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力の魅力

「私、石田君のこと知っています」


そう言って話しかけてきた女性は黒の集団のような異質な存在とは正反対の普通の人だった。


「石田君って石田亮太のことか?」

「はい、私と石田君は小さいころからの幼馴染で大学が入った後もいつも一緒にいました」

「いましたってことは最近はやっぱり会ってないの?」


黒條の問いかけにうつむく彼女はポツリポツリと石田のことを話し始めた。


「石田君も含め私たち3人は少しCOLORの使えるどこにでもいる普通の人でした」

「3人?」

「はい・・、私と石田君ともう一人私たちは3人でいつも遊んでいました、弱くてもCOLORを持っていれば黒の人達とは付き合いずらいのでなるべく能力は使わないようにして、同じくらいの弱い能力しか持たない私たちはいつも一緒にいましたCOLORのことで気にすることなく付き合えるので。でも石田君がおかしくなったのは大学生になってすぐもう一人の友達がCOLORを持った人たちに集団リンチを受けて意識不明に」

「おい、副会長ここはそんな野蛮な国なのか?」

「決して多くはないがCOLORを持った者が弱いものに一方的な暴力をする事件は確かに存在する、特に突然能力が覚醒したものはまるで神になったような気分に陥りその能力をやたら誇示したがる」

「初めは黒の集団に入ってCOLORを持つ人たちに抗議するぐらいだったのですがある日から突然危ないことに手を出し始めたみたいでそのころから徐々に大学にも来なくなって今ではもうほとんど・・・」



ふむ、と手に顎を載せて考える。今の話は初めて聞いたな。あっ、と思いついたように私は彼女に質問した。


「それは警察には話したのか?」

「いえ・・」


女性は気まずそうにうつむいた。


「それは、わかっていて黙っていたということか?事と次第によっては色々詳しく聞かないといかないが」

「せ、生徒会の人には話そうと思ったんです!警察は捕まえ方やその後の対応も乱暴だと聞くので生徒会に解決してもらいたかったのですが、いつまでたっても警察しか来ませんし探し回ってもここ近辺で生徒会が動いている話も聞いていなかったのでもう諦めて警察に話そうと思ったら今日大学に生徒会の人が来ているとうわさを聞いたので」


うーむ、ここいらで生徒会が動いていなかったのは私たちの学校が人が集まらなかったために警察に任せていたからあまり言えんな・・と思わず苦虫をつぶしたような顔になる。


「今回のことに関して咎めたりはしないが次からはすぐに話すようにお願いする、今回も被害が出ているわけなのでな」

「はい、すいませんでした」

「というか警察のほうが荒いのか?」

「荒いというかやはり警察が扱うものは危険なものが多いから処罰も厳しいものが多いしやはり同じ能力者のほうが理解があるということもあるだろう」

「ふーんそういうもんか」


自分から聞いておいて大して興味がないのか生返事をした。


「あと、あんた石田亮太は幼馴染みたいだが俺たちができることは限られてるぞ。俺が言うのもあれだが石田亮太の情報を話して恨まれたりする覚悟はあるのか?」


黒條に言われてぐっと体に力が入ったのがわかる。なかなかえぐい質問をするなこいつは。


「生徒会に何を期待してるかわからないけどあいつを救うことは俺たちにはできない」


特に口を挟まなかったがお前が言うことじゃないな、まったく。



「・・だ、大丈夫です!生徒会に皆さんは石田君を捕まえてください!す、救うのは私たち友達の役目ですから。それに道を踏み外した人を正しい道に戻すのが本当の友達ってものじゃありませんか?」


彼女のセリフに思わず笑みが出る、こういう関係は言いものだな。私と会長を見ているようだ。

ちらりと横目で黒條を見ると彼は面白くなさそうな顔をしていた。


「奴は友人には恵まれたな、あなたの名前は?」

「田口華代です、石田君をよろしくお願いします!」



******



廃ビルだろうか、壁のあちこちはかけていて修繕されている様子もない。いるのは二人だけ、背丈を考えるとどちらも男だろうが暗くてお互いの顔は認識できない。


「早く今月分をよこせ!」

「はいはい」


一人の男がもう一人に向かって錠剤が入った瓶を投げる。


「はぁはぁ・・んぐっ・」


さっそく口に入れた。麻薬の一種だろうか男の様子はどこかまともじゃない。


「最近能力者をあまり狩れてないようだが何かあったのかい?」

「何かあったかじゃね!あんたの言うとおり能力者を狩り続けていてもらったこの薬も最初は力が上がったが最近は全然進歩がねぇぞ!生徒会にも目をつけられるし何とかなんねぇのか!」

「力が上に行けばいくほど成長が難しくなるのは当然のことだ、だがくれぐれも薬の飲む量には気を付けたまえ、それに生徒会に目をつけられたのは自分のせいだろう?」

「黙れ!どちらにしてもこの程度の力じゃ今後は動けないそれじゃああんたも困るんだろ?」


にやりと笑ったのだろう少し見せた歯がきらりと光る、低種のくせに余計な知恵を身に着けて不愉快だ。


「それでは次は本命にいこう周りをうろちょろされて君もうざく思っていた相手だ、次のターゲットを狩れば最高位能力者マスターズに近づけるだろう。」

「ほーそりゃいいこと尽くしじゃねぇか!誰だ?」

「生徒会副会長、神崎玲奈だ」




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