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バイドにいこ
チャイムが鳴って、今日の授業が終わった。
「……終わった」
思わず、息が抜ける。
「お疲れさま」
本野が、机の横で言った。
「ねえ、次どうする?」
「……バイト」
言ってから、少しだけ驚いた。
前なら、そんな言葉、すぐには出なかったのに。
「えら」
本野は、にやっと笑う。
「じゃあ行こ。青春の続き」
教室を出ると、廊下は少し騒がしかった。
部活に行く人、帰る人、誰かと話している人。
私は、その中を歩いた。
ひとりじゃない。
でも、頼りきりでもない。
制服のまま、駅へ向かう。
「学校のあとにバイトってさ」
本野が言う。
「なんか、大人っぽくない?」
「……そうかな」
「うん。ちょっと」
私は空を見上げた。
朝より、少しだけ軽い気持ちだった。
「今日も、がんばろ」
そう言うと、本野は頷いた。
「うん。いってらっしゃい、夢乃」
私は、カラオケの明かりに向かって歩き出した。




