・・」
「死ねという意味です。」
「予想よりも数倍ひどかった!!
人混みを何時間か歩き疲れたのもありひとまず私と会長は吹き抜けになっているショッピングモールの一階中央に集まるベンチの一つに腰かけた。
「会長、私たちは生徒会の中では人数もギリギリ底辺中の底辺ですが私たちは国立学生。自分で言うのもあれですが世間一般から見ればエリートなんですよ?」
フゥー玲ちゃんナルシスト~と私の肩をつついてきた会長にアイアンクローをかます。
私と会長の通う国立嶺ヶ丘高校のような国立学校は能力発展にかなりの力を入れている。入るの自体はそこまで難しくないが入ってからが大変でありその生徒たちが中心となり今後の未来を背負っているといっても過言ではないとされている。その証拠に国立に通う生徒のほとんどは高レベル能力者であり逆に一般の高校では緑のランクの生徒ですらあまりいない。
「でもさー玲ちゃんは気負いすぎだと思うよ?あくまで私たちは普通のコーセー国立学生は未来を背負ってるなんて言われてるけどさそっちにばっか意識がいったまま青春を過ごすなんてもったいないよ?」
「ですが・・」
「大丈夫!私もやるときはやるんだから!」
胸をドンと叩く葵を玲奈はいつものようなお子ちゃま感ではなくちゃんとした先輩のような安心感を感じた。
「そうですね・・!」
キャアアァァァ!!ショッピングモールの二階だろうか女性の悲鳴が聞こえ私は顔を上げた。
「会長!事件です!初めての活動ですから慎重に行きましょう!」
「ウ、ウンモチロンサー。」
悲鳴を聞き明らかに会長のひざはガクガクと震えていた。
「やっぱりただのお子ちゃまかぁ!!」
会長を置いて私はひとりに階段を駆け上がった。