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お、おばけ?
「ただいま」
返事はなかった。
今日も、家の中はしんとしている。
「……ねえ」
本野が、急に言った。
「今日は、怖い話ししよ」
「やだ。怖いよ」
「大丈夫だって。本当に出るわけないし」
そう言った、その瞬間。
――パチッ。
電気が消えた。
「え……なに?」
思わず声が震える。
「本野がやったの?」
「違うよ」
「じゃあ、なんで……」
からん、からん。
窓の方から、音がした。
カーテンが揺れて、
いつの間にか、窓が開いている。
「え、なに……お化け?」
無理に笑ってみせる。
「本野、ほんとにやめて。怖いよ」
「だから、私じゃないって」
そのとき。
――どん。
鈍い音が、部屋に響いた。
「な、なに……?」
心臓が、どくどく鳴る。
パッ。
突然、明かりがついた。
「……あ」
「停電だったんだね」
本野が、少し安心した声で言う。
「でも、さっきの音は?」
床の隅を見る。
「……ネズミじゃない?」
その瞬間。
ばたっ。
「夢乃!」
視界が、ふっと暗くなった。
――――
目を開けると、朝だった。
カーテンの隙間から、光が差し込んでいる。
「大丈夫?」
本野が、覗き込んでいた。
「……うん」
私は、ゆっくり起き上がる。
「ネズミに、びっくりしただけ」
そう言った自分の声は、
少しだけ、昨日より落ち着いていた。




