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TORASTAR  作者: ( ´△`)
10/11

クエスト

クレイドルの表通りを軽く歩き、地形を頭に叩き込む。

神獣がいつ襲ってくるのか分からない。万が一の市街戦になることも考えてのことだ。

こうして、軽く歩いただけでもどれだけクレイドルがいかに充実した都市か実感できる。

さきほどの高杉の武器店だけでなく、交通の要所となっているクレイドル空中要塞は、市がたっていて新鮮な魚な野菜を感嘆に手に入れることができるようだった。

スラムにも一応、市と呼べるものはあったが、クレイドルのそれと比べると足元にも及ばない。

真赤は屋敷で寝泊りしても良いと言っていたが、刀屋はあまり世話になるつもりはなかった。

出来るだけ早く自分の店を持って自立しておきたい。というのも、真赤に借りを作っておくと後々かなりの利子をつけて返済を要求されそうな気がしていたからだ。

金になる仕事はないか、と刀屋が入ったのは酒屋。

情報収集には酒屋がもってこいだというのはスラムでもクレイドルでも変わらない。

カウンターでコップを磨いていた同い年くらいの男にラム酒を頼み、刀屋は席についた。

薄暗く、落ち着いた音楽の流れる店内の雰囲気を刀屋は気に入った。

出来れば今日中に金になりそうな仕事だけでも見つけておきたいと思った刀屋は、ある一角に人だかりが出来ているのを見つけた。

ちょうどラム酒を運んできた、若いマスターに聞いてみる。

「あそこに人が集まっているが、あれは一体なんなんだ」

刀屋が指す方を見るとマスターは答えた。

「あーあれは、クエスト掲示板だよ」

刀屋はラム酒を一口あおると続けて聞いた。

「クエスト掲示板?」

「おっと兄さんは、クレイドルは初めてかい」

マスターは人の良い笑みを浮かべると、それじゃあその酒は奢りだと言ってくれた。

刀屋は感謝を述べてクエスト掲示板がどんなものなのか詳しく聞く。

クレイドルには、クエストと呼ばれる仕事があり、依頼人は掲示板に依頼内容と報酬、募集人数を書き込む。依頼を達成した場合に報酬を受け取る事が出来て、失敗した場合、報酬は全てなし。

もちろん、依頼で負った怪我や使用した物資の保障も一切なし。

クエストにも難易度が存在し、難易度はクエストを管理している機関『トレイン』によって決められ、できるだけ適正ランクのトラスター能力を持った者が求められるが、受ける本人の自由。

などなどの話を聞いた刀屋は、マスターに礼を言い人だかりが出来ている掲示板へ向かった。

掲示板の前にいる連中はどいつもこいつも一癖二癖有りそうな奴らばかりだった、刀屋は特に武器に注目していた。

剣や刀を提げている奴が、少ない。刀屋の第一印象はそれだった。

そして刀屋が見た事もない武器が何種類かある。恐らくトラスター能力の使用を前提とした武器だろう。

その人込みの中で長刀を腰に挿している刀屋はかなり浮いていた。

ジロジロと向けられる視線を刀屋は無視し人込みを掻き分け、掲示板の前へと出る。

ちろちろと映像が流れていく電光掲示板を見ると、無数のクエストがずらっと表示されていく。

Aランククエスト、神獣『キグ』の体液の採集。

Bランククエスト、神獣『ツィー』の捕獲。

Bランククエスト、コロシアムの相方募集。

Cランククエスト・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

(ほぅ、面白いものを見てるのぅトウヤ)

電光掲示板に意識を移していた為に突然の声に刀屋は肩をビクッと振るわせた。

いきなり出てくるじゃねえ。

朝のことで刀屋は『絶』に対し、かなりの苦手意識を植え付けられていた。

そんな刀屋の心中を知ってか知らずか、絶は楽しげにはしゃいだ声を出す。

(はぁん、クエストじゃと・・・・・・あれなんてどうじゃ)

心の中の声なので『絶』が言ってる『アレ』が分からない、はずだったが、刀屋の視線は自然とあるクエストに吸い寄せられていた。

Aランククエスト、西の洞窟に住む神獣『レイベスト』退治。

いやいやいや、ちょっと待ていきなりAランクは流石に無理だろ。

心の中で突っ込む刀屋だが、絶の反応は予想の斜め上だった。

(何を言っておる、今のヌシならそれくらいの敵など相手にならぬわ、吾の眷属となった今のヌシなら・・・・・・な)

眷属だと?どういう意味だ。

(ヌシが忘れているようだから言っておいてやろうかのぅ、ヌシと吾が交わした契約の内容を)

(ヌシと吾の契約は、お前が一番最初に吾を抜いた時に交わされたモノじゃ、吾を抜くたびにヌシは吾にヌシの血液を提供し、吾はヌシに吾の血液を提供する。それが契約の内容)

たったそれだけ・・・・・・じゃないんだろうなもちろん。

(当たり前じゃ、吾の血液を体内に摂取するということは、吾に近づくということ、ヌシの血では吾を侵すことはできぬが吾の血はヌシを徐々に侵していく、まだヌシは実感がないようじゃがもうかなり吾の血に汚染されてきておるわ)

絶の嬉しげな声音とは逆に刀屋は背筋が寒くなる気がした。

自分の体が得体の知れない何かに侵されている。

急に慣れ親しんできた自分の体がまるで他の生き物のように思えた。

(そろそろ潜伏期間も終わる頃じゃし、ほれほれぼーっとしておらんでさっさとそのクエストを受けんか)

絶から聞いた話は確かに刀屋には衝撃的だったが、嘘にしろ本当にしろ今更自分でどうにかできる問題ではないと割り切る。

高杉に大見得切ってしまった手前、低いランクのクエストなんぞ受ける気にはならない。それなら思い切ってAランククエストを受けるのも悪くは無い。絶が言うような力が本当に自分にあるのか確認する意味合いもかねて刀屋はクエストを受けることにした。

刀屋は、他のトラスター能力者がやっているように電光掲示板に素早く指を走らせ個人情報を打ち込み、クエストを受けると、さっさとこの場所を離れようと身を翻す。

「ちょっとお前、待てよ」

後ろから声をかけられ、刀屋は歩みを止めた。

何だ?

振り返って声の主を探す。

居た。

灰色のローブを肩にかけた男。頬に深い切り傷があるのが印象的だ。

「お前そのクエストは止めておいたほうがいいぜ」

男の話によると、Aランクと書いてあるこのクエストは今までクリアするに十分なランクの持ち主が挑んでったにも関わらず、未だにクリアされていないクエストの一つで、何か裏があるんじゃないかということだった。

ありがとう、と一言礼を言いその場を離れる。

刀屋にとってその手の話は別段珍しくも無い、スラムでは不吉な噂話など日常茶飯事で実際殺人や強姦なんてのも珍しいものではなかった。

いちいち怖がっていたらキリがないな。

刀屋は酒屋のマスターにまた来るよと挨拶をし、薄暗い店内からまだ明るい外へ移動した。


シュタゲが終わってからというもの、なかなかいいゲームが見つからない。

あ、勉強しろって?あ、はい すいません

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