6/24
厄介客
「おい、さっき頼んだ唐揚げとポテト、どうなってる?」
カウンターに来た男の人は、明らかに機嫌が悪そうだった。
「た、大変申し訳ございません……!
すぐお持ちいたします」
「頼むよ」
厨房に戻ると、本野がもうトレーを持っていた。
「はい、唐揚げとポテトできたよ」
「……早」
「魔法で作ったから」
さらっと言う。
「あの人、早く持っていったほうがいいと思って。だから、ぷいっと」
「……ありがとう」
私はトレーを受け取った。
コンコン。
「失礼します」
「おお、来た来た」
テーブルに料理を置いた、その瞬間。
「……何これ」
男の人の顔が歪む。
「まずっ」
次の瞬間、口に入れていたものを、床に吐き出した。
息が止まる。
「……大変、申し訳ございません」
頭を下げると、男の人は鼻で笑った。
「今回は金払わねえからな」
「……はい。こちらのお代は結構です」
「当たり前だろ」
唐揚げとポテトが、乱暴にテーブルに戻される。
トレーが、がたんと鳴った。
私は何も言えなかった。
ただ、逃げずに立っていた。




