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やっと終わった
「……どうだった?」
バックヤードに戻ると、本野が聞いてきた。
「……気に入られなかった」
声は小さかったけど、嘘じゃなかった。
「そっか」
本野は一度だけうなずいて、すぐに笑った。
「でもさ、すごいじゃん。
ひとりで、あの客を相手したんだよ」
何も言い返せなかったけど、
胸の奥が、少しだけあたたかくなった。
そのとき、店長が顔を出した。
「お二人さん、お疲れさま。これ、シフト表」
紙を受け取って、本野がのぞき込む。
「え、私たちのシフト、もう作ったんですか」
「ほうほう……って、これ土曜以外、毎日じゃん」
「……こんなにですか」
思わず声が出る。
「人手が足りない間だけ、お願いできる?」
少し申し訳なさそうな顔で、店長は言った。
私は一瞬だけ迷って、それからうなずいた。
「……わかりました」
「助かるよ。じゃあ、明日もよろしく」
「……はい。よろしくお願いします」
店長が去ったあと、私はシフト表を見つめた。
毎日、ここに来る。
少し前の私なら、きっと逃げてた。
「ね」
本野が、隣で言った。
「青春ってさ、案外忙しいね」
私は小さく、笑った。
「今日はもう、上がっていいよ」
店長の言葉に、私は小さく頭を下げた。
「お疲れさまでした」




