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忙しすぎる
「お疲れ様です」
「……お、お疲れ様です」
「お疲れ。今日、めっちゃ混んでるから、よろしく」
店長の一言で、空気が一気に引き締まる。
「……頑張ろう」
本野が、軽く拳を上げる。
「う、うん」
カウンターに立った瞬間、
モニターには次々と部屋番号が表示された。
ドリンク。
会計。
呼び出し。
「すみませーん!」
「はーい!」
気づけば、息をつく暇もない。
「……わー」
思わず、本音が漏れた。
「今日、忙しすぎて、死にそう……」
本野が、横で笑う。
「大げさ」
でも、その目はちゃんと真剣だった。
「でもさ」
小さな声で言う。
「頑張ろうよ」
「……うん」
不思議だった。
疲れているのに、逃げたいとは思わなかった。
学校より、ずっと忙しいのに。
ここでは、ちゃんと“必要とされている”。
私は、もう一度エプロンを整えた。




