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狙撃手は突然に  作者: カカオ
狙撃手の手にはスポイト
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送信した者はわからない

 九条通明は自分の部屋のベッドの上で寝転んでいる。

 晩御飯を食べ終え、風呂に入り、サッパリしている。

 いつもだったら読書(漫画オンリー)に耽るか、妄想(猥褻オンリー)に耽るかしている時間帯だ。でも今の九条通明はそれどころではなかった。携帯の画面を見ては溜息をつき、また携帯の画面を見ては頭をかきむしる、なんてことを繰り返している。

 携帯には鴨上貴恵の写真が表示されている。それだけならベッドの上で喜びの舞を舞った後、猥褻な妄想に没頭するところだが、最悪なことに写真の鴨上貴恵は鼻から墨汁を垂らしていた。

 そう、今日の書道の時間のものだった。

 写真はメールに添付されて送られてきた。文章は一文字も綴られていなかった。風呂から上がり、携帯を見たら受信されていた。それを見た九条通明がどっと汗をかいたのは言うまでもない。風呂上りだというのに。

 しかもこのメール、こともあろうにクラス全員の携帯に送信されていた。送信先のアドレスには鴨上貴恵のものも含まれている。

 送信した者はわからない。知らないフリーのアドレスが使われているからだ。

 あの時、誰かが鴨上貴恵の写真を撮ったことは間違いない。でも携帯で写真を撮ったら音が鳴るんじゃないのか?

 あ……あの爆笑のせいだ。教室内が暴風圏内になったかのような爆笑の渦の中で写真を撮れば、シャッター音なんか聞こえやしない。

「いったい誰だよ!」

 九条通明は顔面を枕にすりつける。

「通明うるさーいッ!」

 隣の部屋の姉がやかましく叫ぶ。姉は高三で、受験勉強のせいもあってか最近イライラしている。どうせ勉強時間より休憩時間が長くなって「ああどうしよぅぅぅ」などと自業自得の苦悩スパイラルに陥っているに違いない。

 お前の声のほうがうるせいよ休憩を切り上げりゃ合格するぞ。

 ――そう言いそうになるのをどうにか堪える。

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