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新しい道に
「実は……」
愛が、少しだけ真面目な声を出す。
「そうなんだ。辛い話しをさせて、ごめんな」
「ううん」
私は首を振る。
胸はまだ少しだけ痛い。
でも。
「そんな顔してたら、不安で本野、帰ってきちゃうよ」
愛が、いつもの調子で笑う。
「それに、ここは夢の国」
夕方の光が、建物をオレンジ色に染めている。
「楽しもう。本野の分も」
その言葉が、ちゃんと胸に落ちる。
「これから先のストーリーを作らないと」
私は、ゆっくり息を吸う。
「……そうだね」
涙は、もう出なかった。
私たちは、一日中アトラクションに乗った。
もう一回ジェットコースター。
もう一回魚スライド。
笑いすぎて、お腹が痛くなった。
写真も、たくさん撮った。
三人じゃない。
二人。
でも、ちゃんと笑ってる。
⸻
夜。
ナイトショー。
光が広がる。
音楽が響く。
花火が空に咲く。
さみしさの影を、消すみたいに。
私は、カチューシャをぎゅっと押さえる。
「……見てるよね」
小さくつぶやく。
隣で、愛がうなずいた。
夜空は、やさしかった。




