表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界召喚されたので、『前借スキル』で速攻ラスボスを倒して楽をしようとしたら、理不尽にも“感情負債140億ルーメ”を背負うことになったんだが?  作者: 早野 茂
第6章 神界の感情泥棒と暴走する世界初期化(ゼロ・コード)

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

98/102

第98話 ラグナの思想(コード)の咆哮

 演算核の中心にある赤い点滅が、

 ゆっくりと形を変え始めた。

 燃えるような赤。

 とぐろを巻くような影。

 その中から——

 “声”が響いた。

《……世界は……歪む……》

 低く、ざらついた声。

《……情動は害……

 混乱……争い……絶望……

 あらゆる不幸の源泉……》

 赤い光が脈動しながら、

 カケルへ向けてうねる。

(……これが……

 ラグナの本当の“思想”……)

(肉体は倒したはずなのに、

 残った怨念と思想だけが……

 システムの中で生き残ってる……)

 

 ◇


 ラグナコードの声は続く。

《……だから、世界はリセットされるべき……

 情動を消し、純粋な“静寂”の世界を……

 千年単位で再構築する……》

「勝手なこと言ってんじゃねぇよ……」

 カケルは睨みつけた。

「世界は、お前がやり直すもんじゃねぇ。

 生きてる人間が、毎日積み上げるんだ!」

《……積み上げ?

 無意味……

 努力は裏切られ、愛は壊れ、

 友情は崩れ、家族は離れ……

 お前も知っているはずだ……》

 ラグナコードは、

 赤い光の中からカケルの“記憶”を引きずり出す。

《お前は……

 日本で全てを失った……

 だから……分かるだろう……?》

 カケルの胸に、鋭い痛みが走る。

(……ぐ……ッ)

 

 ◇


 外では、通路の壁に亀裂が走り始めていた。

「ミュコ!! 大丈夫か!?」

「ピュッ……ピュイイイ!!」

 ミュコの壁が必死に耐えている。

 しかし——

 ラグナ思想の“揺らぎ波動”がミュコ壁を崩し始めた。

「グレン! やばいぞこれ!!」

「クソッ……通路が揺れてる!!」

 フィンが叫ぶ。

「カケルさんに届いちゃう……!!」

「……ぬるい!」

 ボビンが盾を通路の入口へ叩きつけた。

ガンッ!!!

 盾の反射でミュコ壁の崩壊が一瞬止まる。

(……時間を稼ぐ。

 カケルが終わらせるまで……)

 

 ◇


 一方カケルの前では、

 ラグナコードの光がふくらみ続けていた。

《……情動は不要……

 その“痛み”は証明だ……》

「……痛みが……証明……?」

《……証明……

 お前は、人間であることに苦しむ……

 だからいっそ、“感情”を捨てた方が良い……》

 その言葉は、どこか甘く、

 誘惑のようでもあった。

 だが——

 カケルは笑った。

「苦しむ?

 ああ、確かに……人間でいるのは痛い」

「でもよ……」

 カケルは胸を叩いた。

「仲間がいると……痛みが“強さ”に変わるんだよ!」

《……理解……不能……》

「分かんねぇなら黙ってろ!!」

 

 ◇


 ラグナコードがついに怒りを露わにする。

《——情動干渉、最大攻撃へ移行

 中枢破壊波……放出》

 真っ赤な光が凝縮され、

 一点から放たれた。

ズドォォォォォォォン!!!!

 通路全体が揺れ、

 壁が割れ、

 天井が崩れ始める。

《——ミュコ壁、耐久限界》

「ミュコ!!」

「ピュイイイ!!(まだいける!!)」

 ミュコが必死に壁を再構築し、

 その背後で仲間たちが支え続ける。

 

 ◇


 だが、その一瞬——

 カケルの通路が吹き飛びかけた。

「カケルさん!!!」

「カケル!!!」

「……守る!!」

「ピュッ!!」

(みんな……!)

 仲間たちの声が、カケルの胸に火を灯す。

 

 ◇


「——だから言ったろ」

 カケルは前へ出た。

「俺はもう……一人じゃねぇ!!」

 拳を握り、

 演算核の最深層へ向けて駆け出す。

《——危険

 対象A、情動値……最大域

 削減不能……!!》

 ラグナコードの声が震えた。

「終わらせるぞ……ラグナ!!!」

ラグナもまた、絶望した存在だったんですね。

「救い」としての「リセット」。

でもそれは独りよがりの逃げでしかない。カケルの言葉が刺さります。

次回、第6章クライマックス!

カケルの拳が、神界のシステムを書き換えます!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
ボビンの「ぬるい」は、もうお約束だね。守りの要だ! 《ミュコ壁、耐久限界》となっても、「ピュイイイ!!(まだいける!!)」ミュコが必死に壁を再構築し、その背後で仲間たちが支え続ける。それに答えるカケル…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ