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スポイトの正しい使い方(習字道具編)
九条通明の捨て身の黒い鼻血顔メールが功を奏したのか、鴨上貴恵を笑う者はいなくなった。通明の写真も最初こそ笑われたが、すぐに沈静化した。
世の中に溢れるニュースと同じように、クラスのひょんな出来事もまたすぐに飽きられてしまうらしい。
ちなみに習字道具におけるスポイトは本来、すずりに水を入れるための、いわば水差しである。
なぜ水を入れるのかというと、水をすずりに入れて墨をするためだ。そんなこと言われんでもわかる、という方には説明不要だが、これを知らない小学生や中学生は多い。墨汁があれば事足りてしまうからだ。
というわけでスポイトは、墨汁をぶくぶくさせたり女の子の顔面を狙撃するようなものではないので、注意するように。
でないど、九条通明のように無駄に苦悩するかもしれない。