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狙撃手は突然に  作者: カカオ
狙撃手の手にはカメラ
9/13

アイツは気付いてる。

 明くる朝、由梨香が登校すると教室の空気が妙だった。いつもより静かで、皆の視線が同じ方向へ向けられている。

 視線の先には、貴恵がいる。彼女は自分の席に座り、じっとしている。まるで滝に打たれる修行僧のようだ。

 由梨香はそれを見て動揺する。どう考えても彼女が送った写真のせいだからだ。

 まさかこんなことになるなんて……。これじゃイジメみたいだ。そんなつもりでやったんじゃないのに……。

 ――いやでも、こうなることは頭のどこかでわかっていた。ただ、由梨香は自分に言い訳していただけだ。

 あたしはそんな酷い女じゃない、と。

 皆、鴨上貴恵を見てはクスクス笑う。

 けれど由梨香は、一人だけ自分のことをちらちら窺う人間がいることに気付く。

 一橋将也ひとつばしまさやだ。

 彼は由梨香のほうを見ては目が合うと惚けて視線を外す、なんてことをさっきから繰り返している。

 ――ウザイなぁ。きっとアイツはあたしがやったって気付いてるんだ。

 教室のドアが開き、皆の視線がそちらへ移る。入ってきたのは九条通明だ。彼もすぐに異様な気配に気付いたようで、戸惑ったような表情を浮かべる。それから彼は机の上にスクールバッグを置き、貴恵に近付き、声をかける。

 何と声をかけるんだろう、と由梨香は注目する。

「お、おはよー」

 なんて馬鹿なんだ、と由梨香は呆れる。真っ先に謝るのかと思ったのに。

 案の定、貴恵は通明を無視する。

 そして狙い済ましたかのようなタイミングで教師が入ってくる。クラスメイトたちは慌てて自分の席へ戻る。

 将也がまたちらりと由梨香のほうを見やり、由梨香はそれを無視する。

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